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RSウイルスの迅速検査って必要ですか?

夏〜冬にかけて流行するRSウイルスです。よく外来で「RSウイルスが心配なので、検査をしてください」とお願いされることがあります。あるいは、保育園や幼稚園から「RSウイルスの検査をしてくるように」と指示されていることもあるようです。

一方で、保護者や保育園・幼稚園の先生は「RSウイルスがどんな性質のウイルスか」「RSウイルスの迅速検査に保険適用があるのか」「検査をして感染拡大の予防につながるのか」といった基本的な知識がないまま、なんとなく「検査して欲しい」「検査をしてきてください」と言っているケースが多いように思います。

今回は、RSウイルスの基本的な事実とRSウイルス迅速検査について保険適用も含めて知っておいた方が良い事項をまとめています。

最後にQ&A形式にして、よくある質問にお答えするコーナーも設けましたので、そちらも読んで理解を深めていただければと思います。


RSウイルスってなんですか?

RSウイルス(Respiratory-Syncytial virus)はかぜの原因ウイルスの1つです。RSウイルスによる気道感染症は、実は乳幼児から高齢者まで見られます。

特に1歳未満の乳児では、肺炎や細気管支炎といった重篤な症状を引き起こすこともあり、医療者だけでなく保護者の方々も注意が必要です。

RSウイルスは、感染した人との接触や、咳・鼻汁に含まれるウイルスを吸い込むことで感染します。さらに、RSウイルスは感染力が強く、保育園・幼稚園、病院の外来や病棟、高齢者施設で流行することがあります。

ポイント
• RSウイルスは、急性上気道炎(かぜ)の原因ウイルスの1つ


RSウイルスの流行

RSウイルスの流行について少し解説していきましょう。[1]

RSウイルスは世界中で流行しており、季節性のアウトブレイクが特徴のようです[2]。北半球では、インフルエンザと同様のパターンを示すことが多いようです。

つまり、10-11月に始まり、1-2月にピークを迎え、3-5月に収束するパターンを示すことが多いようです[2]。また、RSウイルスは一度流行しだすと、その地域では4〜5ヶ月間ほど検出されるようです[2]。

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