頬粘膜がん 139日目 いわゆる病院あるあるのアレ


 頬粘膜癌、139日目。

 血圧 90-64 mmHg
 血糖 113 mg/dL (朝食前)
 酸素 97 %
 脈拍 73 拍/分
 体温 36.6 ℃
 体重 76.2 kg

 僕が入院しているのは地方の大学病院だ。
 地域に根ざした学府であるが、その起源は古く医学部にあたる部門について言えば設立年は1800年代にまで遡る事になるらしい。とまれ、歴史がある病院であることに間違いはないらしい。第二次世界大戦時は陸軍の研究施設としての役割を持ち、誇れない黒い歴史も併せ持つのはもしかしたら地方の大学の医学部ではよくある事と言えるのかも知れない。

 というわけで同じ場所で長きにわたってその地域の医療を担ってきた病院である。
 大学と病院という二つの側面を持つ機関であり、何度かの施設の立て替えなどを経ているがずっと同じ場所でこの地域の命を見届けてきた病院である事にまちがいはない。

 実は、僕は中学生の頃にこの大学病院に入院していた事がある。
 別に特別大きな病気を煩っていた訳ではない。先天性の眼科疾患があり小学校の1年生の頃に県立の中央病院にて手術を受けたのだが、中学入学時にはまぁいってしまえば再発というか症状が悪化しており再度手術が必要になった。で、その時に県の病院では無く大学病院のお世話になったわけだ。その頃から縁があったのかもしれない。

 その当時は今の入院病棟ができる前で、古い病棟があった頃である。その当時、すでに今僕が入院しているこの新しい病棟(もう既に新しくはないわけだけれども)を建てるための準備を始めていた頃だった。

 その入院から30年あまりの年を経て、改めて僕は同じ病院の同じ病棟に入院しているようなものなのである。不思議だなぁと思ったり思わなかったり。
 なんせ、中学に入院した当時この病棟はものすごく古くて言ってみれば病院でも一番奥の奥に建てられていて、本当に敷地の隅っこみたいな場所だったのである。当時の噂では、地下へのエレベーターがあるが地下1階まで売店などもあるので僕たちは利用できていたのだけれど、その地下1階は僕たちが立ち入りできない場所が廊下の先にあって、そこは電気も点いてないし緑色の非常灯ばかりが目立つなんとも言えない怖い場所だったりした。(地元で大学病院の地下には解剖用のご遺体を管理するバイトがあるのだとかいうまことしやかな噂がありそれは実はみんな知っているという隠れた噂ではなくおおっぴらに皆が知っている噂だったりした)

 で、まぁその古い病棟は当然建て替えとなって今のこの新しい病棟が建てられた訳だが、考えてみればそれとてすで20年以上の年月が経っているわけで決して新しい建物ではないのである。

 実は、今回の再入院についてはすでに2ヶ月が経過している。
 僕のいる病室は10階の一番すみの部屋である。一応建物的には隣やその隣に部屋様の空間が用意されておりそれはどうやら宿直室だったり、仮眠室だったりするんじゃないかと思う。思うというのは、それは公開された情報では倉庫や面会室みたいな扱いとなっているからだ。
 で、僕は入院した最初の頃にも夜中にとなりの部屋からラジオとか携帯の音楽かなぁ、今時なのかどうかは分からないけれど、音楽が聞こえてきたり、タバコのにおいがしたりする事があって、まぁまぁ若い看護師の人もいるので、タバコは屋内禁止といっても守られないのは世の中の常であるなぁと思っていたわけだ。
 公共バスやタクシーで禁煙車って書いてあるがタバコのにおいがする車が普通にあったりするのに似ている。

 で、実はここしばらく前からでもないんだが、僕の部屋で時々ではあるんだがピーっと音がどこからかして、それが鳴り止まないみたいな事が起こっている。音が聞こえてナースコールを押して看護師さんを呼ぶのだが、間に合わない。看護師さんが来た頃には音は鳴り止んでしまっているという状態なのである。
 もう完全に狼少年状態である。50代後半にしてだよw まいるね。

 先日、ナースステーションで
「なんか、解決しそうにないですし、ナースコール押すのやめます?」
って言ってみた。

「そう言えば、前に入院してた○○さんもなんか変な音するって言ってたねぇ」
ってひとしきり謎の音事件をめぐる噂話に花は咲いたんだが結局のところは、気味が悪いわよねぇ的な所で話が終わってしまうわけである。
 え、このままじゃ怖いじゃんw

 結局もう一度、ぴーって鳴ったらナースコールしてみてねという事で話は終了。まじかっ。夜寝るのは僕なんですがねぇ。怖くねぇっすか? みたいな。

 今日の日中、きましたよピー音。
 すかさずナースコール押しまくり。おーい、早くきてくれぇ。って訳で看護師の方が来られたときにはすでに音は消えていました。(はぁ、良くあるパターンである)
 でも大丈夫、今日はちょうどその時に開口リハをしていたのでSTの先生が聞いてくれています。看護師さんに二人であーでもないこーでもないと説明し、取り合えず設備の人に診て貰うことになったわけです。
 なんせ、前の病棟の頃から考えれば、50年なんて軽く超えるような歴史ある場所だったりするわけだからね・・・・・・。

 設備の人にも一通りみてもらい。

「特に異常はないので、様子見ですね」
って事になりました。
 異常な音がしたら、何時何分から何分間なっていたかなどメモしてねとか言われて晴れて私めが、何かあったときは僕が最前線で闘います係を拝命した訳です。
 大きな病院あるあるのなんとかでありませんように・・・・・・。

 あんことホイップがたっぷりのあんホイップロール。


 手でちぎりながらあんこやホイップクリームまみれになって食べる。いろいろ手についたりなんだりでわちゃわちゃして食べるのは楽しい。これは、すぐに手を洗える洗面台がそこにあるからできる芸当ではあるな。

 今日も食事はすべて完食である。

 今日もいい1日であった。
 夜のことは分からない・・・・・・


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