~ある女の子の被爆体験記11/50~ 現代の医師として広島駅で被爆した伯母の記録を。
線路の先を遠くに見ると、崩れた広島駅の駅舎が見えてきた。それが方角を示す目印だった。小さい家々は勿論のこと、そのほかの目印になりそうな大きな建物もみな、ほとんど焼き尽されてしまっていて、進行方向が分からない。線路の上も崩れたガレキで塞がれていて、線路を外れて遠回りしながら広島駅を目指した。
目指すおばあちゃんの家は、広島駅を通る呉線の線路の近くではなくて広島駅で路面電車へ乗り換えて土橋という駅のあたりにある。路面電車に乗るなら15分ぐらいの距離だ。コンクリートの壁が崩れてい