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バディものやるなら人鬼血盟RPGブラッドパスがおすすめだという話。


日本のTRPGには「バディもの」と呼ばれるPC同士がペアを組んで遊ぶことが想定されているTRPGがいくつか存在します。
たとえばガーデンオーダー銀剣のステラナイツフタリソウサアニマアニムス、そしてブラッドパスです。

上記のうちフタリソウサ以外は経験しましたが(フタリソウサも遊んでみたい)
ブラッドパスはオンリーイベント※を開くくらいには気に入っています。
※コロナ禍でのイベントだったので、オンライン開催でした
https://togetter.com/li/1563594

私が遊んだ4つのバディものシステムの中で一番好きです、ブラッドパス。
今日はブラッドパスはいいぞ、という話をします。

ちょうど8/20に電子書籍版も出るようですね。
https://twitter.com/karasu_wing/status/1422862878999150595

人鬼血盟RPG「ブラッドパス」とは


2019年11月に新紀元社より発売された、人間と吸血鬼が「血契(ちぎり)を交わし」「血盟(けつめい)」と呼ばれるペア※を組み、
大量の吸血によりエゴを肥大化させ、人と吸血鬼の双方に仇なす存在となり果てたもの「業血鬼(ごうけつき)」と戦うTRPGです。

※人間1人に吸血鬼2人のトリオもできます。

どこが気に入っているのか書きましょう。

・ルールが軽い


ブラッドパスは判定にトランプを使います。サイコロすら振りません。
キャラクターに設定された能力値にカードの数字を足すだけです、足し算だけできれば大丈夫です。
しかも、能力値が一つのキャラクターにつき主能力値2つ、副能力値2つの合計4つしかありません。数値の判断が楽です。

・人間と吸血鬼で役割分担がしやすい

人間と吸血鬼で選べるファクター(ほかのゲームで言う「クラス」、特技の選択群を意味する。選んだものによって能力値にも影響がある)が完全に別のものとなっています。

基本的に人間は調査や味方の補助に強いファクター、吸血鬼は火力担当のファクターが多いです。もちろんファクターや特技の取り方次第で逆にすることもできますが、キャラクター作成段階から血盟内で役割分担を考えやすい構成となっております。

ペア組んだけど、二人ともできることがあまり変わらない…役割分担どうするよ…ということは比較的起きにくいでしょう。

・設定を話し合って決められる(特にパートナーへの感情)


ブラッドパスはライフパスと呼ばれる、キャラクターの設定を決める欄が比較的多めです。自分のキャラクター設定用だけで7つあります。
ただ、そのほとんどは表から自分で選ぶだけでなくトランプを引いて、出た数字で決めることもできます。

ここまでならちょっとキャラクターのパーソナリティにかかわる項目が多いだけのTRPGですが、ポイントはそのあとです。
ペア、もしくはトリオ(以下「血盟」と呼ぶ)をキャラクター作成段階で組むのですが、
キャラ作成の時点で以下の設定をペア相手のプレイヤーと話し合って決めます。

・パートナーに対して抱いている感情2つ
この感情は「痕印(こんいん)」という感情が象徴する図形をかたどったアザとなって体のどこかに現れます。
表れる形、現れる部位はパートナーがどんな感情を抱いているかによって変わります。どんな感情を抱いているか、パートナーにある程度伝わってしまうんですね。
これを血盟を組んだ人間にも吸血鬼にも、どちらにも表れます。

このほか話し合いによって決める必要があるものとして、
・吸血鬼が人間と契約するにあたり、人間に対して課した「約束」
・(トリオの場合のみ)吸血鬼同士での約束事「協定」

 相手との関係性を決めるものがいくつかあるため、必然的にセッション本編開始前にペアを組んだ相手との話し合いが必要になってくる構成となっています。
 話し合う段階で、お互いのキャラクターがどんなものか、自然と理解を深めることができます。

 そして、ここで決めた内容が、ロールプレイのフックにもなります。
たとえば、吸血鬼が人間に対し「我が王と呼べ」という約束を人間に課せば、血盟を組んだ人間は吸血鬼のことを「我が王」と呼んでくれます。
…どのようなテンションで呼ぶかは、人間PC次第ですが。

・血盟の絆を深める「ターンテーマ」の存在


ミドルフェイズでは調査フェイズと呼ばれる情報収集が行えるフェイズが2周設定されます。
調査フェイズの構成は以下のようになっています。

ドラマターンの開始

ターンテーマの決定

調査シーン(各プレイヤーキャラクターごとに1回)

情報開示(情報収集の判定に一定以上成功し、情報進行度(後述)が規定数に達していれば情報開示)

交流シーン

インタールード(調査フェイズのターンごとのふりかえり)

