胸椎と肩の関係を考える (特に投球動作)
肩のトラブルで一般的なのがインピンジメント症候群
という反復性の動きや肩関節のメカニクスの不正によって肩の組織のトラブルに関係する症状です。
俗に「インピ」なんて言われています。
Internal,external、その他などインピにも分類がありますが、どのケースでもかかわりが強いのが肩甲骨の可動や胸椎の可動です。
肩甲骨では上方回旋、後方への傾きの低下がインピに関わってくるとされています。
胸椎でいえば肩甲骨は良く知られているように筋肉、ならびに周囲の組織で肋骨と共になる筋肉関節とされています。
肋骨には胸椎と胸肋関節を形成するという解剖学的なつながりがあります。
横から見た面、矢状面での胸椎の伸展の制限により肩の挙上が妨げられることは多くの文献で言及されています。
胸椎はその関節面の角度や肋骨と関節する形状から、胸椎の下部の方が上部よりも肩の挙上に関与するとされています。
胸椎の伸展の可動制限で制限された肩の挙上をどこで行うかというと
一番は腰椎部になります。
伸展だけではなく回旋の動きも制限されるのも問題です。
胸椎には多くの細かな靭帯や筋が付着しています。
回旋可動の低下はこれらの組織の感知を低下させ、スポーツの動きの遂行が不自然な形で行ってしまうことになります。
ある胸椎の部分で回旋が低下したらその上下の部位や大きく捻る腹斜筋、さらには頸部の回旋などによって補填して動いてしまいます。
投球動作において胸椎の回旋制限による肩への影響で大きいのはテイクバック時の水平伸展という動きです。
投球時の水平伸展は35度くらいが理想といわれていますが、胸椎の回旋制限により体幹部の回旋と水平伸展により補填される傾向にあります。
この現象により問題となるのは投球のパフォーマンスで重要な分離運動です。
(蛇足 水平伸展は可動があればあるだけよいというものではありません。要はどれだけの力を生み出すか?腕の加速度を生み出すか?組織が可動に耐久出来る強度があるか?が重要です。)
そのため胸椎の可動は1伸展可動を作ること、2回旋可動を作ること
が重要となります。
どのように可動を獲得するか?
よくあるのはこのようなエクササイズではないでしょうか?
確かに可動が正常に行われ「可動を維持する」ことを目的としたら非常に良いエクササイズです。
しかし、上述の通り「1セグメント」における胸椎で可動制限がある場合は
その前後で補填します。
そのため特定の部分での制限があった場合にはこのようなエクササイズの時に全体で補填して回旋、伸展を行います。
お勧めはこのような小さ目でよりピンポイントで当てられるようなもので、フォームローラーで行うような動きをすることです。
もしくは振動をかけるなど
https://note.com/drtko/n/n89c22fb42887
一番は専門家にモビライゼーションを行ってもらうことですが。。
胸椎の関節受容器は特定の刺激に反応するので高速伸張、振動などの方がより効果は高いかと思います。
良くないのはゴリゴリ押すこと。感度を下げます。
日々のケアが重要です。参考になりましたら幸いです。
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