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ぼくドラえもん辞書です

まてぃさん


なにかイメージってありますか? 
……って、ざくっーーと聞いちゃいます。ウフフ。
―― 情報が集まる仕組みを考える まてぃさん/Saori Kawamata より

ウフフ返しだ(前々回・前回参照)! テクい!



まず、「たたき台」をありがとうございます。前回いただいたお手紙、そこに到るまでの一往復で、急激に夢が具体化したことに驚いています。

なるほど、ゴールを先に設定するってこういうことか。

ばくぜんと「こんなことができたらいいのに」と考えていたことたちに輪郭が与えられました。おかげで、

ここはこのままではだめだな

とか

ここはもっと突き詰めたほうがいいな

みたいに、細部、ディテールに目を配ることができるようになりました。

いろいろと湧き上がってきます。どうもありがとうございます。


てか、すごいですね……この記事。「プロ」の力量をひしひしと感じます。気軽にお声がけしてしまいましたが、これをタダで読ませていただくのは良心が痛むので、こんどお歳暮でも贈ります。カタログギフトがいいかな。

今の自分が何を求めているのかを、豊富にリストアップされた商品を眺めながら考えて、楽しんで、あとは選ぶだけで(お金を払わずに)手に入れることができる、カタログギフト……。



おもわせぶりな
太字決めた ( ‘-^ )b



まてぃさんの「たたき台」をもとに、いろいろ考えました。

ひとまず前回いただいたお手紙のリンク。


手始めに、この部分を引用させていただきます。

現在、医療系のDB(データベース)やオンラインサービスを鑑みると、病気の基礎知識や原因、症状、治療や検査の情報をまとめている「医療辞典」(株式会社メドレー)、病気や健康の悩みを医師に相談できる「アスクドクターズ」(株式会社エムスリー)が代表的なものとして挙げられます。
―― 情報が集まる仕組みを考える まてぃさん/Saori Kawamata より


(A)医療系データベース(例:メドレーの医療辞典)と、
(B)医療系Q&Aサイト(例:エムスリーのアスクドクターズ)を、
分けて提示していただきましたね。

ここ、いきなり感動しました。

((A)(B)それぞれの具体例については別に補遺記事を書いておきました。下記参照。)




マニアックな感想で恐縮ですが、まてぃさんが医療系のサービスをきちんとカテゴリ化されたところがさすがだなと思いました


ぼくを含めた多くの人は、(A)と(B)の違いをあまり気にせず、「医療系のインターネットサービス」として、脳内でまとめてしまいがちなんです。でも、よく考えると、このふたつは、使う側の気持ちが、ぜんぜん違うんですよね。


(A)医療系データベースは、基本的に、病名や症状名で検索するタイプのサービス。となると、使う側が「何を検索するか」をわかっていないと使えません。知りたい項目があって、知識を求めにいくためのものです。国語辞典やWikipediaといっしょ。


これに対し、(B)医療系Q&Aサイトは、患者側の「どう行動したらいいのだろうか?」という不安な気持ちを現場の医療者にぶつけるためのサービスです。究極的なことを言うと、使う側は、必ずしも知識を増やしたいとは思っていません。体験談を聞きたい。現場の実感を知りたい。経験に基づく知恵を知りたい。

「いきなり○○病だと言われたがどうしていいかわからない、アドバイスが欲しい。」
「△△という体調不良があるのだが病院に行くべきだろうか?」
「□□を予防するために自分の行動が合っているかどうかを知りたい」

読み手の「人生の物語」をうまく回すために、医療者に先読みをしてほしい。介添えをしてほしい。微調整をしてほしい。なんなら叱咤激励してほしい。否定せずに共感して欲しい。

そういったことが求められている(B)において、知識が増えるかどうかは、使う側の本質的な欲望ではないと思います(ただし、「知りたい」というフレーズは頻繁に用いられる)



書いてるうちにちょっと興奮してきましたが、そう、そうなんですよ。

(A)を使う人も、(B)を使う人も、本人の口からは「知りたい」という言葉が出るんですけれど、これらは、同じ「知りたい」じゃないんです。


(A)を使う側の気持ちを素因数分解すると、その要素にはどこかに「知識を増やしたい」があります。ほぼ確実に。

しかし、(B)を使う側の気持ちには、「知識を増やしたい」は入っていないことがあります。「物事がいいほうに転んで欲しい」がほんとうの願いで、前景に「知りたい」という便利ワードを配置しているだけかも。



ところが。

(B)の回答……特に、医者が執筆した記事には、医学知識で答えるものが多いんですよ。



ん?

