鈴鹿さくら

読書が好きな臨床心理士、公認心理師。

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最近の記事

「存在のすべてを」塩田武士著

【あらすじ】 平成3年に発生した誘拐事件から30年。 新聞記者の門田は旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の今を知る。再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がる。 質感なき時代に「実」を見つめる者たち。 (Amazon本の概要より引用。) 【感想】ネタバレあり 人生には分岐点がある。囚われてる世界から抜け出すのも一瞬だし、平和な世界が崩れるのも一瞬だ。 本著は、様々な登場人物の人生の分岐点を描く。一瞬の判断が命取りになる誘拐事件に関わる捜査官から、うまく自分の想い

    • 「13階段」高野和明著

      【あらすじ】 記憶を失った死刑囚が、「階段に登っていた」記憶を思い出した。刑務官の南郷と前科者の三上が当時の事件を探る。 【感想】 🌸大小あれど、誰しもが罪を背負っている。赦されることを望み、誰かを助けようとする者もいれば、罪に罪を重ねる者もいる。 南郷と三上は前者だ。 一度逆境に立たされた時、踵を返し元の道に戻れる人がどれだけいるだろうか? 2人の奮闘を通し、その難しさと、美しさを感じた。 🌸「人が人を正義の名の下に裁こうとするとき、その正義には普遍的な基準など存在しな

      • 自由研究には向かない殺人 ホリー・ジャクソン著

        【あらすじ】 平和なイギリスの田舎街。この街では5年前、少女失踪事件が起き、犯人自殺で終了していた。犯人とされる少年、サルの家族は街全体から後ろ指を刺され、時が止まったように生きていた。 主人公ピップは17歳、女子高生。サルの無実を証明するため、自由研究と銘打ち真相究明に向かい突き進む。「彼が殺人犯でないと証明する。それが私の自由研究。」 【感想】 🌸ピップはSNSや地道なインタビュー駆使して調査。ピップと共に調査している気分になれるが前半の情報収集は少し退屈気味。文化の違

      「存在のすべてを」塩田武士著