アイソレーションタンク施設をなぜ作りたいのか②ーーー身体アトラクションとしての鍼灸体験/ギャルトラ夏祭り!

昨日初めて鍼灸(針を身体に刺すやつ)をしてもらった。
結論から言うと、僕にはめっちゃ鍼灸が合ってた。

最近の僕

4月から奈良の山村に移住している。

地域おこし協力隊という制度で、国から最大3年間補助金を受けながら自分で事業を始めるやつ。ワーケーションとかに近く、でもそれよりも僕の性格やライフスタイルもあってアーティストレジデンス的な気分で日々を楽しんでいる。

他の記事に書いたとおり、アイソレーションタンクを自然環境の中で体験できる施設を作ろうと言うのが今のプラン。移住してから、実際に動き出す前にプランについて練っている現状。

もともと人生はサーフィン的な要素が強いと感じているので、向かってきた波にどう乗るかをその瞬間に考えればいいだろうと思っている。なので、他人に長期的な計画として言語化して説明するのは苦手。

そのため最近良くも悪くも考え続け、煮詰まっていたが先日一旦一周した感覚があった。その日タロットを引いてたまたま出てきたカードが「21:世界」で、そのカードの通り朝早くからたっぷりヨガをして、最後に瞑想をしてみたら楽しすぎてニヤニヤするほど。いつもは大体落ち着きがないのに、その日は瞑想が楽しすぎて家事や仕事に移行したくないなというくらいの調子の良さだった。

僕の性格

大体多動気味で日々を送り、たまに燃え尽きたように強い怠惰期がくるのを繰り返している。

多動や過集中気味で何かに没頭している時は眼精疲労や腰の奥、腸腰筋とかそういう深部の筋肉が固くなる。日常に支障はないが、身体の中に硬いところがあるというのは元々身体が元気な僕には集中を妨げるものとして存在してきた。本をたくさん読んだりパソコンで文章を書いたり、一晩中踊ったりしたりしていると腰辺りに疲れが溜まっているのを感じる。ここ半年くらいジムや肉体労働をしていなかったとかも関係はありそう。今住んでいるところにシャワーしかないから浴槽で重力を軽減できないとかも考えられる。ヨガやストレッチなどで多少は軽減できるが、徐々に蓄積してっていて困るなあとちょっと思っていた。そういう時にはだいたい「アイソレーションタンク入りてえ」って思う。

しかしアイソレーションタンクは60分8,000円くらいからの値段設定なので、庶民がポンポン入れる感じではない。なので、運動やダンスした後、多動気味で集中力がない時、じっくり考え事をしたい時にアイソレーションタンクに気軽に、日常的に入れる状態を作りたいなというのを2年前くらいから考えている。多趣味で思想や考えが移り気な割に、タンク環境を作りたいという意志は変わらず、自分でも驚いているところはある。

受けるまでの経緯

前職で出会った10歳くらい下のとても気が合う友達がいる。その友達が1年前くらいから新しい彼女ができて、その子は鍼灸師というのを聞いていた。新しい心身体験が好きなので受けたいなあと思いながら、ちょうどそのタイミングから名古屋で何かセミパブリックな場所を作ろうと貯金し始めていたので、受けに行くのをあと回しにしていた。その時はジムにいったり週イチくらいで肉体労働してたので、身体的な疲労を覚えることがあっても、身体が不調とまではいかないくらいだったってのもある。

で、最近図書館で『打てば響く 音の力、鍼の力』という本をたまたま見つけて借りた。


鍼灸は昔から興味があったが、対談が半分くらいあるってことと、「音との関連?」という気持ちで借りてみた。なぜか借りた時には気づかなかったけど、共著の相手が大友良英で、内容もいたく面白く、次名古屋に帰ったら鍼灸受けに行こう!という気持ちになっていた。

その折、その友人が村に遊びに来てくれることになった。彼女も一緒に来るということなので、ちょうどいい、施術を受ける前に色々聞いてから受けるか最終判断しようと思っていた。

いざ名古屋から2人がやって来て昼ごはんを食べながら話していると、なんと鍼灸セットを持ってきていて施術してくれるというではないか!僥倖とはまさにことのこと。その時求めているいることに偶然出会う経験は以前からしばしばあってラッキーなタイプとは自覚していたが、今回は向こうからやってきてくれた!

ご飯を食べて、施術を受けるなら空腹時のほうがよいということなので、ついでにちょっと高原をハイキングして一汗かいた後に針を刺してもらうことに。

施術中の感想

施術前に気になるところを話す。前述のとおり、腰と眼精疲労がたまりやすいことを伝える。腰はマッサージでは届いてない奥のほうな気がすることなどを話した。施術を受ける段階になったとたん、意識せず敬語で話し始めた自分を少し面白く思う。小型なメイクボックスほどの大きさの、革張りっぽい黒の鍼灸セットボックスを開くとそこには本で読んだディスポーザブル針やお灸がいくつかの種類入っていた。職人の道具箱っていいよな。ギタリストのエフェクターケース、料理人の包丁セット、スタイリストバッグ、医者の往診セット、カメラバッグ、大工の道具箱。

ベッドとかいるのかと思ったら、寝そべれるならどこでもいいということで畳に枕を置いて寝そべる。服装も特になんでもいいそう。寝ている方が理想ではあるが、筋肉が緩んでいればいいので部位によっては座ってもできるらしい。

指圧的に腰の筋肉周りを軽く押して触診した後、針を刺す。痛くても全然楽しい、注射も好きなタイプではあるのでどんとこいというスタンスだからもあり全然痛くない。痛さレベルで言うと静脈注射の1/10くらいの感じで、喋りながらとか意識を集中していないと気づかないと思う。しかしデリカシーの無さに反比例するかのように身体感覚が敏感で、しかも初体験に全集中している僕は感じた。今まで感じたことのない深部の感覚を。

