詠んだものの補足(2023/11/1)

これは、とあるVtuberのラジオを模した定期配信『ラジオガミ』の1コーナーに送ったお便りの補足エピソード。そのコーナーでは視聴者が出した中からランダムにお題を決定し、視聴者はそのお題に沿った俳句や短歌、それに準ずるものをお便りで送る。

それは2023/11/1に配信された、テーマが『ポケモン』だった回で、ラジオの第107回に相当する。私はいくつかそのテーマにまつわるお便りを送ったが、その中で1つピックアップする。

あのエリア
かの日も今なお
見える先
どうも行けない
陸続く帰路

ちなみに、これはラジオネーム「マサラタウンの両サイドのあの草むら」で投稿している。
句の内容は察しの通り、初代ポケモンのマサラタウンや1番道路の両脇にあるあの謎の草むらをテーマにしている。
今回はこの句を作るに至った流れを綴っていく。

まず、最初に考えたのは、初代ポケモンのバージョンの羅列「あかみどりあおきいろ」がちょうど10文字であること。そこから、この10文字を語頭語尾に置いて沓冠にしようと考えた。中身を詰めて上手く初代ポケモンに絡められればいい。なるべく発売順に並べたいから、後半の「あおきいろ」は固定。そうであれば、1行目は「あ」で終わることが確定する。しかし、日本語で「あ」や「お」で終わる単語は比較的少なく、「エリア」を使うことに決めた。これで今回の短歌は場所にまつわるものという方向性が定まった。
そこまで決まれば後はパズルだ。過去を懐かしむ感じを出したく1行目は「あのエリア」に決まる。そうなれば、初代ポケモンで最初の場所まで遡る方がいい。それでテーマを両サイドの謎の草むらにした。そのテーマが定まり、4行目までは自然と繋がった。困ったのが最後の行だ。「ろ」で終わる言葉も日本語にはあまり多くない。なるべくカタカナ語や漢語を使わずに古い雰囲気を出したかったが、仕方なく「帰路」を使うことにした。マサラタウンには主人公の家があるので、それらしい意味付けは可能だ。最後に、「見えてはいるけど辿り着けない」ことを表現するために、「り」で始まる言葉は「陸続き」を変化させて使うことにする。こうして短歌の体が辛うじて整った。

私は文学には疎く、俳句や短歌はどうも技巧を優先してしまう。今回のものも、端的に言えば『ポケモン』では折句に出来ないから、何とか折句か沓冠が使える形にしようと試行錯誤したものに過ぎない。だが、こうして技巧を使おうとすることで、私の国語力は上がっているように思える。楽しみながら、学べる。それはきっと素敵な趣味だ。