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【小説】鳥かごの外は。。。#2

アキラは何かを変えないといけないと思っていたが、妻と意見が対立してしまい、激しい喧嘩になる。

子どものために我慢する場合もあったが、徹夜で喧嘩する場合も多かった。

二人いるのだから、家事、育児を旦那がするのは当然!という妻の意見。

アキラは全く反論するつもりもなかったし、否定するつもりもなかった。

むしろ当然だと思い、率先してやりたかった。

しかし、当の妻がその時間に制限をかける。

妻が「寝られないから!」という理由で暗に自分が寝ている間は家事、育児をするな!という形だった。

その割には昼過ぎまで寝ていることもざらで、食事をとったら昼寝をするのが当たり前になっていた妻の行動によって何もできない時間が多い。

やれるだけのことはやりたいのに、その時間が確保できない。

妻としては、平日帰りが遅いこともあるアキラに変わって自分がワンオペしているのだからという想いがある。

ただ、アキラは家事は妻がリーダーとなってくれないと困ると思っていた。良かれと思ってやったことが、余計なことだと糾弾されたことがあったから、下手に手を出せなくなっていた。

そうなると、溜まっているのがわからないのか?と、妻はアキラが率先してやろうとしないと思い込んで不満を爆発させる。

洗濯も、食器洗いも、掃除も、育児も溜まっているので、どれから手を付けて良いのかわからないから指示を出してほしいというと、言い訳ばかりと糾弾される。

アキラは土日に休みたい気持ちもわかるから手伝いたいが、手伝うことがスムーズにできなかった。

妻も「いわなくてもわかることだし、率先してやってほしい」という想いにこだわり、やってほしいことを伝えない。

結果、意思疎通が図れずにストレスをためて喧嘩になるという悪循環になっていた。
それを改善したかったが、話し合いもままならず、妻は感情的になってしまう。。。

そして。。。アキラは仕事でパワハラを受け深夜まで残業ということなった。

その当時はパワハラは社会問題になっていなかった。

パワハラを受けながら深夜まで残業をしていく連日。。。
深夜と言っても、日付が分かってAM2:00までになっていた。
なぜAM2:00なのか?それは単にシステムが使えなくなるから、という理由であり、システムが使えればエンドレスになっていたであろうことは予想できた。

そもそも、アキラも自分の仕事の出来が悪いからこうなっているのだと自責の念が強く、そこから抜け出さずに堪えた先に光明が見えると思い込んでいた。
改善しなければ、結果は変わらないのだが、当時はまだ根性論みたいなものもはびこっており、改善策などを提示してくれたりするなんて、夢のまた夢であった。
逆に言えば、改善策をリーダーが提示する代わりに、パワハラをするのが当たり前の時代だった。

パワハラを受けながらも、家族のために仕事をするが、次女の夜泣きと、今までしていなかった長女まで夜泣きをし始め。。。

一度寝ると絶対に起きない妻に変わって睡眠時間を削ってあやし、ミルクを与えているなかで、アキラのストレスは尋常じゃなく溜まっていった。。。
深夜に帰宅し、寝付いたあとに数十分で何回も夜泣きで起こされる。
妻は寝たままで起きないため、アキラが起きてあやし、ミルクを与え、おむつを替え、赤ちゃん返りをした長女をまたあやし・・・
睡眠時間は1~2時間の日もざらだった。

唯一の趣味であるスポーツも、育児で大変なのに!と妻に制限を食らっていた。。。

「俺はいったいどこで息を抜けばいいのだろうか。。。」

平日はパワハラを受けながら深夜まで残業をし、夜泣きの対応をしてほぼ徹夜気味で出勤し、土日は家事育児を気を使いながらこなす。

趣味のスポーツもできず、どうなっていくのだろうか。。。

喧嘩はあまりしたくない性格でもあったので、妻の無理難題もたいていは何も言わずに流していた。

でも、それももう限界なのか。。。

流せたのはいずれ離婚をすると腹にくくってしまったのもあった。
時期は。。。長女が高校を卒業するころが一番いいだろう。

以前にも離婚に発展しそうな喧嘩をしたことがある。

結局、その時は長女のために我慢しようとアキラが何とか場を収めたが、その時に離婚していたほうが、きっとお互いのためだったのではないか?とアキラは後悔していた。

睡眠時間も削られ、パワハラ+深夜残業、そして土日は心休まる時間もなく、動けるのなら家事育児に充てる時間にし、睡眠不足などを気にしている場合でもなかった。

子供と遊んでいる時が唯一の救いだったが、やがてそれも心の負担になったのか、うつ病を発症することになる。

このままでは死ぬな。。。いや、死んだほうが楽だな。。。

そんな不健康な思いが支配していった。。

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