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初めての体験が続く母の日常

母は一年程前に認知症だと判定されました。

年末に慌ただしく施設に入居した両親ですが、対照的な状況になっています。

父は2ヶ月の入院時、コロナ禍で面会がほぼ出来ずに退院し、そのまま施設に入居。退院時に会った父は、自宅にいた時遅いながらも自分の足で歩いていた姿はもう見る影もなく、病院でのリハビリが進まなかったため立てなくなっていました。

加えて以前発症した脳梗塞の影響か、呂律が回らなかったりするようで、話すのも聞くのもしんどいように見えます。面会の時に耳元で大きな声でゆっくり話して、やっと会話になる程度。もう自宅での生活は無理だったな、と痛感しました。

対して、母。
あれ?本当に認知症でしたっけ?と言うくらい、入居した後の母はシャキッとしており、いつ会いに行ってもニコニコしていて、楽しそう。

元々両親を入居させるにあたり、母に意思確認した際「お父さんの世話は私にしか出来ない」「お父さんのそばにいたい」と言って、自分から入居した母。

施設で職員の方や他の入居者の方もいるから、人見知りな母がうまくやれるか不安だったものの、色んな方と日々接するのが刺激になっているのか、認知症の進行が緩やかになっているように感じます。

証拠なのか、介護認定の再審査を申請したところ、要介護3だったのに1まで下がりました。なんと。。。

そんな母を、桜が満開になった頃、外出に連れ出しました。入居してから初めての外出だったけれど、もう2度と外には出れないと思っていたらしく「出ていいの?」と驚く母。

もう住んでいた家は引き払ってしまっているため、姉の家に連れて行き、久しぶりにみんなでご飯。

家に着いた途端、母が玄関を見て
「あらあら。。」と靴を揃え始める。

家に入り、孫たちとオセロを楽しむ母。
こんなゲーム初めて見たわ、と笑う。

母を見ていて思うこと。
習慣的にやっていたことは忘れづらく
そうでないことは、忘れている。

忘れていることは、うっすらも
覚えていないので、すべて初体験。

まぁー
こんなの初めて見たわ


周りは苦笑いだけど、本当に初めてだと思っているような顔をする母の顔に、嘘がない。

80を超えて新しいことに囲まれる母の日常。覚えていないことや、思い出せないことに悩むことも無くなった施設での生活。母が大切にサポートしてもらっていることを、面会や外出をすると感じます。ありがたい。

靴を揃えることは覚えてるのに、オセロは忘れている。母の初体験はこれからも続きます。

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