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食べる機能の発達❹離乳後期

カミカミ期、舌先と上あご前方のヒダヒダでつぶせないけれど上下の歯ぐきでつぶせるバナナくらいの固さの食事を食べる様になります。

カミカミの動き


下あごと上下くちびるをふさぎながら食物を口の前方に取り込むと舌先を上あご前方のヒダヒダに押し付けて取り込まれた食物がつぶれるかつぶれないか確かめ、つぶれないと舌を横へ動かして右か左の歯ぐきの上に乗せます。あごを上下に動かす事で食物はつぶれていきますが、つぶすための歯ぐきの幅は狭いです。何か支えがないと噛みつぶしている途中で食べ物は歯ぐきから落ちてしまいます。歯ぐきに食物を乗せた舌が歯ぐきに寄り、頬が歯ぐきに寄り、あごが上下に動いて食物が噛みつぶてると歯ぐきに寄っていた舌は食物をかき集めて飲み込みます。
噛みつぶす動き、噛む動きは案外難しいのです。離乳中期に覚えた口に入って来た食べ物の固さを見極め、舌で歯ぐきに乗せて、頬と舌で歯ぐきから食物が落ちないように、かみつぶれた食物を舌を使って離乳初期に覚えた動きで飲み込む。

外から噛む動きを見ると

噛みつぶす様子は外から見ると、口に入った食べ物を舌の先で右か左に動かして歯ぐきにのせます。舌の先は横へ動かし易いですが、真ん中や後ろへ食物が入ってしまうと歯ぐきに乗せるのはちょっと難しいです、試しにご自分でなさってみると分かり易いと思います。赤ちゃんは大人の様にいろいろな食べ物を食べて来た食べ方の匠ではないので、食べる練習をしながら上手になっていきます。また、噛みつぶしている側の口の角が外側へ引っ張られるようにねじれているかのように見えます。頬の筋肉とくちびるの回りをぐるっと取り囲む筋肉が口の角のところで入り組んでいるようになっていて、噛みつぶす時に頬が歯ぐきに寄る事で噛みつぶしている側の口の角が外側へ引っ張られるように見えます。

噛みつぶす動きを引き出すために

噛みつぶす動きを引き出すには、その動きを引き出しやすくするため、口の前で取り込むこと、食物の固さに気をつけてみましょう。
離乳初期、中期の時に身につけた、口を閉じる、食物の固さを感じる、口を閉じて飲み込む動きが離乳後期の動きにつながります。おや?と思った時に確かめてみてください。

後期はカミカミ期、と言うけれど、大人が噛む事に使っている奥歯はまだ生えていない時期、かみつぶせる事の出来る食事の固さはバナナくらいと言われています。1歳誕生月健診に携わっていますが、離乳食のお悩みをうかがうのですけれど多くの方が、噛まずに丸のみ、とおっしゃいます。食べている食事をうかがうと固いのです、バナナより。後期は9ー11ヶ月と言いますので、1歳になったら固くしていいと思った、と仰る方もおいでです。

一口が大きい方が良いと思っている方もいらっしゃいます。離乳中期に覚える動き、舌先と上あご前方のヒダヒダでつぶれない固さの食物を舌を横へ動かして歯ぐきに乗せて噛みつぶすのですが、大きすぎると舌で横へ動かしにくいのです。いつまでも口の中からなくならなかったり、上あごに張り付いている事にも繋がります。

口の中の変化

後期の時期は一般的には生後9-11か月と言いますが、この頃上下の前歯が生えて上あごが広がって口の中が大きくなってきます。初期で前後、中期で上下、後期で左右の舌の動きを覚えていきますが、口の中が大きくなることが離乳食を食べるための口の中の形になってくる、とも言えます。

生えてきた上下の前歯を使って、かじりとり、を覚え始めるお子さんもいます。前歯でかじりとり舌で歯ぐきに乗せて噛みつぶすわけですが、繰り返し行うことで前歯で食物をかみとる感覚、次いで一口ちょうど良い量を覚えていきます。上下の歯で食物をかみとると、歯は沈み歯と歯ぐきを繋ぐクッションの様な役割をしている歯根膜(しこんまく)という組織で食物の固さを認識します。歯ごたえ、と言ったらわかりやすいでしょうか。歯根膜での認識(歯根膜感覚)は奥歯より前歯の方が鋭敏なことも一口の量を覚えるのにひと役かっていると考えられています。

かじりとらせようとお子さんに渡してお任せすると、渡した分だけ口に押し込んだりするのは未だ自分の口の中に入れる適正量がわからないのです。最初は大人が食物の端を持ってお子さんが小さくかみとれる様に手伝うことで一口分の量を覚えて行きやすいです。食べる事が楽しくなると、食べ物を持ちたがる様になるお子さんもいます。手に持って食べる手づかみ食べですね、次回以降に手づかみ食べについて書きます。

インスタ中期その2のコピー

参考文献 

金子芳洋編:食べる機能の障害、医歯薬出版

向井美惠編:食べる機能をうながす食事、医歯薬出版

田角勝、向井美惠編:小児の摂食嚥下リハビリテーション、医歯薬出版

向井美惠:お母さんの疑問にこたえる 乳幼児の食べる機能の気付きと支援、医歯薬出版

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