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【医師解説】ダイエットでサーチュイン遺伝子が活性化

酵母菌にアミノ酸や糖を与えないで飢餓状態にすると、多くの酵母菌は死にますが、一部生き残る酵母菌がいます。
生き残った酵母菌を電子顕微鏡観察するとオートファジーが出現しています。一部の酵母菌はオートファジーによって自らのタンパク質を食べて栄養にして飢餓から生き残ることができました。

ヒトではこのオートファジーがうまく働かなくなると、細胞内で不要になった遺伝子の情報やタンパク質の除去ができず、発がんや拡張型心筋症、腎障害、アルツハイマー型認知症、糖尿病などの病気になることが知られています。

このオートファジーの出現はサーチュイン遺伝子が活性化することで出現します。飢餓状態でサーチュイン遺伝子が活性化し、オートファジーが出現すると考えらています。

オートファジーダイエットは、16時間程度食事を摂らないことで一時的に飢餓状態にします。するとオートファジーが出現し、細胞内に不要になった物質が除去されるため、健康や若返り効果が期待できます。

一方、ケトジェニックダイエットはケトン体ダイエットとも呼ばれ、脂質やタンパク質、野菜は普通に食べますが、基本的にはご飯、パンなどの炭水化物は食べない食事法です。
ケトジェニックダイエットもサーチュイン遺伝子が活性化し、体脂肪を活発に燃やす体になります。そしてアルツハイマー型認知症やパーキンソン病、うつ病、頭痛、てんかん、睡眠障害などの脳神経系の病気に効果が期待できます。

また、メチオニン制限食でもサーチュインが活性化します。メチオニンは羊、ウシ、トリマグロ、卵などに含まれています。メチオニン制限食は完全菜食主義者のビーガンの食事方法です。
メチオニン制限食により酵母菌や昆虫、哺乳動物で寿命が延びることが証明されています。 また、メチオニン制限食により脂肪の減少、酸化ストレスの減少、抗がん効果、糖尿病に対する改善効果などが知られています。

メチオニン制限によりシステインが欠乏すると、TSP遺伝子が発現して細胞内に硫化水素が発生します。この硫化水素はNAD+を増加させ、サーチュイン遺伝子(SIRT1)を活性化させます。

ただし、いずれにしてもダイエットはやりすぎると逆効果です。簡単にできるダイエットとしては、先にタンパク質と野菜を取って、5分以上経ってから炭水化物を食べるようにしましょう。そうするとGLP-1などのホルモンが働いて無理なく痩せやすい体になります。

青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範


参考文献:
1) Grabowska W, Sikora E, Bielak-Zmilewska A. Sirtuins, a promising target in showing down the ageing process.Biogerontol. 2917; 18: 447-476.
2) Hsu Yi-C, Wu Y-T, Tsai C-L, et al. Current understanding and future perspectives of the roles of sirtuins in the reprogramming and differentiation of pluripotent stem cells. Exp Biol Med. 2018; 243: 563-575.
3)サーチュイン遺伝子を活性化させる-食事制限と植物由来の医薬品 佐藤茂、劉效蘭 国際抗老化再生医療学会雜誌 The Journal of World Academy of Anti-Aging & Regenerative Medicine (WAARM) Society Vol.4 2021年,2022年10月

・院長プロフィール
総合内科、形成外科、美容皮膚科、美容外科。
がん診療に関しては10代の頃に母親を末期癌で亡くした経験と形成外科で癌術後の再建で患者様と日々関わることで、早期発見、予防医療の重要性を痛感し、がん検査や治療も行っている。
疾患の種類を問わず、アンチエイジングまで幅広い患者様に対応し、体の内側・外側ともに健康に綺麗にをモットーにしている。
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