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言葉の掃き溜め【十二ヶ月】

一月 新たな年が始まる
悴む手を温めて新年の挨拶
悲しい曲を聞いて涙する
そんな君を思い出す

二月になり改めて気がつく
君のいない誕生日に意味は無く
いつものバーでグラス傾け
幸せを込めてせめてもの花向け

周りの景色はゆっくりと雪解け
俺だけがずっと取り残されて
桜の開花と小鳥の囀り
心地良い風が春を告げる三月

出会いと別れに賑わう四月
冬服をクローゼットにしまう
朝のコーヒーがほろ苦く
思い出が未だに心を満たす

連休中に帰った実家
思い出した過去の時間
あの場所で吸うタバコだけは
変わらずに俺を巻き戻した五月

連日の雨が部屋の窓を叩く
傘も差さず歩いてみた国道
どこか晴れやかな梅雨明けの空
心の雨も止んでくれと願った六月

夏服が眩しい学生たち
未練だけは隠せない
やるせない気持ちを抱えて
陽射しが突き刺す七月

茹だる暑さを迎えた八月
言葉にならない気持ちを吐き出す
声にならない言葉を書き出す
右手のペンがノートを走り出す

夏が終わらない暑さ
君からの連絡も途絶えたまま
変わらないものはありますか?
答えを求め彷徨った九月

カーステレオからはあの日の曲
助手席の温もりは跡形もなく
車に乗り込んで合わせる周波数 
深夜の海岸で佇む十月

街中が少しずつ賑わう
本番に向けて準備する十一月
コートを羽織っても寒い心
未だに遠くの君を想う

一年が終わりを迎える
君への想いも共に置き去る
二年連続の「さよなら」
君と思い出を断ち切った十二月

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