レジ袋の有料化と法律

来月から、レジ袋が有料化されることは、ご存知の方が多いと思います。

こういう時、その根拠法は? と気になるのが、日頃法律に携わっている者の性というものです。

レジ袋有料化は、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(平成7年法律第112号。いわゆる「容器包装リサイクル法」)第7条の4第1項の規定に基づき制定されている「小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令」の改正によるものです。

こんな大きなことを、法律ではなく、省令レベルの改正でやっていいの? という疑問がなくはありませんが……。

容器包装リサイクル法第7条の4第1項の内容は、次のとおりです。

主務大臣は、容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するため、主務省令で、その事業において容器包装を用いる事業者であって、容器包装の過剰な使用の抑制その他の容器包装の使用の合理化を行うことが特に必要な業種として政令で定めるものに属する事業を行うもの(以下「指定容器包装利用事業者」という。)が容器包装の使用の合理化により容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するために取り組むべき措置に関して当該事業者の判断の基準となるべき事項を定めるものとする。

ここで使用されている「容器包装」と「容器包装廃棄物」については、第2条で定義付けられています。

この法律において「容器包装」とは、商品の容器及び包装(商品の容器及び包装自体が有償である場合を含む。)であって、当該商品が費消され、又は当該商品と分離された場合に不要になるものをいう。(第1項)
この法律において「容器包装廃棄物」とは、容器包装が一般廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第百37号。以下「廃棄物処理法」という。)第2条第2項に規定する一般廃棄物をいう。以下同じ。)となったものをいう。(第4項)
ちなみに、一般廃棄物とは、産業廃棄物以外の廃棄物のことです(廃棄物処理法第2条第2項)。

小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令(平成18年財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省令第1号)では、現在は、次のようなことが規定されています。

①目標の設定
容器包装の使用の合理化を図るため、その事業者が事業において用いる容器包装の使用原単位(容器包装を用いる量を、売上高、店舗面積その他の当該容器包装を用いる量と密接な関係をもつ値で除して得た値をいう。)の低減に関する目標を定め、これを達成するための取組を計画的に行うこと。

②容器包装の使用の合理化
次に掲げる取組その他の容器包装の使用の合理化のための取組を行うことにより、容器包装廃棄物の排出の抑制を相当程度促進すること。
・消費者に容器包装を有償で提供すること。
・消費者が商品を購入する際にその用いる容器包装を使用しないように誘引するための手段として景品等を提供すること。
・自ら買物袋等を持参しない消費者に対し繰り返し使用が可能な買物袋等を提供すること。
・その用いる容器包装の使用について消費者の意思を確認することその他の措置を講ずることにより、消費者による容器包装廃棄物の排出の抑制を促進すること。
・薄肉化又は軽量化された容器包装を用いること。
・商品に応じて適切な寸法の容器包装を用いること。
・商品の量り売りを行うこと。
・簡易包装化を推進することその他の措置を講ずることにより、自らの容器包装の過剰な使用を抑制すること。

③情報の提供
店頭において容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に資する事項を掲示すること、事業者自らが容器包装の使用の合理化のために実施する取組の内容を記載した冊子等を配布すること、その用いる容器包装に容器包装廃棄物の排出の抑制の重要性についての表示を付すことその他の措置を講ずることにより、消費者による容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するための情報を提供すること。

④体制の整備等
容器包装の使用の合理化を図るため、容器包装の使用の合理化のための取組に関する責任者を設置する等必要な体制の整備を行うとともに、その従業者に対し、容器包装の使用の合理化のための取組に関する研修を実施する等の措置を講ずること。

⑤安全性等の配慮
事業者は、②の取組により容器包装の使用の合理化を図る際には、その用いる容器包装に関し、その安全性、機能性その他の必要な事情に配慮すること。

⑥容器包装の使用の合理化の実施状況等の把握
その事業において容器包装を用いた量並びに容器包装の使用の合理化のために実施した取組及びその効果を適切に把握すること。

⑦関係者との連携
容器包装の使用の合理化のための取組を効果的に行うため、国、関係地方公共団体、消費者、関係団体及び関係事業者との連携を図るよう配慮すること。

今回改正されたのは、上記②です。

事業者は、商品の販売に際して、消費者にその用いるプラスチック製の買物袋(持手が設けられていないもの及び次のものを除く。以下同じ。)を有償で提供することにより、消費者によるプラスチック製の買物袋の排出の抑制を相当程度促進するものとされました。つまり、これまでは買物袋の有料化が抑制を相当程度促進させる手段の一例だったのですが、今後は、有償で提供することが義務付けられたということです。

持手が設けられていないもの以外で「プラスチック製の買物袋」から除かれるものには、次のものがあります。
・繰り返し使用が可能なプラスチック製の買物袋のフィルムの厚さが50㎛以上のものであって、その旨が表示されているもの
・プラスチック製の買物袋のプラスチックの重量に占める海洋で微生物によって分解が促進するプラスチックの重量の割合が100%であるものであって、その旨が表示されているもの
・プラスチック製の買物袋のプラスチックの重量に占めるバイオマス(動植物に由来する有機物である資源(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭を除く。)をいう。)を化学的方法又は生物的作用を利用する方法等によって処理することにより製造された素材の重量の割合が25%以上であるものであって、その旨が表示されているもの

つまり、環境に問題のないプラスチック製の買物袋であれば、引続き無償で提供しても大丈夫ということです。
今後、環境に優しいプラスチックを安価で製造する技術が開発されると、また、これまでのように無償でレジ袋が渡されるのが一般的になるかもしれませんね。

詳細は、経済産業省のホームページに記載されています。
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/plasticbag_top.html

プラスチックによる環境汚染が深刻になっている現在、この政策をとる必要性は高いのでしょう。だからこそ、省令の改正で進めるのではなく、国会で議論を尽くしたうえで、法律の改正により行なって欲しかったと思います。

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