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DJの「上手い」って何だろう(House編)

皆様こんにちはDee-Sです。

さて、今回は凄く難しいトピックになりますがDJの「上手い」って何だろう?というお話です。皆様はどんなDJを「上手い」と判断していますでしょうか。これは本当に筆者本人も悩ましいんですが、人間って人それぞれ、「上手い」の判断基準、評価ポイントが色々あるので定義づけることが困難なお話です。ここで記載することはあくまで私個人の考え方、として捉えて頂ければ幸いです。また、「House」という音楽ジャンルはDJの世界でも独特の考え方があるので、他のジャンルとは切り離してお話させていただければと思います。

そもそもDJの「上手い」とは具体的にどのような評価基準で判断するのでしょうか。凄くざっくり言うと「その日、その時、その瞬間、そのロケーションで適切な選曲を行い、スムーズなミックスを施し、適切なテンションを提供する」というのが一般的ではないでしょうか。そこに尾びれ背びれがくっついて(上手いという評価の追加判断基準)いくと思います。

その追加判断基準というのがまた厄介というか、物事を複雑化させてしまいます。ざっと私が瞬時に思いつく追加判断基準を以下に列挙します。

・自分が大好きで知っている曲をプレイする確率が高い
・DJ自身が想定するミックスをして聴かせてくれる
・その逆の考えでプレイして、かつその曲をよりよく聴かせる
・そのDJが提供する展開の作り方が自分にとって理想的である
・独特の世界観を持ち、唯一無二の個性的な音楽を提供してくれる

上記はもうリスナー自身の判断基準なので、どうすることも出来ません。リスナー自身の音楽の感性、経験値、好き嫌いがバラバラですから一律にすることがもはや野暮、ということになります。

それに加えてHouse独特の追加判断基準があります。それは

・全体を通して「ストーリー性」が高い

コレがまた物事を分かりにくくする追加判断基準です。これはHouseに限った話でもなく、Techno、Trance、Progressive House、Melodic House/Techno辺りでも重要視する4つ打ち音楽独特の判断基準です。では、このストーリー性とは何ぞや?という話になりますよね。言葉で「ストーリー性」と言っても、具体的にそのストーリーは何が理想的なのか、どのような展開を組めば「ストーリー」になるのか、めちゃめちゃ難しい内容かと思います。

ストーリーについて考えてみる

では、あなたがDJをする上で提供したい「ストーリー」とは何でしょう。よく一般的に言われるのが「起承転結」という言葉で説明することになると思いますが、それをHouseという音楽ジャンルで表現するにはどのようにすれば良いのでしょうか。

これはHouseのストーリーとして一般的な考えかと思うのですが、これも雑にざっくり言えばテーマは「愛」「多幸感」ではないでしょうか。その2つのテーマを表現するのに、様々な道のりを経て最終的に感じてもらいたいことなのかな?という事だと思います。

例えば、つい最近失恋した。何もかもが自暴自棄になってしまう時間が続いていた。でもいつしかその不毛な時間を過ごすなかで、あるキッカケで前を向くことが出来て、この瞬間、まさに今、大好きな貴方に会う事が出来てこれからも素晴らしい時間を過ごしたい、というストーリーをHouseという音楽ジャンルでDJをするという事です。このストーリーが非常に分かりやすく共感できるDJが「上手い」という追加判断基準になりますし、また「ストーリー性が高い」という評価につながります。もうメチャクチャ難しくないですか?もうDJというよりアートの世界だと思います。

自分はモロにクラブ文脈の側の人間なので、どのサブジャンルでも一定のテーマを設けて表現しています。勿論Disco的な選曲の場合はそこまでストーリーを重視しませんが完全にアートフォームに乗せたプレイをする場合はストーリー性重視のプレイをします。そして、自分が表現したいテーマはやはり最終的には「愛」「多幸感」なんですが、ほぼストーリーは一緒で「長く暗いトンネルの中で右往左往しながら途中迷いながらも前に進み、やっと目の前に見えた僅かな光を頼りにひたすら走り抜け、やがてその光の向こうには未だ見ぬ己の理想郷が広がっていた」というストーリーを想定しています。文豪・川端康成の名作「雪国」の名冒頭「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」を少し改変した内容を表現しています。参考まで。

まぁ、これが世間的に評価されるか否かは当然別です。共感してくれる方も居れば、いやいや全然違うじゃん、みたいな方も当然居ます。そして「あなたのDJ、何となく聴いていたけど単なるノリじゃなくてそんな事を考えながらDJしてたの??」なんて思う方も多くいらっしゃると思いますが、「ストーリー性」というのは自分に限らず似たような事を考えながらHouse DJは表現していると思います。このストーリーがより多くのリスナーから共感を得られる=DJが上手い となるんですよね。

どうでしょうか。このDJが「上手い」というのはどのような判断基準で決められるのか?という素朴な疑問に私個人の考え方を今回書いてみました。勿論これが一つの正解であり、他にもたくさんの正解があると思います。この記事を読まれた方は今一度、自分が表現したいストーリーについて確認する良い機会になったのではないでしょうか。それでは素敵なDJライフをお楽しみください。




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