知らない人んち(仮) 第4話アイデア&なんとかシナリオも


#テレ東シナリオコンテスト

<バックグラウンド>

養護施設「ひまわり」。きいろの本当の名前はあおい。きいろには双子の妹がいた、妹の名前はきいろ。捨て子のあおいと妹のきいろ。タケダはアク、キャン、ジェミと同じように愛情を注いで5人を育てる。きいろの里親が見つかったが、姉妹2人ともではなくきいろだけを引き取りたいと言う。あおいは妹と離れることを嫌がり、きいろを暗室へ閉じ込めてしまう。間違ってきいろは部屋の中から鍵を閉めてしまう。閉じ込められたきいろを助けようとするタケダ。ドアを開けたとききいろは部屋で倒れていた。事故である。きいろは部屋からでようとして椅子や棚にあがろうとしたが頭から落ちて血を流し倒れていた。夜、タケダは急いで病院に運ぶ、病院の宿直だった看護婦・佐和子(伊藤修子)。息を引き取るきいろ。幼いあおい、キャン、ジェミは何が起こったのかちゃんと理解できていない。アクとタケダはそのことを秘密にし、あおいをきいろとして里親に引き渡す、養護施設のことを忘れさせたいと里親に頼み名前も変えることを提案し、とっさにでてきた”佐和子”として里親に預ける。まなかきいろはYoutuberとしてのハンドルネーム。なぜ堂島(里親の性)佐和子はきいろと名乗ったのか・・・

〇リビング

ジェミ「きいろ、これあなた?」

スマホを画面を見せるジェミ、堂島佐和子の写真。

きいろ「あ、それは・・・」

少し動揺するきいろだが、ニコッと笑う。

きいろ「ばれちゃいました、それ私です」

ジェミ「じゃあ、きいろって?」

きいろ「やだなあ、そんなのハンドルネームに決まってるじゃないですか」

ジェミ「あなた、まなかきいろじゃないの?」

きいろ「どこかで聞いたことがあるんだけど思い出せなくて、でも面白い名前だよね、まなかきいろ」

玄関ドアを叩く音が聞こえる。

〇玄関

ジェミ「どなたですか?」

女性の声「佐和子です、伊藤佐和子」

ドアを開けるジェミ。

伊藤佐和子(伊藤修子)が笑顔で立っている。

伊藤「あなた、ジェミちゃん?」

ジェミ「え、どうして?」

伊藤「変わってないわねえ、目元なんかちっちゃい頃のままね」

奥から覗いているきいろに気づく伊藤。

伊藤「あら、あなたは・・・あおいちゃん!」

きいろ「あおい?」

ハッと何かを思い出したようなそぶりのジェミ。

ゆっくり振り返りきいろを見るジェミ。

ジェミ「あなた、あおいなの?」

きいろ「え? あおい・・・」

きいろの頭の中がぐるぐると回る。

倒れるきいろ。

〇和室

寝ているきいろ。

〇リビング

ジェミと伊藤、向かい合ってすわっているが会話はない。

きょろきょろと部屋を見渡す伊藤。

伊藤「なんにも変わってないわねえ、あの頃のまま、この家」

ジェミ「あなた、あの時の病院の・・・」

伊藤「思い出してくれた? タケダさんは?」

ジェミ「先生は・・・死にました・・・」

伊藤「え! どうして?」

ジェミ「ネットででてますから」

スマホで検索する伊藤。

伊藤「どれなの? なにもでないけど」

ジェミ「え?」

自分のスマホで検索するが事件のことがヒットしない。

ジェミ「どういうこと?」

アク「そういうことだ」

アクとキャンがいる。

タケダが申し訳なさそうに現れる。

ジェミ「先生!」

タケダ「ごめん!」

アク「まってください、先生は何も悪くないですから」

タケダ「だましてごめん、もう終わりにしたかったんだ、俺が死んで、きいろ、いや、あおいがここから出て行って・・・」

部屋を見渡すタケダ。

タケダ「おれがいなくなったら、ここは、みんなにとって知らない人んちになるだろ」

ジェミ「知らない、人んち・・・」

アク「ただひとつ想定外のことが起こってしまったけど」

伊藤を見るアク。

伊藤「え? あたし?」

アク「(タケダを見ながら)どうして伊藤さんがここに?」

タケダ「すまん、みんなが集まってたんで久しぶりに連絡しちゃって」

アク「きいろは?」

ジェミ「和室で寝てる」

キャン「きいろちゃん!」

みんなが振り返るときいろがいる。

きいろ「佐和子ってどうして私と同じ名前の人がいるんですか? 私はきいろです、え、きいろじゃない? え、どういうこと? なんなんですか、この家? 何が真実で、何が嘘で、何が・・・」

