なぜTelegramはAppleとGoogleが投票アプリを停止したときに追随しなければならなかったのか
Pavel DurovSeptember 26, 2021
テレグラムは、他のどの人気モバイルアプリケーションよりも、ユーザーに言論の自由を与えています。他のアプリケーションとは異なり、Telegramは株主やクラウドプロバイダー、広告主から圧力を受けて不当な検閲を受けることはありません。
しかし、テレグラムは単独で存在しているわけではありません。銀行や通信事業者、アップルやグーグルなど、他の企業に依存して機能しています。というのも、テレグラムは他のモバイルアプリと同様に、iOSやAndroidのユーザーが利用できるようにするためには、AppleやGoogleが定めたルールに従わなければならないからです。
今年、GoogleとAppleは、Telegramのようなアプリが運営されている国の現地法に準拠することを要求し始めました。一部の法律（監視法など）は人権と相容れないものですが、それを無視したためにOS開発者から圧力を受けたことはありません。他の法律は、主に公開されたコンテンツに関連するものですが、AppleやGoogleが正当なものと考えているので、彼らが自分たちのエコシステムでそれらを施行するたびに、私たちもそれに従わなければなりません。
その一例として、先週、アップル社とグーグル社が、ロシアの投票アプリを現地の法律に基づいて禁止したことが挙げられます。このアプリは、戦術的な投票アドバイスを提供し、先週末のロシア議会選挙で共産党への投票をユーザーのほとんどに指示していました。この投票アプリは、数ヶ月前からTelegramのボットとしても存在しており、何千もの報告や削除要請があったにもかかわらず、そのまま利用できるようにしていました。しかし、選挙が始まると、GoogleとAppleはそれぞれのアプリストアからこのアプリを削除しました。その理由は、このアプリが選挙への干渉を禁じる現地の法律に違反しており、コンプライアンスを確保するのは開発者の責任であると説明したからです。24時間以内に、Telegramはストアのポリシーに従い、選挙期間中の残り2日間、ボットを一時的に停止せざるを得なくなりました。
そのようなことをしなくてもよかったのではないかという声もありました。彼らは当然のことながら、検閲の要求があればそれを疑うことを期待しています。私たちの歴史を知っている人なら誰でも知っているように、Telegramは政府に立ち向かい、必要であれば喧嘩を売った最初のアプリです。香港からベラルーシまで、多くの権威主義国で何度もそれを行ってきました。私たちは何年もの間、サービスをブロックしようとする試みに見事に耐えてきました。しかし、先週末は戦争を始めるのに適したタイミングではありませんでした。それには2つの理由があります。
まず、アップルとグーグルのサポートがなければ、現地の規制当局との戦いは始まる前に失われてしまいます。アップルとグーグルが、国内法に準拠していないという理由で、ある国のアプリストアからテレグラムを削除してしまうと（このような場合、彼らは現在、そうすると脅しています）、テレグラムは、その国のユーザーがアプリやそのアップデートをインストールできなくなるため、現地の禁止措置を回避する能力を失ってしまいます。この国のユーザーは、アプリやそのアップデートをインストールすることができなくなります。既存のユーザーであっても、アップルやグーグルがアプリの通知機能をオフにすれば、テレグラムへのアクセスができなくなります（通知機能は、ユーザーにメッセージを届けるだけでなく、ブロックされていないIPアドレスを配信して検閲を逃れるためにも使われます）。
第二に、今回のロシア当局の要求は、明らかに違憲ではありませんでした。投票中の政治的キャンペーンを禁止する法律は多くの国で存在し、ロシアの法律もかなり前に導入されています。もしヨーロッパの国々から同様の要求を受けていたら、それに応じていたでしょう。逆に、ロシアやその他の国が明らかに人権を侵害するような要求をしてきた場合、私たちは自分たちの価値観を妥協するよりも、その国でテレグラムを全面的に禁止することになるでしょう。
これは以前にもあったことです。イラン政府がテレグラムに圧力をかけて、イラン政府に反対するすべての声を封じようとしたとき、私たちはそれを無視して、4000万人のユーザーを失う覚悟でイランでブロックされました。同様に、私たちは2018年にロシアでブロックされることを選択しましたが、それは大量の監視を求める違憲の要求に屈するためではありませんでした。
しかし、今回は状況が全く異なりました。すでに選挙が行われている中で、選挙運動用のボットを一時的に停止するという要求は、大量の監視や大量の検閲を要求するものとは程遠いものです。
5,000万人のロシア人がプライバシーと言論の自由のためにTelegramを利用しており、5億人以上の他のTelegramユーザーが重要なアップデートに依存していますが、これらのアップデートは通常、地域のコンプライアンス違反の場合にアプリストアによってグローバルに保留されます。選挙が始まってから、ある政党に2日間の追加キャンペーンをさせるために、ロシア人全員のテレグラムをブロックすることは、明確な勝ち筋のないチェスでクイーンを犠牲にするようなものです。私にとって、何億人ものテレグラム・ユーザーの利益は、いかなる政治勢力の利益よりも常に比較にならないほど重要なものです。そして私は、常にユーザーを最優先するという原則のために、与党と野党の両方の政治家から個人的に熱を受ける覚悟があります。
Telegramは、自由と常識を守るためにメッセージングアプリに期待されることを最大限に実行しています。特にロシアでは、言論の自由を守るためにこれ以上の活動をしているプラットフォームは他にありません。今年だけでも、人々が抗議活動を行うためのチャンネルの削除を拒否したことで、ロシア当局から3,500万ルーブルの罰金を科せられました。これらのチャンネルのほとんどは、投票ボットの作成者が所有しており、彼らは何年も前からフォロワーを調整するためにチャンネルを使用しており、それを続けています。
一部のユーザーは、Telegramが誰からも100％独立していて、AppleやGoogle、各国の国内法を無視できることを願っています。私もそれが可能であればと思います。しかし、私たちが生きている現実は違います。私は、アップルとグーグルの二重構造が言論の自由にとって危険であることを何度も世間に警告してきました。また、8月に書いたように、世界は全般的に検閲を強化しており、地政学的なライバルからの選挙妨害を懸念して、民主主義国でさえも言論の自由の定義を変えている。
残念ながら、どんなモバイルアプリでも、あらゆる制限からの絶対的な自由を提供することはできません。しかし、Telegramにできること、そしてこれからできることは、公共の場での議論に可能な限りの範囲を提供することです。私たちの使命は、お客様に世界最高のメッセージングアプリを提供することであり、これにはお客様の自由を守るために他社よりも多くのことを行うことが含まれます。私たちは、理論的に実現可能な範囲に限定して、このミッションを推進していきます。
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