見出し画像

「男女逆転シンデレラ」

「男女逆転シンデレラ」

文化委員1
文化委員2(シンデレラ2)
演出家
ネズミ
女1(王子様1)
王子様2
女2
女3
男1(シンデレラ1)
男2
男3

文1「ほんなら文化祭でするクラスの出し物を決めまーす」
文2「何がいい?」

(クラス、ザワつく)

女1「はい!私、劇がしたいです!」
文1「劇なぁ、おっけ。他何か」
女2「私も劇がいいと思います!」
女3「絶対劇がいいです」
男1「めっちゃ劇推すやん」
女2「まぁ、ちょっと(女1を見る)
女3「訳があって(女1を見る)」
文2「でも他に案無いみたいやし、劇でいい?」
文1「ええんちゃう」
男2「でも劇って10分ちょいなんやろ?出れる人限られるんちゃうん」
男3「交代制にしたらええやん」
女1「こ、交代制」

暗転。

女1「そうしてなんやかんやあって決まった題目は…シンデレラ!ここだけの話、私…男1のことが好きなんです!誰にも言わんでな?」
女2「で、シンデレラで王子とお姫様役になってなんかいい感じに…」
女3「って思っとったのに。交代制になってもたし、しかも誰かさんが」
男2『普通にやってもあれやし、そうや。…こういう感じにへん?』
女2「あの案ほんまあかん」
女1「まぁ、採用されて結局こうなってもてんけど。」
女3「そうそう。3-2の出し物は…」
全員「「男女逆転シンデレラ」」

地明かりが戻る。

文1「何しとん?今から最後の練習やで!」
文2「ほぼリハみたいなもんや。シーン別にするからまとまって〜」
文1「ほな頼みます、演出家」
演「よっしゃいくで。シーン1。よ〜い、アクション!」

シ「お母さん!」
母「ごめんねぇ、シンデレラ。私はもう、ここまでみたいや…」
シ「お母さん…!」
母「最期に…一つだけ…」
シ「!…何!?」
母「私のスマホの検索履歴…全部消しといて」
シ「えっ」
母「(息を引き取る)」
シ「お母さーーーーん!!!!!」
演「…ハイおっけ〜!死ぬの上手くなった。サクサクいくで、シーン2。よ〜い、アクション!」

シ「新しいお母さん、どんな人やろう」
父「おはようシンデレラ。紹介するよ。この人が新しいお母さん、そして義姉さんだよ」
義母「よろしくねシンデレラ!」
姉1「あらぁ可愛い〜!」
姉2「仲良くしましょうね!」
父「じゃあ僕はここで」(父、はける)
シ「あの、よろし…」
義母「はぁ〜本当に汚らしい子ね」
姉1「何見てんのよブス」
姉2「馴れ合う気はないわ」
シ「そんな」
演「…はいカット!いいね、悲壮感出てきた。じゃ、シーン3。よ〜い、アクション!」

義母「あら、舞踏会の招待状ですって!」
義姉2「お母様、それは本当!?」
義姉1「綺麗なドレスを用意しなくっちゃ!そこで私は素敵な王子様と出会って、それで…」
義姉2「1回鏡見た方がいいんちゃう」
義姉1「(義姉2を睨む)」
シ「舞踏会…私も」
義母「なぁに、シンデレラ。まさかあなた舞踏会に行きたいとか言い出すわけじゃないわよね」
義姉2「行けるわけないじゃない!」
義姉1「夢を見ちゃったのね、可哀想〜!」
義姉2「夢見てんのはどっちなんやろな」
義姉1「(義姉2を睨む)」
シ「不仲なんかな」
義母「あなたはせいぜい掃除でもしておくのがお似合いよ。ああ可愛いシンデレラ。私達の為に、お掃除よろしくね」
義姉1&2「「よろしくね〜!」」
演「…カット!いいやんこの調子!シーン4やるで。よ〜い、アクション!」

シ「しくしく…しくしく…」
ネズミ「やあ!シンデレラ。君は舞踏会に行かないの?」
シ「こんにちは、ネズミさん。私は行かないわ」
ネズミ「なんでさ」
シ「行けないのよ。まず、こんな身なりじゃとても顔を出せないもの」
ネズミ「でも僕、舞踏会に行った3人の誰よりも君が一番可愛いと思うよ」
シ「その言葉だけで十分よ、ありがとうネズミさん」
ネズミ「なんだか納得いかないや。…そうだ!ちょっと待っててよ。」
シ「あっ、ネズミさん!…行っちゃった。舞踏会に行けないより、独りの方が寂しいのに」

シンデレラ、掃除を続ける。するとネズミが、魔女を連れて帰ってくる。

ネズミ「お待たせ!」
魔女「あなたがシンデレラね?あら、本当に可愛い子だこと。持って帰りたいくらいね」
シ「誰?」
魔女「尺が無いから早速やるで。…えっと…なんやっけ。…アバダケタブラ〜!」
ネズミ「おい、お前それ」
演「(小声で)アブラカタブラ〜!!!」
シ「え、えっと、うわああ〜!」
演「カット!シンデレラ死んでまうやつ言ったあかん!」
魔女「ごめん」
演「じゃ、シンデレラ着替えてもらって。いけた?カボチャの馬車も出てきといて。いくで!シーン5。よ〜い、……は、はっくしゅん!!」
文1「風邪?」
演「まぁ」