次のドラマターンへ

ターンテーマの設定」という項目があります。
ターンテーマとはいわばドラマターンにおける「ロールプレイのお題」です。
ドラマターンの開始から交流シーンが終了するまでに、ターンテーマで設定されたお題に沿ったロールプレイができていれば、交流シーン終了後のインタールードにて手札上限が+1枚されます。

交流シーンは血盟ごとに行われますが、その血盟に所属するすべてのキャラクター(ペアもしくはトリオ)が登場し、調べた情報をまとめたり事件への印象を語ったりします。また、調査シーンでターンテーマについてのロールプレイが不十分だと感じたら、ここでターンテーマに関するロールプレイを行うこともできます。
ドラマターンは2周設定されているので、どちらもターンテーマに沿ったロールプレイができていれば手札上限は初期の3枚から2枚増えて最終的に5枚になります。

・情報収集の設計の巧みさ


情報収集では能力値+対応するスートのカードの数字で14以上を出せば成功となり、情報進行度の数値が+2されます。ドラマターン終了時点で情報進行度が一定数たまっているかどうか確認し、たまっていたら情報が開示される…という仕組みになっています。
ブラッドパスには「血」「想」「技」「情」の4つの能力値があり、それぞれハート、ダイヤ、スペード、クラブのスートに対応しています。
たとえば人間で「技」10「情」が8の場合、技、なら4以上、情なら6以上のカードを出せば成功します。


では人間がハートorダイヤのカードを出した場合はどうなるのでしょうか。
答えは「出せるが、対応する能力値を持っていない(=0)ため、カードの数値がそのまま達成値となる」です。絵札は10、エースは11扱いです。
調査判定で成功するには達成値14が必要なため、自分の能力値とスートがあっていない場合必ず失敗します。

ただし、失敗してもある程度情報は手に入ります(情報進行度+1)ので、どうしても成功しないといけないわけではないですし、全成功しないと進めないような構造ではないので、
手札によっては失敗してしまっても大丈夫です。相方に期待しましょう。

じゃあ人間が赤い絵札(もしくは黒い絵札)もってても使えないじゃん!
となりますがそんなことはありません。

・吸血フェイズの存在と、手札が腐りにくい設計

吸血フェイズというものが存在します。
吸血フェイズで血盟を組んだ吸血鬼が人間から吸血を吸うロールプレイを挟むことにより、互いの手札を自由交換することができます。
これは1セッションに1回、クライマックスの戦闘前に必ず行われます。

ちなみに、直接体の一部にかみついて血を吸うロールプレイでなくても大丈夫です。
身体の一部に傷をつけて、その血を器に貯めて吸血鬼が飲む、という演出もアリです。血盟間で相談しましょう。

この演出を行うことにより、人間は吸血鬼に赤い絵札やエースを送り込み、人間は吸血鬼が余らせた黒い絵札やエースをもらう。
大切なものを預けるって信頼の証だと思うのですが、自らの血を吸わせるのってあなたを信頼していますという意思表示としては十分だと思います(とくに、直接体を差し出して吸わせる場合)。
ゲームの盛り上がりがシナリオ依存ではなく、システム依存でが発生するようにできています。非常によくできていると思います。

切り札のコスト消費を相方が賄える


このゲームはルール上、トランプを消費した場合すぐ山札から手札補充を行います。
吸血フェイズで手札を交換できたけど、手札補充したら戦闘中に自分が使わない方の絵札が来てしまった。
ご安心ください。血威(1セッションに1回しか使えない、切り札となる強力な技)のコスト支払いは血盟相手が肩代わりすることができます。絵札やエースが来た場合は相手の血威を起動することに使い、絵札以外のカードは通常の武器攻撃で誰でも使えるので、完全に腐ることはありません。自分しか使えない札が血盟相手に行っても腐らないというのは、非常に、よくできていると思います。

シナリオの作りやすさ

システムの遊び心地からは少々離れますが、シナリオが作りやすいことも特筆すべきことでしょう。
システム上、「敵がどんなやつで」「どこにいるか」さえ決まってしまえばシナリオになってしまいます。後は血盟に仕事を依頼するシーンと、エンディングを適宜(白紙でプレイヤー任せにするのもあり)書いてしまえば完成です。

敵データの作成も非常に簡単です。

なんとルールブックにプレイヤーキャラクターの強さによるボスの強さの決め方や、生命力・先制値の計算式が明記されています。テンプレートに当てはめるだけで、簡単に自分が出したい敵が作れてしまうのです。びっくりするほど楽。ボス敵のタイプもパワー型やスピード型など複数から選べます。


最後に

バディものやるならブラッドパスはいいぞ。

電子書籍も出るので、バディものに手を出してみたい、吸血鬼と人間の関係って素敵やん、なすべての皆様にお勧めしたいです。

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