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気になる言葉「OKです」

今では私もつい使ってしまうが、初めてビジネスシーンで「OKです」という言葉を聞いたときは思わず耳を疑った。私が中途採用した社員へ指導した際、その新人が返答として使った言葉だった。よく言えばフランクな人柄のその新人は、事務職の割に砕けた言葉をよく使っていた。

当時の私は、この件を受けて採用時の試験の内容の見直しを提案した。事務員として相応しい言葉遣いができる人を採用すべきだと考えたからだ。「敬語の指針」を参照したり、秘書検定のテキストを読んだりと、様々なものを見て試験問題を作った覚えがある。

さて、この件がどれほど私に衝撃を与えたかはこの程度にしておくが、何故「OKです」が問題なのかに触れておこう。英語での「OK」は、「可もなく不可もなく」や「問題はない」というようなニュアンスだ。だから、それに丁寧語の「です」を付けたところで「可もなく不可もなくです」と返しているのと同義だ。

似た言葉でいうと、「大丈夫」も誤った用途で広まっているように思う。これも、本来は「問題はあるが、平気」という意味だ。問題が無いなら、「問題ありません」「構いません」といった言葉を使えばいい。これは「OKです」にも言えることだろう。

なまじ言葉の本来の意味や正しい意味を知っているからこそ、変化した使われ方に違和感を覚えるのかもしれない。だが、何にでもカタカナ語や流行りの言葉を使うのではなく、なるべく素朴な日本語を使いたいと、私は思う。