エノモトナルミ

札幌市在住 / 28歳(1996.01.24)

エノモトナルミ

札幌市在住 / 28歳(1996.01.24)

マガジン

最近の記事

印象に残っている台詞ランキング

 映画のように、その瞬間、そのシチュエーションに寸分違わずピッタリな台詞が、実生活でも現れることがあると思っている。  札幌市という地方都市で小劇場演劇に片足を突っ込みながら日々を過ごすこと約10年。自分なりに数多くの作品を観劇し、印象に残っているシーンや台詞は少なからずある。しかし、何気ない日常会話がそれらをも凌駕する瞬間が稀にあり、案外ずっと脳裏に残り続ける。今回はその中から3つほど紹介したい。 3位「そうやって自己完結して楽しい?」  バイト先の某コンビニチェーン

    • 2024年8月最終週の日記

      8/26(月) ・唐突に無職生活が始まる(詳細は先週更新したこのnote)。呆然としながら帰宅して書類を見直したところ、このケースは不当解雇に該当している可能性が高いことに気づく。週末に届くらしい給与明細の到着をいったん待つことに決める。そして、これまでもう何度観たか数えていない『コーヒー&シガレッツ』(2005年)を鑑賞することにより、やり場のない怒りと悲しみを鎮める。 ・元々、翌日の27日に会う約束をしていた無職の友達に「なんか今日、急に仕事クビになったから、明日何時で

      • n回目の無職1日目

         いま思い返してみれば、私は子どものころから「わたしって、周りのみんなが当たり前に出来ていること、全然出来ていないんだなあ。どうしてなんだろう」と思う場面が度々あった。しかし、このような懸念はいずれ成長とともに減って、大人になるころには綺麗さっぱり無くなるものだと根拠もなく信じていた。ところがどっこい、そんな子どもが成長して現在は28歳、名実ともに大人となった私がどうなったかというと、相も変わらず周りの人々が当たり前に出来ていることの8割程度は出来ておらず、笑ってしまうくらい

        • 1ページ脚本『最後の晩餐』

           運営に携わっている札幌合同稽古用に、A4用紙1ページ分の脚本を5本急ごしらえしたので、実際に使った1本を載せます。初めて脚本を読む人でもやりやすいように、どこにでもあるような雑談ベースの台詞を意識して書きました。  指摘されてから気づきましたが、どんな関係性・場面設定でもやれそうな内容なので、自由度が高く遊びやすい本だと思います。 札幌合同稽古 短編①『最後の晩餐』 海野:あのさあ、 浜部:ん? 海野:最後の晩餐とかいうやつあるじゃん? 浜部:あるね、誰しもが語ったこと

        マガジン

        • 2024年
          4本
        • 2023年
          8本
        • 2021年
          6本
        • 2020年
          4本
        • 2019年
          3本

        記事

          いちごの唄

           札幌学生対校演劇祭、今年も公演終了しました。27歳、社会人、学校はすでに卒業しているし、もうしっかりと大人になっている私ですが、かれこれ2016年ごろからずっと学生演劇祭の運営に携わらせてもらっています。  コロナ禍をはさんだこともあり、近年の出場団体は減少傾向にあるとはいえ、平均年齢20歳の若者たちないし学生たちに求められているうちは、どうにかして継続されてほしいですね。大人になってから同年代と再会したとき、酒を飲みながらする思い出話は、若かった時分の話がほんとうに多いの

          家族を家族たらしめるものとは

            最近、4年ぶりに演劇公演に携わっていて、その公演の作品がレンタル家族の話だから、ここ1ヶ月はずっと頭の片隅で、家族というものについて思考を巡らせている。だけど「家族とは何か」こんなことを問われても、なかなかひとことでは言い表せなくないか?  とりあえず私は、自分の家族のことを「血縁がある他人」だと、ざっくりと捉えているけれど。これもひとえに正解とは言い難いであろう。とはいっても、血縁がある=家族というわけでもない。血縁があろうがなかろうが、自己と他者のあいだには絶対的な隔

          家族を家族たらしめるものとは

          今年もまた、花火をやりそびれたまま夏が終わる

           札幌市出身の人間なので、夏休みはいつも8月20日前後に明けていたわけだけど、それでも8月31日が夏の終わりのイメージ。大人になってからというものの「子どもの頃に、長期休暇中の宿題をコツコツとやれていたか」みたいな話題が、このくらいの時期になると上がるようになった。ちなみに私は宿題を毎年、始業式まで約1週間前を切ったタイミングで焦って終わらせていた。  大人になった現在も、そのあたりの良くない癖はしっかりと残っていて、仕事をはじめとする「やらなきゃいけないこと」をそういうやり

          今年もまた、花火をやりそびれたまま夏が終わる

          いかなる理由であれ、公共性のある場で他者を怒鳴りつけることは暴力かパワハラ

           新卒1年目(2020)の頃のある日、職場でミスをしてしまった。そして、それに憤慨した、自分よりも勤続年数の長い同僚は、大きい物音を立てながら、わたしに怒声を浴びせてきた。スチール製の棚を殴る鈍い音が響くたびに、脳細胞が死滅する感触を憶え、酷く動揺して号泣してしまった。24歳にもなって、涙を制御出来なかった自分が途方もなく情けなかった。 (当時の仕事はざっくり言うと小売業。レジカウンターの少し奥の物陰っぽいところで、お客様も普通に店内を歩いている営業時間中に、この出来事は起

