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詠んだものの補足(2023/11/29)

これは、とあるVtuberのラジオを模した定期配信『ラジオガミ』の1コーナーに送ったお便りの補足エピソード。そのコーナーでは視聴者が出した中からランダムにお題を決定し、視聴者はそのお題に沿った俳句や短歌、それに準ずるものをお便りで送る。

それは2023/11/29に配信された、テーマが『霜柱(または霜)』だった回で、ラジオの第110回に相当する。私はいくつかそのテーマにまつわるお便りを送ったが、その中で1つピックアップする。

不向きさや
宵に憂さ皆
踏む華が
盛んな推しも
暫し忘るる

和風月名の「月」を除いた部分を順番に全て入れ込んだ短歌。熟字訓の場合はそれらしい部分で区切っている。

↓かっこの中が短歌に入れた音↓
睦月(む) 如月(きさ) 弥生(やよい)
卯月(う) 皐月(さ) 水無月(みな)
文月(ふ) 葉月(は) 長月(なが)
神無月(かんな) 霜月(しも) 師走(しわす)

↓短歌のかな表記↓
ふむきさや よいにうさみな ふむはなが
さかんなおしも しばしわするる

※「弥生」は句またがりしている。

不向きだなぁと夜に皆で白いものを踏むことで、暫くの間推しのことも忘れてしまう、というような意味。「華」という漢字には白いものという意味がある。

これは、2023/11/1の配信での『ポケモン』をテーマとした回で、修辞法「物の名」を駆使した句に触発されて考えたもの。ランダムで決めたお題は『霜柱』であったが、『霜』でも構わないということから何をテーマにするか考えた。
誰の逸話かは忘れてしまったのだが、「干支」をテーマにして句を詠もうと言ったら、1つの句に十二支全部を入れたものを作ったというものを聞いたことがあった。それをヒントに、『霜』がテーマだったが和風月名の全てを入れてしまおうと思い付いたのだ。ただ、先にかっこ書きで挙げたものだけでも22音ある。短歌は別名三十一文字(みそひともじ)とも言うように31音だ。9音しか余裕が無い。特に、「やよい」「かんな」「しわす」を塊で使うのには頭を使った。「しわす」は「~し忘~」と使うと決まる。そこから逆算すると、前半は殆ど余裕が無いことが分かり、「~むきさ」から「不向きさ」とした。「やよい」の「や」を切れ字にして、「や 宵」とすることもすんなり決まる。「うさみな」もくっ付けて「憂さ皆」とすることにした。地味に苦戦したのが「は」「なが」。「華」という字を調べて「華(しろ)い」という読みや、白粉(おしろい)、白い粉という意味があることを知り、それが霜に関連付けできることに気付く。そこまでできると、終わりを「しばし忘るる」とし、残りの「かんな」「しも」を7文字に詰め込めばいい。そうしてこの句は完成した。
正直、技巧に全振りした割には意味もそれなりに霜柱に関連付けが出来たので、私は満足している。ただ、少し前に触れた逸話が誰のものだったのか、それだけは気がかりである。