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12. 科学的根拠からみたエキナセア(ハーブ)と子供のかぜ

インフルエンザや風邪ウィルスが流行する時期に、「エキナセア(ムラサキバレンギク)が、かぜやインフルエンザに有効」といった文言を見かけることがあります。

エキナセアは米国や欧州(特にドイツ)で広く使用されています。
現に、エキナセアを含むハーブ療法(Herbal medicine)は、国内外で非常によく使用されており、欧州では60億ドル、アメリカ・カナダでは15億ドルと推定され、巨大なマーケットを有しています。

今回は、このエキナセアが小児(特に12歳未満)において、かぜの予防に有効性があるのか、副作用を含む安全性が大丈夫かを、過去に報告された文献(10本ほど)をもとにご紹介しようと思います。

結論としては、エキナセアは...

・小児のかぜに有効性を示したエビデンスはほとんどない
・頻度の多い副作用として、嘔吐・下痢や発疹がある
・稀ではあるが、アナフィラキシー(重度のアレルギー反応)の報告がある
・欧州・豪州においては、使用に年齢制限がある

となります。

エキナセアとは?[歴史]

エキナセアを最初に使用したのは、アメリカのインディアンと考えられています。
アメリカの中央部と南西部で見られるキク科の植物で、咳、のどの痛み、扁桃炎など、さまざまな症状に使われていました。

様々な種類のエキナセアが存在しており、代表的な植物としては
・Echinacea purpurea
・Echinacea pallida
・Echinacea angustifolia

があります。

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