シ「なんて素敵なドレスなの!」
ネズミ「これで舞踏会に行けるね、シンデレラ!」
魔女「とっても似合ってるわ。でもシンデレラ、一つだけ。私朝に弱いのよ。日付が変わる前には寝たいの。」
シ「…というと?」
魔女「12時に、魔法が解けると思っておいたほうが良いわ。」
ネズミ「だってさ!流石老人だよね!」
魔女「ドブネズミになりたいみたいだね」
シ「分かったわ!魔女さん、ありがとう!」

シンデレラ、カボチャの馬車と共にはける。

魔女「行ったわね。いいのかい?」
ネズミ「…うん。」
魔女「あの子が王子様を見つけでもしたら、もうあんたには構ってくれなくなるかもしれないんだよ」
ネズミ「分かってるさ、でもね、魔女さん。僕はシンデレラに笑ってて欲しいんだ。あの子が幸せなら、それ以上に嬉しいことは無いよ」
演「…うう、カット!!」
文1「ネズミいいキャラにし過ぎやろ」
演「シーン6。アクション!」

シ1「なんて広いお城なの!」
王子1「…!」
シ1「まさか、あなたは王子様?」
王子1「そ、そうさ。君の名前は!?」
シ1「シンデレラよ」
王子1「シンデレラ、僕と一緒にお、お踊りませんか」
シ1「よ、喜んで…?」
演「カーーット!!王子!毎回思っとったけどぎこちなさすぎやろ!」
女2「陰キャか」
王子1「しゃーないやろ!!」
シ1「まぁこいつも頑張ってるわけやし、楽しくできたらいいやんか」
王子1「○○くん…」
シ1「ずっと練習してるもんな。」
王子1「う、うん。」
演「そうやな、成功させることが一番の目的やし。じゃ次いこか!目玉シーンやで!よ〜いアクション!」

シ2「いけない!もう12時になってしまうわ!」
王子2「どうかしたの?シンデレラ」
演「王子かっこよ」
シ「い、いえ、なんでもないの。うちちょっと門限厳しい系で。帰らせて頂きます!」
王子2「あ、ちょっと!」
シ「ごめんね、王子様…!」
王子2「…全く、お茶目な子だ。靴が脱げるほど急いでいたんだね。」
王子の付き人「王子様、如何なさいましたか」
王子2「じいや。僕はもしかしたら、本当のお姫様を見つけたかもしれない。忘れられないんだ…あの子の笑う顔がね。」
王子の付き人「王子…」
王子2「そうだ。今すぐこの靴が履ける子を探そう。じいや、手伝ってくれるね?」
演「カーーーット!!!いいね!ラスト行こうかー!」
男3「王子、適任すぎるなあ」
女1「…本気出さなあかんか」
演「いくで!よ〜い、アクション!」

義母「ぐぎぎぎぎ」
義姉1「もう無理よお母様!それ以上するとかかとが、かかとが!!」
シ1「あれ、どうしたのかしら」
ネズミ「シンデレラ、あれは王子様じゃないか?」
王子1「!君はまさか!…すまない、ちょっとこの靴を履いてみてくれ!」
義姉2「シンデレラが履けるわけ…」
シ1「私に、ぴったり!」
王子1「やっぱりそうだ!」
シ1「お、王子様…!」
王子1「君はあの舞踏会の子なんだろ?あれからずっと、君のことばかり考えていたんだ。君の笑った顔があまりにも素敵でね。」
ネズミ「けっ、妬けちゃうね」
シ1「そんな…恥ずかしいです」
王子1「じゃあ、シンデレラ。僕のお城に着いてきてくれるかい?」
シ1「…はい!喜んで!」

演「…カーーーット!!お疲れ様!」
拍手が起こる。
文1「やばい、下校時刻過ぎそうやで」
男1「俺片付けやるよ」
文2「おお、ありがとう!」
女1「わ、わたしも!」
男1「ちょっとだけやけどな?」
文1「とにかく頼んだわ、ありがとうな!」

続々と帰ってゆき、男1と女1、2人残る。

男1「いやぁ、楽しみやな本番。」
女1「そ、そうやな」
男1「最後上手くできてたやん!惚れそうやったわ」
女1「…」
男1「どうしたん?」
女1「もう1回だけ練習さして」
男1「え、?」
女1「いいから!…き、君はあの舞踏会の子なんだろ?」
男1「お、おう」
女1「あれからずっと、君のことばかり考えていたんだ。」
男1「出来てるよ」
女1「…こうやって片付け自分で進んでやる所とか、皆に優しいとことか、…ずっと私のこと応援してくれたとことか。」
男1「え、え?」
女1「…」
男1「そ、そんな…恥ずかしいです?」
女1「じゃあ、シンデレラ。…私と付き合ってくれませんか!」
男1「…」
女1「…」
男1「はい、喜んで」

終幕。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?