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作文法1:パラグラフ・ライティング

 これまで私が学んできた文章の書き方を、noteに書いていこうと思います。

 作文は誰にでもできます。最近ではSNSにて短文で発信することも増えているため、文章を書くことに抵抗がない若者も多いかもしれませんね。しかし、読者にわかりやすく読んでもらう作文をしようとすると、これは途端に難しい作業になります。SNSで発信するような短い文章は話し言葉を書き下しただけでも作文することができますが、長文の作文には、読者に苦痛なく読んでもらうようにする技術が必要です;こうした作文技法は日常会話を繰り返しているだけでは身につかず、ある程度の勉強が必要になります。

 本noteでは、作文技法の中でも最も大切な技術である<パラグラフ・ライティング>について解説します。パラグラフは日本語で段落という意味で、換言すると文章の区切りにある字下げのことです。パラグラフライティングとは、この段落を適切に設定することで、格段に文章の読みやすさを向上させる作文技法(≒修辞法)です。

1 一つのパラグラフに一つのトピックを書く

 まずパラグラフ・ライティングの肝を示します。パラグラフ・ライティングにおいては、一つパラグラフにつき一つの<トピック>が記されている——というのが良い文章であるとされます。トピックとは小主題であり、一つの考えを表しています。つまり、一つのパラグラフにはいくつもの考えが混在してはならないということです。

 パラグラフ・ライティングされていない文章の例を以下に示します:

 これまで私が学んできた文章の書き方を、noteに書いていこうと思います。作文は誰にでもできます。最近ではSNSにて短文で発信することも増えているため、文章を書くことに抵抗がない若者も多いかもしれませんね。しかし、読者にわかりやすく読んでもらう作文をしようとすると、これは途端に難しい作業になります。SNSで発信するような短い文章は話し言葉を書き下しただけでも作文することができますが、長文の作文には、読者に苦痛なく読んでもらうようにする技術が必要です;こうした作文技法は日常会話を繰り返しているだけでは身につかず、ある程度の勉強が必要になります。本noteでは、作文技法の中でも最も大切な技術である<パラグラフ・ライティング>について解説します。パラグラフは日本語で段落という意味で、換言すると文章の区切りにある字下げのことです。パラグラフライティングとは、この段落を適切に設定することで、格段に文章の読みやすさを向上させる作文技法(≒修辞法)です。

いかがでしょうか?冒頭の文章の段落を二つ消しただけですが、格段に読みにくくなっています。説明するまでもなく、読みにくい理由は一つのパラグラフの中に三つの考え——一つはnoteへの意気込み、一つはわかりやすい作文の難しさについて、一つは本noteで解説することについて——があるためです。これはパラグラフ・ライティングを知らない人が陥りやすい典型的な文例です。日本の国語教育において、パラグラフは、文章が長くなった時に分けるとか、一呼吸おきたいときに分けるといったように教えられるので、上記のような文例が散見されるのだと私は考えています:パラグラフを適切に分ける方法を知らないので、パラグラフが不必要に長くなったり、あるいは短くなったりするといったことが起きやすいのです。特に、冒頭の文章では最初の一文でパラグラフが分けられています。トピックがその文章だけで完結している場合は、このように一文でもパラグラフを分けるべきです。

2 トピック・センテンスを最初の方に持ってくる

 トピックが記述された文のことを<トピック・センテンス>と呼びます。トピック・センテンスはできるだけパラグラフの最初に書かれる方が好ましく、それに続く文章はそのトピック・センテンスの補足になっているような形が好ましいでしょう;トピック・センテンスだけを読めばそのパラグラフをほとんど理解できるので、読者は必要に応じて次のパラグラフまで読み飛ばすことができます。

 トピック・センテンスの考え方は文章を読む際にも役に立ちます。難解・長文なパラグラフに直面した場合、まずそのトピック・センテンスだけを探して理解すれば、そのパラグラフはほとんど理解できたことになります:補足情報は読み飛ばしても良いし、必要になれば後からゆっくり読みかえせば良いでしょう。

 トピック・センテンスがパラグラフの最初の方に書かれている方が好ましい理由は、上記の文章からすでにおわかりいただけたかと思います。パラグラフの後ろの方にトピックがある場合、そのパラグラフのトピックを探すのに時間がかかるためです。しかし、日本語の作文は述語が文の最後に来る構造上の理由から、トピックが後ろに来やすい傾向があるようです。意識的にトピックを文やパラグラフの前の方に持ってくる工夫が重要です:例えばこの文章のように、コロンやセミコロン・エムダッシュを使うことで、日本語でも修飾節を文の後ろに持ってくる工夫が可能です。先の文をコロンを使わずに記述すると:

例えばコロンやセミコロン・エムダッシュを使うことで、日本語でも修飾節を文の後ろに持ってくる工夫が可能なので、意識的にトピックを文やパラグラフの前の方に持ってくる工夫が重要です。

といった具合になり、主張が文の最後に来るため読者に負担を強います。

3 設計図を記述する

 パラグラフ・ライティングは文章を書き始める際の強力なツールとなります。一つのパラグラフにつき一つのトピックが原則ですから、書き始める前にトピックを書き下すことで、パラグラフの連なりを最初から意識することができます。2 章のパラグラフを書く前に作る設計図は、以下のようになります:

  1. トピック・センテンスの説明とその意味

  2. トピック・センテンスは文章を読む際にも役にたつ

  3. トピック・センテンスが最初の方に書かれているべき理由の説明

このような設計図をもとに文章を組み立てていくと、自分が何を書きたいのかが最初から明確になります。もちろん、書いていく中で必ずしも設計図の通りに進むとは限りませんが、それでも重要な指針になってくれます。

4 おわりに

 作文技術を勉強によって身につけることができるということを知らないのは、もったいないことだと感じます。本noteで紹介したパラグラフ・ライティングは最も重要な作文技術ですが、この他にもさまざまに読みやすくする工夫があります。作文はスピーチや会話とは全く異なり、ゆっくりと推敲することができるのですから、伝えたいことを伝える工夫を学ぶことを怠らないことが大切ですね。

 本noteは、木下先生の「理科系の作文技術」・本多先生の「日本語の作文技術」・原沢先生の「日本人のための日本語文法入門」を参考にしています。

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