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(無料公開)20200401 桂米朝「芸能が栄えんのは街の人々の感謝がないからや。神様を勧請して手を合わせなあかん」

先日の日経新聞で、トリイホールが閉館するという記事の所に、桂米朝師匠のお言葉がございました。

アイキャッチ画像が、お江戸の末廣亭なのは、ご愛敬ということで。

トリイホールでの興行が中止になり、悪い流れになった時、米朝師匠が言った言葉だそうです。

「芸能が栄えんのは街の人々の感謝がないからや。神様を勧請して手を合わせなあかん」

この言葉、今一度、立ち止まって考えてみないといけないと思います。

元々芸能は、神様にご覧いただくもの。

元来、日本において、芸能というのは、神様にご覧いただくものという考え方がございます。例えば、能舞台。背景に、松の絵が飾られていますが、これは、春日神社の「影向(ようごう)の松」をモデルに描いています。

昔、神様がこの松に乗り移って舞をまい、疫病を退散したといういわれがあります。そして、その神様が乗り移った、松に向かって舞うことが本来の形です。

しかし、芸能が大衆化し、お客様にも見ていただく場合、お客様に尻を向けて舞う訳にもいきません。そこで、「あくまでも松に向かって舞っています」という設定を保つために「鏡に映した松」を能舞台の背景に掲げています。
ですので、この松は「鏡松」と呼ばれています。

また、先日、大相撲が無観客で開催した際に、神送りの儀式までがNHKで生放送されたとニュースになりました。

土俵祭で降りてきてくださった神様を送り返すための儀式だそうです。

そう考えれば、相撲も神事であり、一種の芸能と捉えられなくもありません。

このように、日本の芸能というのは、「神様に奉納する」という意味合いを持ち合わせています。よく考えれば、天の岩戸を開いたアメノウズメも踊ってましたもんねw

芸能は勧進。楽しんで寄付をいただく。

では、どうして、その神様に奉納する芸能が、人に見ていただく方向になったのか。ここに、「勧進」という発想が出てまいります。

この「勧進」について、2月に京都で開催された、「勧進『新淇劇』有斐斎弘道館再興十周年記念」の冒頭、桂吉坊さんのまくらで面白い話がありました。

寄付などというのもございますが、自分の身を切ったお金というものは相手に渡っても身を切るといいます。ですから、芸事などを見ていただいて、楽しんでいただいたお金をいただき、それを寺社の建立費用にあてようなどちゅうのが、「勧進」の考え方です。

つまり、神様に捧げる芸をお客様に見ていただき、それで、いただいたお金を寺社等に寄進するということですね。実際、この「勧進」という考え方が出てくるまで、お客様に芸を披露してお金をいただくという発想はなかったそうです。

勧進を見た、お客様が先人や神様への感謝を抱く

冒頭に掲げた、米朝師匠の言葉

「芸能が栄えんのは街の人々の感謝がないからや。神様を勧請して手を合わせなあかん」

これは、因果関係を間違えてはいけないです。「街の人々の感謝がない」ことも結果なのです。芸人や伝統芸能に関係する一人であれば、「土地の神様や先人が喜ぶような勧進ができていない」、だから、「街の人々の感謝がない」ということに頭を悩まさなければなりません。

なので、「街の人々に感謝してもらう」ということが根本ではなく、「土地の神様や先人に喜んでもらう!」ことができれば、自ずと道は開けていくはずです。

上の記事で、トリイホールの館長で、僧侶である鳥居弘昌さんは、僧侶として、ミナミの地を築いてきた先人たちに感謝をささげ、慰霊をすることこそ、自分の役割ではないかと気づいたとのことでした。

賑わいや繁盛はただ、人を集めるだけにあらず。「勧進」こそが「肝心」と「感じんる」でございます。

お後がよろしいようで。。。

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2012年に書いた、ラップのリリック

いつかは作り出すさ 皆が誇れる レペゼン 枚方city そのために俺はしのぎ削るからお前らもやんな OK それじゃな
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