【小説】鳥かごの外は。。。#3
ある日、子供の夜泣きで起きたが、ミルクを与えたら子供がすんなり寝てしまったことがあった。
すぐに寝付けない。
しばらくボーっとしていたが、ヒマすぎてPCの電源を入れる。
最初はネットニュースを見ていたが、TVや新聞で見る内容とさほど変わらず、飽きてきた。
そういえば、会社の同僚がブログがどうのこうのと言っていたな…
その時聞いていたブログのサービスサイトを検索し、覗くことにした。
いろいろなサービスがあるらしいが、アキラにはまったく理解できなかった。
何をするためのモノなのか…
それでもブログだけはわかった。
同僚を見つけることはできなかったが、いろいろな記事があるので興味本位で見ることにした。
一般的なネットニュースの感覚で読み始めたが、いろいろとプライベートなことを書いてあるものが多く、実名は出さないまでも「よくこんなこと書けるな」と驚いた。
気分のいい文章を書いている人を読んでみた。
なぜか心が洗われた気分になって、いい気持ちになった。
「こんな文章が書けたらいいな・・・」
国語はどちらかというと人より劣っているアキラだったが、なぜかいい言葉には惹かれることも自覚していた。
次の日も、その次の日も。
読み漁っていくうちに、自分も書いてみたい衝動にかられた。
文学的な表現ができたらいいな・・・そんな風に思っていた。
ブログだし、事実じゃないことも書いていいよね…
軽い気分で文章を書き始め、それを文学的に描くようにした。
文学的にと言えばかっこいいが、単に自分がセンスがいいなという言い回しや言葉で表現できると、満足していた。
それでも、その自己満足が楽しかった。
そのうち、ちらほら読者が付くようになってきた。
スタンプやコメントが残されると、何とも言えない嬉さがあった。
お礼にお相手の記事にスタンプやコメントを返すようになった。
人から評価されるうれしさ…
パワハラで全否定される毎日のなかで、これはかなり嬉しい出来事であった。
そんな日が続いたある日…
ブログを運営しているところでは様々なサービスを付加している。
その中にの一つに、アバターというものが設定できた。
アバター????
どうやら自分をイメージした仮想の自分の姿らしい。
コメントをくれる方で自分のアバターをホームのアイコンに設定している人が何人かいた。
イメージが湧くので設定するのもありかな。
自分と同じイメージになるかわからないけど、作ってみることにした。
二枚目過ぎないように、ある意味詐欺にならないように…
そこから…
どうやらアバターを操ることができるらしいと知ったのは、だいぶ経ってから。
操作ってどうやるんだろう。
いろいろとやっているうちに、別のアバターから話しかけられた。
アキラのプロフを見て話しかけてきた様子…
そこからいろいろな話が広がっていった…
なんか…楽しいな…
ネットの世界で、実際に顔も合わせない間柄…
だから、別にこれぐらいいいよね…
乾いた毎日に潤いがでた。
アキラはそう思った。
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