言葉の掃き溜め【最後の朝に】

今夜だけは2人きり
明日からまた1人きり
さようならは言わないで
今だけは夢から覚めないで

髪搔き上げる君を見る
銀色輝く薬指
それでも俺は見ないフリ
第一声は「久しぶり」
まるで昨日の続きのよう
変わっていないあの頃と
変わったのは君の方
忘れてなかった君のこと
後悔していた今までと
願うばかりの幸せを
誰にも言えずに抱えてた
この願いを叶えれば
もしもの話は無駄だけど
希望が無ければ張り裂けそう
携帯画面の着信通知
見知らぬ数字 出たら君
言わなかった 会う理由
聞かなかった 会う理由
待ち合わせ いつも通り
戻れる気がしたあの頃に
全てがあの日に元通り
無理なら今だけone for me
いつものバー いつもの席
こうして幾夜を過ごしたね

グラスを置いて切り出した
言葉がゆっくり染み出した
たしかにあの日に君がいた
それでも未来は君無しだ
「愛していた」とか「好きだった」
だから俺らは付き合った
そんな言葉は要らないよ
そういう顔を知らないよ
「また会いたい」それだけが
言えないから火を付けた
形にならない言葉たち
煙と一緒に吐き出した
お互いに分かってる
戻せない時計の針
可能であっても選ばない
これが最後の小さな意地
このあと君の帰る場所
俺の知らない彼のところ
夜が終わればもう二度と
声聞く事も会う事も
無いって事を知っている
別れの時間が迫っている
朝陽が差す 東の空
ここが2人の終着点

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