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悪性リンパ腫 -非ホジキンリンパ腫-

リンパ球という白血球の一種ががん化したものが悪性リンパ腫です。

我々がリンパ腫という時は、悪性リンパ腫のことを意味しています。別に良性リンパ腫という病気があるわけではないです。


胃癌は胃にできます。では、悪性リンパ腫はどこにできるでしょうか。

リンパ腫はリンパ節にできることが多いですが、リンパ球があるところならどこでもできます。身体中ほとんどの臓器でリンパ腫は発症しうることになります。

心臓、目、骨、胃、脳、血管内など様々な場所にできます。

リンパ腫ができないところといったら、爪とか髪とか目の角膜くらいのものです。


リンパ球は、B細胞、T細胞、NK細胞と分かれますが、リンパ腫の出どころもB、T、NKと分かれます。

例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)はB細胞ががん化した悪性リンパ腫であるということです。

今、悪性リンパ腫は大きく分けてホジキンリンパ腫非ホジキンリンパ腫の二つに分かれます。さらに細かく約90種類に分類されています。

実際に手術などでリンパ腫の部分をとってきて、病理検査に出して診断がつきます。

90種類あれば、リンパ腫の性格も様々で、週単位で大きくなっていき早く治療をしないと危険なものから、数年放っておいても問題ないようなゆっくりしたものまであります。

大きくなる速さで悪性度というのが決まっています。

 高悪性度:日〜週単位での進行

 中等度悪制度:月単位での進行

 低悪性度:年単位での進行

90種類の内、日本で頻度の高い非ホジキンリンパ腫を説明します。

DLBCL

先ほども書きましたびまん性大細胞型B細胞リンパ腫です。長い名前ですので、diffuse large B cell lymphomaの略でDLBCLと書きます。

DLBCLは最も頻度の高い悪性リンパ腫です。日本人のリンパ腫の30%ちょっとを占めます。

有名人だと笠井アナウンサーが最近までこのリンパ腫で闘病されていました。

この悪性リンパ腫は中等度悪性度です。

月単位で進行しますので、診断がついて何ヶ月も放っておくと、命に関わるような状態にまで進んでしまいますので、だいたい診断がついて1ヶ月以内くらいで抗がん剤による化学療法を開始します。

標準治療はR-CHOP療法です。5種類の薬の頭文字をとっています。

R:リツキサン

C:エンドキサン

H:アドリアシン

O:オンコビン

P:プレドニン

えっ、頭文字とアルファベットが合ってないって?

そうなんです。この当時、空手CHOPが流行っている時代だったそうで、商品名やら一般名やらの頭文字をとってきて、無理やりCHOPにしたそうです。

リツキサンは、分子標的薬といって、CD20がある細胞をやっつけます。CD20というのはB細胞が持っているタンパクで、B細胞性のリンパ腫に対して使われます。

また正常なB細胞もやっつけるため、それによる免疫低下を認めます。そのため、リツキサンを使ったあと半年はワクチンを打っても、抗体がつきません。

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