みんながきいろを見ている。

きいろ「私は、誰なんですか?」

タケダ「(アクを見て)もういいだろ」

アクがポケットから鍵をだす。

〇暗室・前

アクが鎖につながった鍵を開ける。

アク「(きいろに)さあ、どうぞ」

〇暗室・中

きいろが入ってくる、部屋には何もない。

きいろ「ここは何?」

アク「ここは、あおいときいろの部屋だ」

きいろ「私の、部屋?」

アク「そう、(きいろを指さし)あおいと、妹のきいろ」

きいろ「妹?」

ジェミ「妹のきいろ・・・」

キャンを見るジェミ。

ジェミ「いつから知ってたの?」

キャン「ごめん、だってジェミがひとりできいろちゃんに会ったりするから、私はアクから聞いて」

アク「ジェミがきいろに会うんじゃないかって思ってたよ、だってジェミはあおいと一番仲がよかったからな」

きいろと目が合うジェミ。

タケダ「ここである事故が起きた、きいろが間違って閉じ込められてしまってな・・・」

〇(回想)暗室の前

中から女の子の声が聞こえる。

タケダがドアを開けようとするが鍵がかかって開けられない。

その様子を見ている男の子。

タケダ「きいろ、今助けてやるからな、いいかじっとしてるんだぞ」

焦ってるタケダの腕が廊下の棚に置いてある花瓶にあたり、花瓶が落ちて割れる。それを見ている男の子。

タケダが慌てて1階に降りていく。

部屋の中からは声が聞こえない。

突然、ものが床に叩きつけられるような鈍い音がする。

〇元の暗室

タケダ「ドアを開けたときには、きいろは頭から血を流して、倒れていた。たぶん部屋からでようとしてまちがって棚に上って落ちたんだと思う」

きいろ「その子はどうなったんですか?」

タケダ「病院に運んだんだけど、助からなかった」

きいろ「え・・・」

タケダ「その時、賢明にきいろを助けてくれようとしてくれたのが、看護婦の伊藤さんだ」

きいろ「え、まって、きいろは死んだの? え、何? じゃ私は? 私は誰なの?」

アク「君はきいろの双子の姉、あおいだよ」

きいろ「あおい・・・」

アク「きいろは里親が決まっていた、先生はこんなところにいるよりも幸せになれるだろうと思って、あおいをきいろとして預けたんだ」

きいろ「でもあおいなんて知らない、私、佐和子って」

アク「もうここのことを忘れさそうと、名前を変えてもらったんだ」

みんなが伊藤を見る。

伊藤「え? 私?」

くすっと笑うキャン。

キャン「佐和子って、もうちょっとかわいい名前があったんじゃない」

伊藤「なによ、いいでしょ、阿川佐和子と同じ佐和子なんだから」

タケダ「ああ、もういい、もういいよ」

両手できいろを包み込むように腕を優しくつかむタケダ。

タケダ「あおい、いや、きいろ。きいろが幸せならそれでいいじゃないか」

きいろ「幸せ・・・」

タケダ「忘れてていい、昔のことなんか思い出さなくていい、今が楽しいならそれでいいじゃないか」

〇リビング

冷蔵庫をあける伊藤、冷えているビールを取り出す。

伊藤「さあ、さあ、みんなで飲みましょう」

それぞれに缶ビールを渡す伊藤。

アク、キャン、ジャミは少し戸惑っている。

タケダ「さあ、乾杯だ」

アク「乾杯って、そんな気分じゃ、それに・・・」

きいろを見るアク、無表情のきいろ。

タケダ「いいんだ、これはみんなが卒業する乾杯だ」

ジェミ「卒業?」

タケダ「俺もここから出る、もう終わりにする、だからみんなもここを卒業してくれ、いや卒業するんだ」

ビールを差し出すタケダ。

タケダ「これは明日からの俺たちへの乾杯だ」

アク、キャン、ジェミの顔が和らぐ。

タケダ「(きいろを見て)きいろも」

きいろ「はい」

全員がビールを前へ差し出し、

全員「乾杯!」

ビールを飲む5人。

伊藤「まさかこの子達とお酒を飲む日が来るなんてね」

それぞれが話している中、アクはきいろを見ている。

〇(回想)暗室・前

女の子が一人暗室の中にいる、ドアが閉まる。

ドアを叩く音が響き、中から「お姉ちゃん、お姉ちゃん」と叫ぶ声。

ドアが開かないように立つ女の子。

中の女の子がドアノブのあたりを押したり引いたりしていると鍵がかかってしまう。

ドアの前から女の子の姿が消える。

〇元のリビング

ハンカチのはじを噛むアク。

キャン「どうしたの、アク」

アク「いや、なんでもない」

ジェミ「本当に忘れていいのかな?」

アク「先生がそう言ってるんだ」

ジェミ「私達、どうなるの?」

アク「これでここは、知らない人んちだ」

キャン「ねえ、アクの計画は終わったんだよね?」

ジェミ「計画?」

アク「きいろは覚えてなかったんだ、俺達ももう忘れよう」

キャン「これで、いいんだよね? アクはきいろのことを守ってあげたかったんだよね?」

アク「ああ、そうだよ、きいろを守ってやりたかった・・・」

キャン・ジェミ「え?」

きいろの笑い声が聞こえる。

アク、キャン、ジェミがきいろを見る。

きいろが爆笑している。

キャン「きいろちゃん、どうしたの?」

きいろ「だってあの顔、おもしろーい」

きいろが指さす方を見るアク、キャン、ジェミ。

タケダがタコくちの変顔をしている。

キャン「きいろちゃん・・・」

ジェミ「まさか・・・」

アク「(ハンカチを落とし)思いだし・・・」

きいろが笑っている。

きいろのナレーション「そう、やっぱりここは、知らない人んち」

(完)













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