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#18 群青領域(2021)-このまま無名で終わらせたくない逸品

今思うと、2021年は、人の心理の奥深さを克明に描く名作ドラマが勢ぞろいしていました。このドラマからは「コロナ禍だからこそ、自身の弱さと向き合おう」という骨太なメッセージが伝わってきました。キャスティングが少し地味だったこともあり、あまり知られていないような気がしますが…。

ホームページの紹介文がすべて ※下記

「超絶的な人気を誇る5ピースバンド「Indigo AREA」のメンバー、主人公キム・ジュニ(シム・ウンギョン)。彼女の過去には挫折と深い傷があった。恋人でもあったボーカル(柿澤勇人)の突然の脱退宣言。消えてしまいたいほどのショックを受けたジュニは、SNSの標的にもなり、音楽さえも怖くなり、全て投げ出し海へ逃げる。海辺の町で、ジュニは今まで知らなかった世界の扉を開ける。やがて、狭い価値観の世界を脱出して、音楽を取り戻し、「一人の人間」として、力強く羽ばたいていく過程と、生きていくのに欠かせない繋がりをつかむまでを描く。心の奥にある「誰にも侵されたくない領域」をジュニは笑顔で踏み越えていく。」👈ホンマ、ええ感じ。

抑え込んだ演技は天下一品

親日家シム・ウンギョンさんは韓国出身の演者さんで、「7人の秘書」「アノニマス」「百万回言えばよかった」にも出演されていました。私にはそれほど良さが引き出されているようには思えず、その分、『群青領域』で演じられた「病み切ったアーティスト」役にハマってしまいました。上述のキーワード-消えてしまいたいほどのショック、SNSの標的、誰にも侵されたくない領域-を見事に体現され、幸福感を最優先する視聴者を寄せ付けないオーラを放たれていました。スポンサー企業に忖度する必要のない、NHKならではの起用だったと思います。

Indigo AREA 最強説

架空のバンドですが、めっちゃ格好良かったです。リリースされていませんが、ドラマで何度も演奏された楽曲も良かったです。確か最終回の直前回だったか、海岸で演奏するIndigo AREAが最強でした。脱退するボーカル・川西陽樹(↑↑↑柿澤勇人)の病みっぷりと美声も素晴らしかったです。このドラマがあったからこそ、哀愁を帯びまくった源実朝(鎌倉殿の13人)につながったのでないでしょうか。シムさん同様、「誰にも侵されたくない領域」というトピックを体現するシンボリックな存在でした。『最愛』とならび、年末の切なさ・わびしさを増幅させる作品でした。







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