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体当たりの訪問看護

訪問看護を始めて丸2年が経ちました。
右も左もわからない中で遮二無二働いてきました。
もちろん、訪問しておこなうことは、看護実践ですから、これまでの経験を活かすことはできます。
しかし、在宅というフィールドでは、病棟とは全然違う頭の使い方をしないといけない場面もあります。

そのひとつは、連携と調整です。
関係するケアマネジャー、医師、介護士、薬剤師、地域連携室などさまざまな在宅の専門家と渡り歩く必要があります。もちろん、病棟でも様々な連携は必要ですが、ことなる事業所の方々と調整するのは気を遣うことも多いです。これを訪問の合間に行っていくので、のんびり働くということにはなりません。それぞれの事業所の特徴を踏まえたうえで、適時適切な情報共有が求められるので、一律の対応ができるわけでもありません。日々のたゆまぬ連携によって、お客様の生活を支えることが可能になります。病棟と違い、一人ひとりにゆっくり関われるというイメージはあり、たしかにそういう部分もありますが、私たちの訪問は、限られた回数、時間でしかありません。その限られた関りのなかで、次の訪問までその方が安心して暮らせるかどうかは、他の関係者との密な情報共有が欠かせません。自分たちの仕事だけで成り立つものではないということを肝に銘じて、日々のコミュニケーションは欠かせないものです。

訪問すると、お客様が家にいないということもあります。
ご家族に連絡すると、あそこの店に行っているんじゃないかと。そこで近くの店に行くと、そこで買い物をされていたなんてこともよくあります。そういうことがあるので、日々のコミュニケーションが大切なのです。

私たちの仕事は病気だけを看るわけでもないし、生活だけを看るわけでもありません。その人の生き方全体を看ています。全体と行っても、生活すべてを管理するわけでもありません。できることは限られる。けれども、その方の生き方全体を様々な視点で理解しようとし、その方の価値観、生活スタイルを受け止めながら、その方の健康に暮らしたいという思いを支えていくものなのだと思います。一面的な疾患管理(も大切ですが)だけではなく、できる限り広く深く理解しようとし、そして、自分たちの正しさを押し付けることなく、謙虚にかかわり続けるということが大切だと感じています。

看護師一人ひとりの経験、価値観が常に問われる仕事だと思いますし、楽ではないなと思います。でも、楽をするために訪問看護をしているわけではありませんよね。病棟で、患者としての役割を振舞っていた方は、家に帰れば、患者ではなく、一人の人として生活されているわけで、四角四面な対応で満足していただけるわけないのは当然のことです。

そういうわけで、日々あれこれ懊悩しながら、悶絶しながら、でもその経験を楽しみながら働いている次第です。

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