          いかなる理由であれ、公共性のある場で他者を怒鳴りつけることは暴力かパワハラ

          何事にも限度ってもんはあるからね

          Q. 恋愛における「歳の差」は本当に関係ないのか。 A. 関係ある。少なくとも、私には大いにある。  「心の底からお互いが惹かれあっていれば関係ない」といった言説は、はるか昔からこのような議論の場でしばしば挙がるが、いったん無視したい。なぜなら、この言説を信じて疑わない側が一方だけであるパターンが少なくはない、と私は推察しているからだ。そもそも、歳の差以前に好意を寄せていない、もしくは恋愛・性愛の対象から外れている人間から寄せられる好意はおおむね恐怖や嫌悪を抱いてしまうも

          何事にも限度ってもんはあるからね

          生誕10000日記念・稚内旅行記

           1996年1月24日生まれの私は、2023年6月11日で生誕10000日目(※誕生日を0日目として計算した場合)を迎えた。比較的マニアックな記念日として分類されているようだが、一生に一度のとんでもなくレアな記念日なので、これは絶対に何かお祝いをしたいと思い、昨年の暮れごろから何をしようか考えはじめた。  ① お祝いといえば、やはりケーキや豪勢な食事 → でも、正直甘いものはそんなに得意じゃないからキツい。生クリームはほんの少しつまむくらいでちょうどいい。食べる量もここ数年

          生誕10000日記念・稚内旅行記

          放送委員だった小学6年生の頃、リクエストが特に無くて適当に曲を選べるときは、中島みゆきの「地上の星」をかけていたことを急に思い出した。そして、同級生にはやや不審がられていた。 地上の星 / 中島みゆき [公式] https://youtu.be/v2SlpjCz7uE @YouTubeより

          放送委員だった小学6年生の頃、リクエストが特に無くて適当に曲を選べるときは、中島みゆきの「地上の星」をかけていたことを急に思い出した。そして、同級生にはやや不審がられていた。 地上の星 / 中島みゆき [公式] https://youtu.be/v2SlpjCz7uE @YouTubeより

          ハイカロリー飯を食らったあとの一服がいちばん整う

           どう考えても、タバコを必要としない人生を送ることができるなら、そのほうがいいと断言する。  度重なる値上げ、枚挙に暇のない様々な病気のリスク、健康増進法の改正による喫煙所の急速な減少…そして昨今の禁煙ブームの影響なのか、多少の地域差はあれど明らかに喫煙者という存在はマイノリティとなりつつある。噛み砕いていえば、とかく肩身が狭い。当たり前だ。非喫煙者からしてみれば、紙タバコも電子タバコも関係なく臭いし、人によっては副流煙で体調を崩してしまう危険性もある。「百害あって一利なし

          ハイカロリー飯を食らったあとの一服がいちばん整う

          永遠の不在

           二十歳ごろから付き合いのある友人が亡くなった。自殺だったらしい。まったく現実味のないその話を、私はすぐに信じることができなかった。あまりにも唐突で、つい最近会ったばかりなのに、あのとき元気そうにしていたのに、もう会えなくなってしまったなんて嘘だと思った。  通夜の日時や詳細について共通の友人から連絡がきて、その共通の友人の車に乗せてもらう形で斎場に向かうこととなった。私が最後に通夜や告別式に行ったのはおそらく7、8歳ごろで、実に十数年ぶりだ。そのため礼服を持っておらず、どう

          寄稿・学生演劇だより

          第7回全国学生演劇祭 特設ページ  2022年3月でサンピアザ劇場が休館する。これは対校祭にとって非常に大きな出来事だ。  サンピアザ劇場とは、北海道札幌市厚別区に所在する劇場である。複合商業施設の中に入っているので、食事や急な買い出しにも便利だ。対校祭もとい札幌学生対校演劇祭は、2010年に始まってからの11年間ずっと、この学生演劇祭にとって最適解ともいえる劇場で開催しつづけていた。劇場利用にかかる費用は格安、本来であれば手が届かないプロのスタッフさんと仕込みができ、事前

          寄稿・学生演劇だより

          最近観た映画メモ(2021年2月)

          ①『デッド・ドント・ダイ』 (2020年) DVDレンタル 愛すべき孤高の鬼才、ジム・ジャームッシュ監督の最新作。終始しっちゃかめっちゃかで、ツッコミどころは満載、特筆して盛り上がるシーンは無かった。が、好きか嫌いかでいえば好きだった。ゾンビはかわいい。いっそ人類みんなゾンビにならないだろうか。ゾンビになりたい。 ②『銀魂 THE FINAL』 (2021年) 劇場上映 私の思春期の隣には、ずっと『銀魂』があった。アニメもアニメ劇場版も観ていたし、コミックも週刊少年ジャ

          最近観た映画メモ(2021年2月)

          「空の村号」-札幌演劇シーズン2021冬 を観て考えたこと

          どうして人は、忘れてはいけないことを、知らず知らずのうちに忘れていってしまうのだろう。 2011年3月11日14時46分、当時15歳のわたしは、中学校の卒業式の予行練習で体育館に居た。大きな揺れののち、東北地方を中心とした大規模な地震が起こったこと、最大震度は7であったことが教師から告げられた。動揺のあまり、よく理解はできなかったが、とにかく恐ろしいことが今この瞬間に起こっているということは想像に難くなかった。言葉を失った。 しかし、札幌市在住の中学生のわたしは至って無事で

          「空の村号」-札幌演劇シーズン2021冬 を観て考えたこと