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【映】観相師

『観相師』を見に行く(以下、結末に触れてます)。韓国王朝物は、日曜夜遅くにNHKでやってるドラマ以外で見るのははじめてかもしれない。面白い。面白いというにはあまりにも結末が悲劇すぎて後味が悪いのだが、見おわって、う~ん、と唸ってしまうほどよいできばえだと思った。

主役はソン・ガンホさんで、ぼくはこの人だけ出演者の名前がいえる。「映画にソン・ガンホが出ていたらとりあえず見ておけ」という言葉はぼくの座右の銘だ。ウソだけど。あとの人は、いっしょに行った(というかぼくが連れていかれたんだけど)カミさんになんという映画のなんという役で出てた人だとか、いちいち教えてもらった。『新しき世界』に出ていた人はぼんやりとわかった。

あらすじを書きたいのだが、ざっくりいうと、人の顔の相を見てその人の運命を占ってしまう(的中させる)ソン・ガンホさんが、宮廷の後継争いに巻き込まれてしまうというストーリーだ。でもこれ、韓国ではそうとう有名な史実だそうで、誰もが知ってる話らしいよね。

日本でいうと、たとえば本能寺の変みたいなもので、その国の人が見えれば誰がどう裏切ってどういう結末になって、というのをみんなが共有してるからこそ、より深い演技や解釈が楽しめることを、ぼくのようにその国の歴史にそれほど造詣が深くない人が見ると、むしろストーリー性の方でハラハラドキドキ驚かされる。

で、実際「どうなるんだろうどうなるんだろう」とやはりそっちが気になるのだった。そして、「まさか!」というくらいのむごい結末が待っていたわけで、客観的には(エンタメ的には)せめて主人公がもう一矢や二矢報いてほしいと思ってしまうが、史実では変えようがないし、こういうところが韓国映画のいい意味で冷徹なところだと感心する。

前半部分は、それでもソン・ガンホさんのサクセスストーリーになるのかとのんきに見ていられた。ユーモアとかそれなりに下品な笑いとかもいっぱいあって和やかだったのが、半分くらいたって悪役登場で雰囲気が一気にダークな世界に転換した。これは見事だったなあ。

それからこういうこと書いても、考えてみれば具体的なあらすじをなにひとつ書いてないので、読んでる人に伝わらないかもしれませんが、観相師といえども、自分や自分の息子や義弟の運命はわかっていても、結局変えられないという、強烈な皮肉も効いていて、そこもすごくよかったですね。

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