見出し画像

ここがゼロ

ニッシー(反復):

先日、水曜どうでしょうのディレクターおふたりが、YouTube「水曜どうでそうTV」の中で、視聴者から届いた酒を飲んでいたんですよ。

彼らのYouTubeでライブがあるたびに、しょっちゅう少額の投げ銭(スーパーチャット:スパチャ)をする「たまごさん」という視聴者がいてね。界隈ではちょっとだけ有名なんです。ディレクター陣も、「またたまごが120円くれた(笑)」、「またたまごが200円くれた(笑)」、と、認識している方なのです。

その方がね、D陣おふたりに、たまごのお酒を贈ったのです。で、藤村さんなんかはその酒をすごいうまそうに飲んでいる。「これはデザートになるなあ」なんつってね。

ぼくはそのお酒を知っていた。味がわかる。ボトルも見覚えがある。『Bar レモン・ハート』で出てきたお酒だからだ。弁舌すらすらになるやつだよ。でも、どうしても名前が思い出せなかった。

だから前回あなたの手紙を見て、「ああ一緒だ……」と思ったんですよ

ところがね、今日、お返事を書き出したら、とたんに思い出した。

「アドヴォカート」だ、「アドヴォカート」!!


レモンハートはもう一度読み返さないとだめだね。


***


前回いただいたお手紙の、ここ……。

だって,いちどネットにあげた情報は,消したくとも「完璧には消せない」のでしょう? それならば。

これすごかった。鳥肌が立った。

往復書簡連載によって、あなたの脳の中にあったこのフレーズを、noteのかたちで世に出すことができたというのは、ぼくの2019年の仕事の中では頂点といっていい業績なのではなかろうか。

すばらしいよ。こういう変奏大好き。



インターネットと脳は似ている、については、最近読んだ本にもそのものずばりのことが書いてあった。

自分でもやもや考えていたことがそのまま書いてあった。だから安心して、最近はこういう話ばかりしている。

でも、個人的には、ディズニーで成功しまくってる男の商売っ気にみちあふれたエビデンスが少ない漫談(いい本だけどね)よりも、もっとまっすぐサイエンスな「タコの本」が好き。

今年はこれがベストかもしれないなあ。

『居るのはつらいよ』とか、『急に具合が悪くなる』とか、名著ばかりの一年だったけど……。


最近ぼくがあなたに送った手紙を読み返してみると、このタコの本と、あと千葉雅也の『意味がない無意味』と、兼本浩祐『なぜ私は一続きの私であるのか』、このあたりの連続読書に、だいぶ強く影響を受けている。ぜんぶテーマはいっしょ。脳と哲学。

そういえばあなたはカンデル神経科学のクリアファイルをぼくにくれたっけ。

まだぜんぜん通読できてないけど。

あの本。もしかしたら、今のぼくが欲しがっているような、いろんなヒントが書いてあるのかな。


カンデルのクリアファイルには、大著の内容が抜粋されて、まるでコピーのようにデザインされている。

画像1

画像2

画像3


あー、こりゃ、今のぼくが知りたいことが、書いてあるな。


読むかあ。カンデル。


ぼくはもうそういう風に導かれているんじゃないかなあ。


反復と代謝の先にある思考。



年が明けたら話を変えよう。それでもまたループして戻ってくると思う。


よいお年を。来年もよろしくお願い申し上げます。


(2019.12.25 市原→西野)