部位やその部位のコリよって感覚が大きく変わるというのを聴きながら何本か打っていって、ある箇所を打った時、ズーンとしたような感覚を得た。

「すげー!こんなの初めて!」みたいな、生まれて初めてパクチーを食べた時を想起するような不思議な感覚。さっき書いた本のタイトルにある「打てば響く」というフレーズ的確なことを身を持って体験する。刺した所を中心にジーンというか、ズーンみたいな感じがその部位周辺に広がる。ベースの3弦開放の音くらいの周波数くらいの感じ。

テンポよく打ってもらいながらゆったりとした深めの呼吸をこころがけながら、全身で鍼の感覚を味わう。漫画『トリコ』の適合食材を食べたときの反応みたいに、直感でこれは僕に合っていると感じる。

本数は忘れたが、太さを替えたりしながら10本~20本くらいか打ち終えて抜いたあと、ちょっと今の感じ確かめてくださいと言われるので起き上がり、腰をねじってみる。いつも感じていたつっかえた感覚が極度に消えている!
「まじか、すげー、まじで?ヤバー」と極度に頭の悪い感想をつぶやきながらゆったりいつもやっているストレッチや、ローキーック、腰をひねるフックなどで確かめるが、まじで軽いというか、つっかえがない。一番硬い、凝った状態を10とするなら2くらいまで軽減されている。

鍼を刺したまま動いたりするともっと軽くなるのでやってみるかと聞かれるが、十分軽減されているのと、逆にこの状態からの経過を数日確かめてみたのもあり、今度やってみることにする。彼女が働いている鍼灸院では「0を目指すように」というスタンスらしい。

全感覚で「ヒャッハー!」なっている状態で、続いては仰向けになって両の眉頭に5mmほどの鍼を打ってもらう。そのまま5分ほど放置ということなので目を瞑りながら感覚を味わう。今度はさっきと違って、打ったところからじんわり気持ちよさが広がる。頭皮マッサージとか受けたときみたいな、軽くて明るい感じの感覚。その日は朝から眼精疲労がたまるようなことをしていなかったので、腰ほどは強い変化を感じなかったが、目を閉じたり開けたり、眼のストレッチ的にぐるぐる回したりしてみると、ぐっと眼を上下左右に動かして眼筋が伸びた時の感覚がいつもより軽い気がする。

打つ場所で感覚が違いすぎるので、全身のすべてのツボに鍼を打ってもらうという中長期目標が増えた。ヨガをしてから得た感覚だけど、身体や感覚、それらの拡張や探索はアトラクションとして楽しめる。


施術後の感想

今朝は4時半頃、空が明るくなる前、鳥が鳴き始めたくらいに目が覚めた。昨夜25時頃に寝たわりに目覚めがいいのと、なんというか「気」が整っている感覚があった。早起きしたときは大体家で本読んだりすることが多いんだけど、山から街に来たのもあってか、今日は珍しく外を散歩しようという気分になり、近所の大きめの公園まで歩く。

移住してから何度か名古屋や大阪に行ったりしたが、なんかこの今の感覚は初めてだなと思いながらメガネ無しのすべてがボワッとした視界のままゆっくり歩く。強烈に感じた感覚があり、音が山村と全然違う。遠くの車の音とか家電などの高周波/低周波の有無いつもより強く感じるんだけど、何より今朝驚いたのは、鳥の声の反射具合。

山に響く鳥やカエルの声に身体が馴染んだから&鍼を受けて感度抜群なんだからだろうけど、街の建物に反射する鳥の声の反響音が面白すぎて「やっべー」てなってた。フィールドレコーディング聴いたりDTMでリバーブやエコーを操作したりするからもあるから音への解像度が前より上がっているのもあるだろう。

自分の感度や世界への態度で体験は変わるというのは今まで何度も体験していたが、最近ここまでの感覚は無かったなと思い、ちょっと泣けてきて意味がわからんっていう謎体験を朝からした。サルトルの『嘔吐』の中で木の根っこを見て事物の「存在」を直で感じてその強烈さに主人公が吐き気を催すというシーンがあるが、それの超グッドバージョン的な。感情が動いて、とかでないレベルでグッと来て涙が出たといえば、胎内エコーで娘の心音を聴いた時を思いだす。


話は変わるが、施術してくれた彼女は学校を卒業してから2年ほど鍼灸院で働いているらしい。鍼を打つ前からなんか信頼できそうな感覚があり、実際に問診やテンポの良い施術を受けてみて、この感じだと鍼に興味があるけどちょっと怖いって言う人も安心して受けれるだろうなというプロの感じがあった。話していても精神年齢高そうな感じはうけつつも、学校卒業後2年で普通この信頼感出せるんか?って感じを受けた。施術者向きなんだろうなきっと。

帰りの車の中で、好きな音楽は何という質問をすると「洋楽も邦楽も好きで、EDMとか好きです。嫌いなのはゆっくりした音楽」みたいなちょっとおもしろい回答だったので詳しく聞いてみると、どうやらバラードとか、センチメンタルというか情感たっぷりな音楽を聴くとなんか落ち着かなくなるらしい。

僕のPCに入っている曲の中で好きなの無さそうだな〜と思いながらも色々流していると、一番刺さったのが2006年発売のコンピ『ギャルトラ夏祭り! Trance × Hiphop』。リサイクルショップで100円だし一回買ってみようと買ったアゲアゲなやつでEDMの系譜ではあるけど古さが微妙だし好みとはちょっと違うかなと思って流したけど、これでいいんだって思って笑けた。


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