頬粘膜がん 319日目 敬老の日の数日前に


 頬粘膜癌 319日目。

 血圧 122-84 mmHg
 血糖 - mg/dL (朝食前)
 酸素 99 %
 脈拍 72 拍/分
 体温 36.6 ℃
 体重 70.9 kg

 世の中は敬老の日を含めた土曜からの3連休をそう呼んでいるらしい。で、うちの職場は金曜が全館休館日となって金曜日からお休みである。
 4連休となっており、ついでに私は火曜日が通院日(リハビリ)の為休みをとっているので5連休という夢のような連休になってしまった。仕事忘れちゃうんでね?

 さて、奥さんと一緒に金曜日は久しぶりにお義母さんのお見舞いに行ってきた。
 通常は平日の月曜とか火曜日に奥さんがガイドヘルパーさんを利用して通っている。今年の2月から入院・転院ということですでに8か月目だ。長い入院生活である。2月の入院当初、いつどうなるかわからないのでいざという時の覚悟は……という話を聞いていた。その状況自体は今も基本的には変わらないのだが、なんとか元気にとは言わないが現在に至っている。
 退院は基本無理で、外出や外泊もできず病院で過ごす日々はどんなものかと想像するがとても想像できるものではない。
 僕が仕事を始めてから、お見舞いには平日のお見舞いには行けなくなってしまったので久しぶりのお見舞いだったのだが、見た目的な意味ではそれほど変わったところもなく、落ち着いた感じに見えた。ただ、ずっとベッドの上で過ごすことが増えているので体力は随分落ちたのかもしれない。話す言葉に力がない。声量が小さい。

 僕がコロナに罹患したことは話で聞いていたようで、”元気になってよかったね”と言ってくれた。あまり余計な心配もかけられないとも思うので、来月入院して再手術することは内緒である。それなりに元気な姿を見せられたのは良かった。
 お義母さんは自分が入院して退院できる状態ではないことも含めて、僕も去年からがんになって手術したりという状況なので、うちの奥さんの事も随分心配しているのだろうということは想像にがたくない。
 できれば”僕は元気にしてますよ”って所を見せて安心させてあげたいと思ってはいる。

 来月入院して出てきたら、また知らん顔して元気な顔をみせもいければなぁと思ったりしているわけだ。

 お互いに、どちらかと言えば”死に向かう病”を抱えた身であるが、そんなことはお互いに話したことはない。会えばどうでもいい日常の事について言葉を交わし、顔を見合わせ短い時間を共有してまたお互いの日々に戻る。そんな関係であるが僕の中にはどこか戦友にも似た共感みたいなものがないでもない。
 病や死について、語り合ったことはない。でも、もし言葉を交わしたなら、そこではなにがしかの分かり合える部分があったりするのかもしれないと勝手に思っている。
 義母と義息子をほんの少し超えたちょっと不思議な関係なのかもしれない。

 エアコンの効いた病室のベッドの上で、随分ちいさくなったように見えるお義母さんのお見舞いに行き、そんなことを考えていた。

 今日もいい1日であった。


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