NiziU マヤのヴィーナス その7
ミロのヴィーナス ダビデのポーズ マヤのヴィーナス
コントラポストは紀元前のギリシャで考案された芸術技法です。ミロのヴィーナス、ニケなどの女神像にS字曲線の美しさを残しています。それらは今も美の頂点として輝いています。
ルネサンスにおいても、コントラポストの再発見があり、ダ・ヴィンチの
レダと白鳥、ミケランジェロのダビテ像などの傑作が生まれました。レダはコントラポストの正確な理想像でもあり、上半身と下半身のS字曲線美を極めています。そして頭部と首はS字曲線の延長線上にあり、調和と自然体を表しているようです。
ミケランジェロはその基調をコントラポストとしながらも、首と上胸部をS字曲線の湾曲から逆に捻り、そこに決意,勇気,勝利の確信といった強さを刻みこんだのでしょう。あのダビデ像です。
人の頸椎を横から見ると。やや後方に湾曲しており、水平をにらむダビテ像にはS字曲線は消えたようです。上半身の側彎に対し、首から上胸部を逆に捻じり、水平をにらむポーズをダビデのポーズといたしました。
お話をダンスにいたしましょう。先日、NiziUさん達はツアーでBangBangを披露しました。このオリジナルは2014年の作品ですが、パワフルな女性の振り付けとして、ダビデのポーズに近いものが頻回にみうけられます。そこにはS字曲線はないようです。😊
2018年1月から3月、15才のマヤさんは、あのダビデのポーズに捻りを深くし、顎をひくことによりS字曲線を新しく構築したダンスを披露しています。それはコントラポストのS字曲線とは異なり、上半身内のS字曲線(別名マヤのヴィーナス)です。
所属していたダンスグループTiny Tonyのオリジナル曲で7回程、Playing
with Fireのカヴァーダンスで20回程マヤのヴィーナスを演じています。そのS字曲線には美しさ、優しさ、可憐さを見いだせるでしょう。
2018年3月
同じく2018年、ダンサーであり、振付師であるMay J Lee氏はBang
Bangのダンスでダビデのポーズに類似した振りを7回ほど演じています。目線は水平で,正面視され、S字曲線ではないようです。
2020年1月、マヤさんは虹プロの韓国合宿㊁おいて、TOUCHで20回程、練習動画で10回、SWING BABYで7回程上半身内S字曲線を踊っています。特に練習動画は凄いですね。
2020年8月,Kiel Tutin氏の振り付けのもと、Black Pinkさんがlovesick girlsを発表しましたが、そのなかのダビデのポーズは見せ場の1つでしょうネ。
2021年の年末から翌年の年明けにかけて、NiziUさん達はBeyond the RainbowとSuper Summerを新しい振り付けで踊りました。これらのダンスのなかに数多くの上半身内S字曲線の振りが盛り込まれていました。このダンスはともに好評のようでした。が、振り付けた者の名前は公表されていないようです。当時,これを振付け、デモをしめせるのはマヤさんしかいないハズですが、どうなんでしょう。
それではダンスにおけるマヤのヴィーナスとはなんでしょう。それぞれの場面における振りそのものだけではないのです。個別の振りで素立ち、直立、前屈、後屈などを除いても、半数程のポーズや振りに体幹の側彎があるのではないでしょうか。そうするとダンスするとき、側彎の逆には、影の形でマヤのヴィーナス(ダビデのポーズも含む)が準備されていることになります。それは単純なミラー像ではなく、ねじれた対義像(アバターともいえそう)のようなものではないでしょうか。ともかく側彎さえあれば、なければ作れば、マヤのヴィーナを誕生させ、その美しさ、華やかさ、おしとやかさを、時には怒りを踊らせることができるのです。そうなんです。マヤのヴィーナスは創作技法の1つでもあり、無限の可能性も有しているようです。
Beyond the RainbowとSuper Summerにはこの技法が健在であるとわかりました。
ゆっくりまちましょう その日まで
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