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白いたんぽぽ 小4頃

私は、小学生の頃バス通学をしていた。こう聞くと、都会に住んでいると思う人も居るかもしれない。実際は、町の端っこに住んでいて学校まで約7kmあり、しかも途中に歩道が整備されていない所がある。そんな理由で途中まで路線バスを使っていた。
学校に行く時は、とある高校の近くで降りる。それより先だと、バスは町の中心へ向かっていき、むしろ時間が掛かってしまうためだ。
帰りにも当然バスを使う。何度か、より家に近いバス停から乗れないか、同級生と試したことがある。バスの時間を気にしつつ2kmは歩いたが、20円も変わらなかった。
だから、普通は町中にあるバスセンターでバスを待つ。小学生でバス停の名前を見ていなかったのか、乗る時には乗り場のアナウンスが流れないからか、なんという名前だったか覚えていない。私たちはそこを「バス会社(がいしゃ)」と呼んでいた。
バス会社でバスを待とうにも、多くて1時間に1本しかバスは無い。だから、雨でなければ近くの公園で時間をつぶしていた。そんないつもの光景。

小4の頃だっただろうか。その日は違うことがあった。公園に白いたんぽぽが咲いていたのだ。
今ならネットで調べて知っている。その花は「シロバナタンポポ」という日本の在来種で、数が減ってきている種だ。
当時はそんな方法もなく、同じバスを待つ私含めた小学生達は珍しがっている。そして、その内の一人がその花を摘んだ。珍しいものを持って帰りたかったのだろう。

翌日も、その翌日も、6年生になってからもその公園に行ったが、それ以来白いたんぽぽをその公園で見ることは無かった。