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振動はリカバリーに効くのか?

この数年で振動のセルフケアツールの種類が増え、多くのメーカーから出されるようになりました。
振動フォームローラーに始まり、振動ボール、最近では振動ガンが流行りになりますでしょうか?

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振動ガンを比べた感想などを紹介してます。
https://note.com/kazuyapt/n/nc568a4b6a13c
概ね振動数は2000−3500/分ではありますが

この主観的な主観的に感じる「振動感」は
振動のFrequency

ヘッドの振れ幅Ampulitude
で変わってきます。
なので
ヘッドが激しく振れるハイパーアイスなどは振動感をガッツリ感じる傾向にあります。
ただ体はどう感知するか?は振動数で決まりますから特に体の反応ということでは変わらずどこまで安定した振動を適切な部位に加えられるか?が体自体に影響するかと思います。
ただ、主観的な感じ方は中枢のところでいわゆる体が「凝った」と感じることへの変化に重要ですのでガッツリ感は大事でしょう。

さてこの振動ツールは実際リカバリーとして効果があるものなのでしょうか?

実際にDOMS(遅発性筋肉痛)には効果があるとされています。
DOMSは筋出力を低下させ、パフォーマンスや運動機能にも悪影響を及ぼすのでDOMSを抑えることはパフォーマンスを維持するためのリカバリーには重要な要素です。
DOMSには主観的な痛みを感じる感覚や、痛みを感じる閾値、組織の硬度、組織の粘性、疲労物質などが関わってきます。
これらに対して振動は有効なツールと考えられます。

まず主観的な痛みの変化ですが、これは振動をかけることで筋紡錘への刺激による反応であると考えられます。
脳へは筋紡錘からの求心性刺激が70−80%を占めます。
その刺激が痛みの受容や動きのコントロールに関わる橋延髄網様体路を介し痛みのコントロールをすると考えられます。
また振動をかけることで筋紡錘の感知により筋自体が弛緩する効果も期待されます。

振動をかけることにより血管系、血管内皮性、また自律神経系に関わるFasciaの粘性を下げ拡張を促し循環を改善するとも言われています。

振動はパチニ小体という振動を感知する感覚受容器によって脳へ刺激が送られます。
それにより感覚的な変化を感じることにより痛みを感じる感覚を変えるされています。

さらに一番言われているのは可動域の向上です。これは上記の感覚受容器と筋紡錘の抑制機構が関わっているかと思われます。


これらを考慮すると振動を無闇にかけるだけでなく目的を持って振動をかける部位をも考えなければなりません。

振動数自体も重要で一般的な振動ツールの低めの振動数である20Hzくらいがリラクゼーションに効果があり、強めの50Hz以上だと逆に筋への活性、刺激になるとされています。

また筋紡錘は筋腹に多く含まれるのに対し感覚受容器のパチニ小体は関節近辺に含まれるとされています。

リカバリーを目的とするなら筋腹に対してソフトな刺激、
感覚を変えたいなら関節周囲に中度の刺激
今から動くぞ!というときは筋腹に強めの刺激と関節周囲に強めの刺激
可動域をあげるぞ!という場合には筋腹にソフトな刺激に関節周囲に強めの刺激+ストレッチが良いでしょう。


また文献上では振動ありフォームローラーの方が振動なしよりも主観的な変化や可動域などに効果があるとされています。おそらく上記のメカニズムが関わっているのかと考察されます。


振動は上述のように循環系へも働きかけますので、循環改善により痒くなったり、感覚変化により違和感が出たりする可能性もあるので気をつけてください。

ただ体って面白いもので何かしらの刺激を加えたら何かしらの即時変化が起こるものです。それがまたすぐに戻ったとしても。

ですが適切に状態維持はしたいものですので、しっかり目的用途は明確にしたいところです。最近は即時変化を売りにしているセミナーなどをSNS広告などで見るようになりましたが、体のからくりが分かれば惑わされることはないと思います。

上手にツールを利用してしっかりリカバリーをしてパフォーマンスを維持できますように。

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