あれあれ?

これでいいのかな?

「どうしたらいいですか?」に「知識(エビデンス)はこうです」で答えているという構造になっている。



や、回答側の論理としては何も間違っていないんです、だって、医師の職能のコアにあるのは「豊富な知識」ですし、医療を駆動するのは「その時点で最も適切だとされる科学的エビデンスに基づいた行動」ですからね。

でも、これって……。

子ども電話相談室に、図鑑の何ページを開きなさい、そこに書いてありますよ、と回答しているようなものです……。



現状、多くの医師は、(A)にも(B)にも、同じような回答を書いてしまっています。

そこにサービスの甘さというか、うーん、改良ポイントがあるんじゃないかなあ?



まてぃさんは、こう書かれていました。

キモはもちろん医師のDBです。
―― 情報が集まる仕組みを考える まてぃさん/Saori Kawamata より

全くそのとおり。だって、医師以上に「医療に関する知識」を持って使っている人はいないですからね。

でも、医師が書いたQ&Aの回答は、エビデンス(先人達が積み上げた証拠)を患者用にわかりやすく焼き直したものばかり。

広辞苑をドラえもん辞書に書き直して、さあこれなら読めるでしょ、って渡しているものばかり。



キモはもちろん医師のDBです。
―― 情報が集まる仕組みを考える まてぃさん/Saori Kawamata より

本当にそうなのかな?


不安の渦中にいる患者の質問に、医学知識で答えるQ&Aサービスは、本質的なユーザーの欲望に答え切れていない


ってことないですか? 


(B)で寄せられた質問に対して、医師が(A)を代弁すること、(A)を患者の代わりに読んで聞かせること。

大きな意義がある仕事ではあります。

でも、そこで満足していて、いいのかな?



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「ナラティブの語り部」を担うのは誰だろう?




ええと、まてぃさんの質問に戻ります。

ヤンシスに登録していただく医師をどう集め、約32万人の医師のうち、何人の登録をイメージとするか。医師DBを継続的に最新情報を更新しながら監修できる仕組みをどう作るか考えたいです。
なにかイメージってありますか? 
……って、ざくっーーと聞いちゃいます。ウフフ。


集めるべきは医師。ま、それはそうです。

ただし。

非医療者の知識を補う(A)を作るわけではなく、困りごとに伴走するタイプの(B)医療系Q&Aサービスを作るにあたって。

医師を集めて情報を更新させるだけではなく……ていうかそこはもうさんざん(A)でやられているわけで……。


膨大な(A)の記事へのリンク集じゃだめなのかな? 新たに記事を書く必要ってある?




①「不安を受け止めて欲しい人たちがまずはbotに話しかける。○○病ってやばいの? どこかいい病院ある? この症状ほっといたらまずい?」

②「質問に対応する基礎知識を提示。このとき、(A)の記事を活用したらよいのでは(リンク)?

③「ひとつの質問を出したユーザーが、『ほかにどういうことに困りそう』かを、人員を割いて監修する。関連する質問がどういった順番で発生するのかを考慮して、関連Q&Aを「医療の時系列順」に並べて表示する」



②までなら単なるリンク集です。しかしこれを大規模にやる。そして、③がキモです。

知識と知識を連結する部分に、新たにプロを投下する


ふと思ったんですけれど、患者側の事情、実際の現場における「質問の発生順序」については、必ずしも医師が詳しいというわけではないです。看護師とかソーシャルワーカー、そして患者(会)のほうが詳しいこともある。

あとは……マスメディア的な才能の人を入れたほうがいいのかも。

マスメディアって、人間の欲望を追跡することに長けているんじゃないでしょうか。質問に答えることは別に得意ではないと思いますけれど。



なーんて。

どう思います? フフフフ。


(2020.12.23 市原→まてぃさん)