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2021年7月の記事一覧
禍話リライト「ためすな/水切り子」
好奇心は猫をも殺す。
変な実験をしたり、明らかにおかしなものを観察し続けるのはやめた方がいい。
そんなお話2つである。
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「ためすな」
先輩の言葉が本当か確かめようと実験した大学生の話である。
ある時、大学の食堂で同じゼミのメンバーが何人かたまたま揃った。その中で一人、卒論に追われている先輩がだいぶげっそりしていた。
さぞ大変なんだろうと思い、大丈夫か聞いてみ
禍話リライト「洋式親子」
ウォシュレット付きのトイレにこだわりすぎるのは良くない。そういうお話である。
この話をしてくれた大学生の青年は、当たり前のようにウォシュレットがある環境で育った。
彼は街中でもウォシュレット付きのトイレを探すタイプだった。デパートや電気屋のトイレを使うのは当然だったし、トイレのためだけにパチンコ屋に入るようなこともあった。
この感覚がよくわかる人もいれば、全然共感できない人もいるだろう。
そん
禍話リライト「?童子」
座敷童子みたいなものが、家以外の場所にも出たとしたら、それは一体なにわらしだろうか。
就職がうまくいかず落ち込んでいる後輩を慰めるため、先輩達が飲み会を開くところからこの話は始まる。
その後輩には大学に入った頃から付き合っていた彼女がいたが、同じところに就職しようとして、彼の方だけ落ちてしまった。
男のプライドが傷ついたのか、そのまま男女関係もこじれていった。
卒業までは数ヶ月あり、就活はまだ
禍話リライト「大広間の女」
「肝試しは怖いけど、ちゃんとした明るいライトを持っていけば大丈夫!」
こんな風に思っている人がいたら、考え直した方がいい。そういうお話である。
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その旅館は、円満に終わったという。
金銭上のトラブルなどがなくても、後継ぎがいないと営業を続けるのは難しい。廃業を決めた経営者は適切に手続きを進め、どこかへ隠居した。建物の取り壊しこそしなかったものの、中の機材や設
禍話リライト「カーテンのちがう部屋」
空き教室は良くないという気持ちになる、学校の怖い話である。
こんな学校があった。
元はいわゆるマンモス校、例えば1クラスが40人で、1学年が10クラスあって、それが3学年分みっちり詰まっていた、そんな高校。生徒の数が多かった頃はさぞ賑やかだったろう。密なんて気にしていなかった時代の産物。
少子化が進んだ現在、かつて活気にあふれていた校舎は使われなくなった教室が目立ち、空き教室ばかりが集まった特別