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初めての一人東京 後編

仕事帰りにそのまま東京へ直行という無茶なスケジュールな上、飛行機の遅延というトラブルも合わさり、疲労困憊な状態で辿り着いた東京。しかし、今回の目的はオフ会だ。疲労はピークだったが、何とか私はオフ会に参加しているメンバーへ、駅に着いたことを知らせるLINEを送る。
だが、もう私は疲れ切っており、地面に座り込んでしまった。体も重く、スマホの操作をする気も起こらない。ここが東京でなく、住んでいる所の近くであったなら、今からでも帰りたいぐらいにしんどかった。そうして座り込んでいると、おずおずと声を掛けられる。オフ会のメンバーだ。LINEの返信が返ってこなくなった私を心配し、探してくれていたのだ。私は疲れもあり、最小限の返答しか出来ていなかった。ともかくも、私はオフ会へ参加する。

とはいえ、コンディションは最悪。本来ならしたいことがたくさんあったが、結局は少しだけ回復した体力を使い、カラオケで1曲デュエットしただけに終わった。バーの見知らぬ客達が、話すのを止めて聴き入り、曲の伴奏が聞こえるようになるあの瞬間はいつでも高揚感を覚える。だが、それでもそれ以上歌う気にはなれなかった。後半になると少しは体力が回復してきたが、ここで無理をして迷惑は掛けられない。オフ会は翌日も続くのだ。

それから翌日、一晩休んでそれなりに体力は回復したものの、ここでとあることに気付く。部屋の鍵が無い。本来、その日は東京の観光をする予定だったが、そういう気分でも無くなってしまった。とりあえず、朝10時を過ぎる頃に心当たりに電話してみる。一発でビンゴだ。私は鍵を空港に落としていた。あの、ハンカチで汗を拭った時に一緒に鍵もポケットから出てしまったのだろう。
一安心したものの、疲れはまだ残る。結局、集まっていた一部のメンバーと、室内でのんびりして過ごした。

元々オフ会でしたいと思っていたことはあまり出来なかったが、オフ会のメンバーとちゃんと会え、コミュニケーションも取れた。これだけでも充分にオフ会は楽しめたのだろう。今でも、そのオフ会で会ったメンバーの一部とは連絡を取っている。遠方なので、会えているかというとそれは別の話だが。メンバーからは、この一件ですっかりドジキャラとして認定されてしまっている。