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セツ子の日記 7月17日

「半年」

#文披31題

 「えーっお母ちゃん、ぐあいわるいん。おなかいたいんか? きもちわるいんか?」
 セツ子が学校から帰ってきたら家で待っていたんはお婆ちゃんやった。お母ちゃんはお医者さんへ行ったという。どこのお医者さんへ行ったのかセツ子はお婆ちゃんに聞いたが、お婆ちゃんは知らんと言う。だが、大したこと無いから心配せんでいいとも言った。
 セツ子はそんなこと言われても心配で心配でしょうがない。おやつも食べんと宿題もせんと黙って待っとった。
 しばらくして、ただいまとお母ちゃんが帰ってきた。セツ子は玄関に飛んでいってどこが悪かったのか聞いている。居間に入りながら母は大丈夫やと言ってセツ子をなだめた。まだ、手つかずのおやつと宿題を片付けてしまいなさいとセツ子に言ってその場を納めた。その晩、父と母は夜遅くまで何やらヒソヒソと話していた。
 翌朝、父と母は何だか様子がおかしい。セツ子もなんやへんやなぁと思いつつ学校に行った。学校から帰っておやつを食べ宿題をしてテレビを見ていると父が帰ってきた。セツ子は晩ごはんやと、居間に行ったら父と母が正座してセツ子を迎えた。セツ子はうち、何かやったろか? と、あれこれ思いを巡らしたが怒られるような事は最近してない。父がこっちに来て座りなさいと言った。仕方がない、ここはごめんなさいの一点張りで凌ぐしかないと覚悟を決めた。父母の前に座ったセツ子に父がこう言った。
 セツ子、待たせたな。やっとでけたで、お前の弟か妹が。と、言った。

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