親孝行は出来る時に。でも。

昨年末から1ヶ月程で実家じまいをしました。

両親の施設入居で多額の費用が掛かるものの、実家にはほぼ預金が無かったことが発覚したため、少しでも必要経費を無くすための対応でした。

実家は昭和の憧れ「団地」で、54年前に両親がほぼ新築で入居。

私は両親がここに引っ越してきてから生まれ育ち、20代で一人暮らしを始めるために引っ越すまでずっとここにいたし、ただいま!といくつになっても帰れる、いいことも悪いことも詰め込まれた場所。

80代になっていた両親は、物が捨てられない人だった上、歳をとって片付けが出来なくなっていたようで、ここ数年実家に帰るたびに荷物が増えているような気がしていました。トイレもなんだか嫌な匂いがして使うことは少なかったし、埃と湿気が混ざったような空間には昔感じたような居心地の良さはありませんでした。。。

そんな実家でも、いざ荷物を処分することになると大変な体力、そして精神的負荷が。

親が働いて稼いだお金で買った品々を、存命のうちに処分する、しかも母にはそれが理解出来ない状態。これがやれる最善策なんだと言い聞かせて、必要なものを選別し処分。

残したものは母が大事にしていた絵とアルバム、アクセサリー、着物とまだこれから使えそうだった季節ごとの洋服。

大量に出てきた父の日記は、開くことなく処分することに。父がどんな思いで書いたのか、生きてきたのか垣間見ることは出来るかもしれないけれど、人に見られることを前提に日記なんて書いていないだろうと思うと、開くことをしないと決め処分しました。

母も日記を付けていたものの、手帳の走り書きのようなものばかり。母の場合、認知症の進度や改善の手掛かりになるかと思っていたので、あれば確認しようと思っていたものの、その用途では使えないように思われ、処分。

大量の荷物の運び出しと処分には、結構な費用がかかった。それでも知り合いに頼んだので値引きしてもらったらしいが、半年分の家賃位かかった。大型家電の運び出し等どう考えても自分たちでやるのは無理があったので、頼んでよかったと思う。

あれからもう半年。

今でも時々、母に「あれはどこにやったの?」と聞かれる夢を見る。実際には知ってか知らずか分からないけど、全く聞かないけれど。

実家の荷物を捨てる時、わたしがいつくか持って帰ってきたものが我が家に保管されている。

旅先で母が買ってくれた
coachのバックとお揃いのバック

ハワイで一緒に作ったリボンレイ

ハワイアンキルトのマルチカバーと
クッションカバー

父とお揃いで着ると言って買ったのに
結局着ていなかった沖縄のTシャツは
新品で出てきた。

昔わたしが好きで買っていた
MOTHER HOUSEのカバンは
財布とセットで出てきた。

わたしが「お母さんに似合いそう」と
写真を見せたら翌日には家にあった。
安いものじゃなかったので
びっくりした記憶が蘇る。

独身期間が姉妹で一番長かったわたしは
母と2人でいろんなところに行った。

沖縄
北海道
イタリア
オーストラリア
そしてハワイ。

歳よりも若く見える母は、体力がありいろんなところに行っていた。そして、買い物が好きで旅先ではお土産を大量に買い込んだ。

旅先で買い物するために働いてるのよ、といつも笑っていた母の買い物。見つけたカバンなどは比較的綺麗で、最初は中古品として売ろうと持ち帰ったのだけれど、みているうちに思い出が蘇り、わたしが使うことにした。

母がもう一度海外へ旅立つことはないだろう。父が歩けなくなってきた頃から、もう旅行は諦めたようだったし、今は行きたいと思ってないように見える。

母が今どんなことを思っているのか
口から出る言葉が本心なのかなんて
たぶん認知症でなくても分からないけど
より分かりづらくなっている今となっては
穏やかに過ごせていると聞くだけで
もう充分なんだろうと思うようにしている。

親孝行は出来る時にしたほうがいい
若い頃先輩たちに言われたこともあり
母とはたくさん出掛けた
何をしてもどこに連れて行っても笑顔で
喜んでくれていた母の姿が浮かぶ。

全部を叶えてあげられたわけではないから
後悔が全くないか?というとそうではない。

けどやれることはやった
と思うことにしている。

それでも時々、本当に良かったのかと思い返す
たぶん一生考えるんだろう。

自分はやりたいことをやったと思えるよう
日々を過ごしていこう
それがきっといちばんの親孝行だから。

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