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球団ヒストリー75.都市対抗二次予選、沖縄での挑戦

第85回都市対抗二次予選の顔ぶれ

2014年。
鹿児島ドリームウェーブは、第85回都市対抗野球大会南九州予選で企業チームである宮崎梅田学園などを倒し、二次予選への切符を手にした。

二次予選には、九州各地の予選を勝ち抜いた12チームが終結。
そうそうたる企業チームが名を連ねる。

ホンダ熊本(熊本・大津町)
三菱重工長崎(長崎市)
てるクリニック(那覇市)
九州三菱自動車(福岡市)
熊本ゴールデンラークス(熊本市)
沖縄電力(沖縄・浦添市)
西部ガス(福岡市)
ビッグ開発ベースボールクラブ(那覇市)
苅田ビクトリーズベースボールクラブ(福岡・苅田町)
新日鐵住金大分クラブ(大分市)
JR九州(北九州市)
そして、鹿児島ドリームウェーブ(鹿児島市)

この12チームから3チームだけが、都市対抗本戦への切符を手にすることとなる。

この大会の模様を、スコアブックから読み解いてみようと思う。

初戦、vs三菱重工長崎

2014年5月31日、ドリームウェーブの初戦は三菱重工長崎。
都市対抗野球大会で準優勝、日本選手権では全国制覇を成し遂げたこともある超強豪だ。※2024.8加筆修正あり

三菱重工長崎というと、現巨人軍投手コーチの杉内俊哉さんが思い出されてしまうのは、鹿児島の野球ファンならではなのだろうか。

先攻はドリームウェーブ。
初回、相手のエラーから出塁、バントと内野安打でランナーをサードまで進めるも無得点に終わる。
しかし強豪相手に堂々たる立ち上がり。

先発は監督兼投手の竹山徹さん。
いわずと知れた大エースだ。
ほぼ毎回先頭打者を出し、何度も得点圏にランナーを背負うも、要所を抑え1失点の完投。

竹山投手

しかし攻撃面では2回以降ほとんどいいところが見られず、完封負けを喫した。

三菱重工長崎は実に4つの犠牲バントを決める確実さ。
大勝ちするのではなく、少ない得点でも確実に勝利を掴む。本当に強いチームの試合運びだ。
試合時間は2時間を切っていた。
実に息詰まる好ゲームだったことが見て取れる。

鹿児島DW     000|000|000 |0
三菱重工長崎   000|100|00X |1x

とはいえ、平幕ドリームウェーブが横綱相手に最少得点差での超ナイスゲーム!

負けはしたけれど「選手たちにとって自信になる試合だったと思う」と、球団代表國本正樹さんは語ってくださった。

敗者復活戦、vs西部ガス

2日後の6月2日に行われた、第二代表決定トーナメント2回戦。
要は敗者復活戦だ。

対戦相手は福岡市の西部(さいぶ)ガス。
このときまだ創部3年目だったようだが、練習環境の整った企業チームだ。

初戦の三菱重工長崎戦で自信をつけたドリームウェーブだったが、果たしてこの試合はどうだったのか。

先攻は西部ガス。
ドリームウェーブの先発中崎投手は制球に苦しみ、死球からの三塁打を許すなどして2失点。

しかし2回の裏、ドリームウェーブは有川選手のセンター前ヒットからバントとシングルヒットを連ね、確実に一点を返す。

しかしその後も着実に点を重ねる西部ガスに対し攻めあぐね、点差は少しずつ開いていった。

先発中崎投手と、捕手の北迫主将

そして最終回。
投手陣が崩れ、打者13人に対しこの回だけで7安打3四球。9点を献上してしまう。

おそらく、敵味方問わずグラウンドに立っていたすべての選手が、いや関わっているすべての人たちが、もう終わりたいと願っていただろう。それでも西部ガスの打者がバットを振れば当たり、ヒットになってしまう…。
試合が終わらない。

ときおり、グラウンドにはそんな魔物が現れる。

西部ガス 202|100|129 |17
鹿児島DW 010|000|101 |3

試合時間は3時間7分に及んだ。
つい2日前、2時間もかからない投手戦を繰り広げたのと同じチームとは思えなかった。

挑戦がもたらしたもの

スタンドで観戦していたという國本代表は「最悪のゲーム」とつぶやいた。

8回終了で8-2と、ある程度試合が決まったかに見えた中での9失点。
初戦で好ゲームを繰り広げた嬉しさを帳消しにして余りあるショックだった。

facebookに、このときのことが詳しく書かれていた。
書いたのは、当時事務局を担当していた佐藤さん。

こんばんは!
事務局佐藤です。
チームは間もなく沖縄を発ち、帰鹿します。
第85回都市対抗野球大会九州地区予選、チームは2敗という結果に終わりました。
応援くださった皆様、壮行会、募金、タオル購入等で支援くださった皆様、ありがとうございました。
期待に応えることができず申し訳ございません。
初戦の三菱重工長崎戦では、投手兼監督の竹山が8回を1失点で投げきり、奮闘。
打線も、初回2アウト1・3塁のチャンスを作るも後続が倒れ無得点に終わり、その後何度かランナーを出すものの、還すことができず0-1での敗戦。
相手投手はコンスタントに140km/hを計測し、選手は目が慣れていないせいもあり、ほとんどついて行けていませんでした。
敗者復活の西部ガス戦では、投手陣が崩れ、3-17と大敗。
各回の先頭バッターに対し、不用意な四球を出し、連打をもらって点数を重ねられた形です。
西部ガスの打者には工夫が見られ、追い込まれるとバットを短く持ち、コンパクトに振りぬくことで、ヒットを重ねている場面が何度か見られました。
2敗したとはいえ、私の目から見て、個の能力差はさほど感じませんでした。
どれだけ工夫して、細かいプレーにまでしっかり全力で取り組めるか、という点において、差がでたのかなぁと思っています。
その上で課題としては、制球力・球速のある投手と対峙した時の攻め方。
上記一線級の投手との対戦経験。
竹山に頼らざるをえない状況の投手陣の底上げが急務だと思っています。
環境面において、企業チームとクラブチームでは大きく差があります。
しかし、それを言い訳にしていては、いつまでも勝ち上がることはできません。
今出来る環境でベストを尽くし、かつ更に良い環境を作っていけるよう、事務局としては動いていかなければと強く感じています。
下を向いている暇はなく、8月には地元開催の九州クラブ選手権がやってきます。
今回の九州地区予選は不甲斐ない結果となってしまいましたが、クラブ選手権で、応援下さる皆様の期待に応えられるよう、一層練習に励んでまいります。
道端で会ったり、職場で会ったり、球場で会うことがある場合、叱咤激励をしていただければ幸いでございます。
乱筆乱文失礼いたしました。
今後共鹿児島ドリームウェーブをよろしくお願いします!!!

鹿児島ドリームウェーブfacebookより

ブッちぎりの一体感を経て乗り込んだ沖縄。
その挑戦は、大きな自信とそれを上回る虚脱感を残し幕を閉じた。

この敗戦が、このあとのチームを大きく動かしていく。

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