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call you back absentee

半分原稿を落としそうなので走り書きをしています。今回は「コール・ユー・バック・アブセンティ」という題目で少々。

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なりたいものもなくて、なんとなく大学に行って、今思うとモラトリアムの境地、それまで半分死んでいたような僕がアラサーに足を踏み入れんとする(一般的に)大事な時間は、このお店の登場で一変することになった。

absenteeとは、stiffslack栄店の隣に2010年にオープンしたバー。僕はこのころから人生の大事なタイミングを、何度もここで経験した。

absenteeという名前は、一説にJOWBOXのトラック・タイトルabsenter(かっこいい)からもじった、また一説に、stiffslackの一ケタ台リリース「マイケル・ネイス」が所属していた(どのジャンルに属すんだあれは…ポストハードコアでいいだろうか)バンド、drill for absentee(かっこいい)からもじった、など諸説ある(どっちでしたっけ)。今思えば「(隣に居るけど)不在だよ」というニュアンスがあると感じているabsenteeという名前には、ここはオーナーの所有物でなく、ゆるやかにみんなの場所になる、というオーナーの思いがあったのかもしれない。(わからんが)

作ったこともないカクテルを調べ、調達し、足元がおぼつかなくなる程に試飲した。保健所審査を通すために図面を引き、バタ戸の必要性と天井の施工状態を知った。人の話に耳を傾けながら、ときには適当なことを言い、ときには偉そうに説教し、ときには深い繋がりを得ることができたあの場所は、並行して跋扈していたmixi、twitter、instagramなどネットワーク上のつながりとともに、僕の人生に大きな禍根を残しながら、確実に糧になっている、と感じたりするのだった。僕のだいたいはあの頃で今の形になった。すべてが今に活きている。

先日LITEの井澤氏がライブのために来名し、stiffslack venueの控室に入ったときに「前のバーの雰囲気が残っている」と口にしていたのを、僕は聞き逃さなかった。約一年前にあの控室を作ったときも、みんなでそういうふうにしようぜ、と準備をしたのを見ていたし、これはとんでもなく嬉しいことだ。誰かに語り継がれるようなお店になっていたのだな。

もうあれから11年。数字だけ聞くと、重い期間だ。
僕よ、前に進んでいるか。

2021.5.11 締め切り1日後に @ryotaroniimi

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