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Fruit Street Healthの資金調達手法

オンラインで糖尿病予防プログラムを提供する米国のスタートアップ、Fruit Street Healthが2020年3月に1700万ドルの資金調達を行いました。同社は現在、5500万ドルの評価を受けています。同社の名前の由来は、最初の投資家を見つけたマサチューセッツ総合病院の住所から来ています。

医師が投資家

Fruit Street Healthの投資モデルは、市場に出回っている無数の遠隔医療企業とは一線を画しています。Fruit Street Healthは、ベンチャーキャピタリストにお願いするのではなく、医師からの直接の資金調達に力を入れ、これまで300人以上の医師が同社に出資しており、医師投資家のコミュニティ構築に焦点を当てています。これは、医師のエンジェル投資家が、単なる資金の調達のみではなく、アドバイザーとしても機能するためです。

CEOのLaurence Girard氏は、そのユニークなアプローチに強みを見出しており、こう述べています。

「私は、投資をしてくれた医師と一緒に仕事をすることが楽しいと感じ、彼らは社会的なインパクトを与えることを重視していました。Fruit Street Healthは、遠隔医療の力で公衆衛生に社会的インパクトを与えたいと考えている医師の草の根的な取り組みにしたかったのです。私は、ベンチャーキャピタルよりも医師の投資家に焦点を当てたかったのですが、これは、医師はベンチャーキャピタルよりもヘルスケア製品についてよく知っているからです。もし医師が私の製品を使ってくれたり、患者を相手にした経験に基づいてどのように設計すべきかを教えてくれたら最高です」

医師は25,000ドルから50,000ドルほど投資することが多く、多くの医師がIRA/401kを利用して、Fruit Street Healthに投資しています。最近ではStartEngineでクラウドファンディングキャンペーンを開始し、より多くの医師投資家に幅広い投資ポイントを提供し、医師コミュニティに対する価値を示しています。

医師は臨床プロトコルを開発し、お互いに治療について話し合うこともあります。医師がアイデアを投稿すると、他の医師がリアルタイムで回答することができます。ですから、大学のフォーラムのように、活発に議論を行うことができます。また、Zoomで毎週情報更新を行い、製品の進捗状況やビジネスへの影響を共有したり、製品設計や臨床プロトコールに関するコメントを共有したりします。医師たちは潜在的な顧客に有益な紹介をしたり、同僚に投資を勧めたりするかもしれません。

今後の展望として、Girard氏は1万人の医師コミュニティを構築し、製品開発に関する専門家の見識のハブとなり、将来の成長に向けて同社の地位を確固たるものにすることを想定しています。

CEOのLaurence Girard氏

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Girard氏が同社を設立したのは、医学部進学を目論んでいた2014年で、地元の救急病院でボランティア活動をしたり、オンラインで栄養疫学の授業を受けたりしていました。彼は、2型糖尿病のような状態でERに来る患者の多くが、ライフスタイルの変化で予防できる可能性があることに気づきました。

慢性疾患を管理するためのデジタルヘルスツールのニーズが高まっていると感じたGirard氏は、2014年にFruit Street Healthを設立しました。ERのボランティアをしていた時に、Girard氏はハーバード公衆衛生大学院とハーバードエクステンションスクールで栄養疫学のコースを受講し、当初の医学部進学の計画を変更しました。公衆衛生の分野でテクノロジーとアントレプレナーシップを組み合わせることで、より大きな社会的インパクトを与えることができるのではないかと考えました。

最初の3年間、Fruit Street Healthは遠隔医療ソフトウェアを開発し、製品の市場適合性を見つけるために努力していました。最終的には、Fruit Street Healthは、遠隔医療ソフトウェアからCDCの糖尿病予防プログラムの提供にビジネスモデルをピボットしました。

2017年、Girard氏はFitbitの幹部からのアドバイスに基づき、CDCの糖尿病予防プログラムの開発をすることにしました。Fruit Street Healthの糖尿病予防プログラムは、少なくとも9カ月間参加した参加者の平均体重が5%減少するなどの成果を達成しました。

Fruit Street Healthの糖尿病予防プログラム

Fruit Street Healthのような、糖尿病予防プログラムを開発しているデジタルヘルスのスタートアップはたくさんあります。Fitbits、血糖計、ワイヤレス体重計、血圧カフなどと同期できるデバイスも出ています。

しかし、Fluit Street Healthは、競合企業と差別化する方法を見つけました。Fluit Street Healthのシステムは、コーチとのテキスト通話やAIチャットボットを中心としたものではなく、毎週のグループビデオチャットを中心としたものです。登録された管理栄養士は、疾病管理予防センターの糖尿病予防プログラムを遠隔相談を通じて配信しています。

会員は毎週のグループクラスに参加するほか、食事の写真を共有し、管理栄養士がフィードバックを行います。グループクラスに焦点を当てることで、Fruit Street Healthは、ユーザーが月に20ドルという価格でそのプラットフォームにアクセスできるようにしています。

「人々のモチベーションを高めるには、実際に感情的なつながりを持つ人間が必要です」とGirard氏は言います。「グループアカウンタビリティのモデル、これはヘルスケアで証明されているものですが、遠隔医療の領域ではまだ実現されていません」

最終的には、Fruit Street Healthは、ライブビデオ、バーチャルプライマリーケア、栄養士ベースのサービスなど、Fruit Street Healthが既に提供している精神科医や心理士による行動療法を含む、より総合的な遠隔医療ソリューションの開発を計画しています。

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