接客の難しさ

これはつい最近あった話。
私は、いつものようにマンガの新刊を買いに本屋へ向かう。いつものようにとは言ったものの、今回は本屋へ行くのが例月より少々遅れてしまっていた。集めているマンガの続刊がいくつか出ており、それを本屋の新刊コーナーで探す。だが、そのうち1つが見付からない。念の為既刊コーナーも見て、再度新刊コーナーを探すが、それでも無い。仕方なく、店員さんが手隙のタイミングを窺って訊ねてみる。もちろん、スマホで探しているマンガの情報を用意して、だ。
「すみません、このマンガを探しているのですが。」
スマホで情報を見せつつ質問する。店員さんは、今月出た新刊ですよねと相槌を打ちつつ検索してくださった。だが、在庫は無かったようだ。売り切れならば仕方ない。発売日を少し過ぎてしまった私の責任でもある。他の店舗で探してみますと伝えて、他の新刊を買ってその店舗は後にした。

そして、その店舗からの最寄りの本屋を訪れる。そこの新刊コーナーを探すが、今度も置いていなかった。仕方なしに近くに居た店員さんに声を掛け、一店舗目と同じように質問する。店員さんは端末へ調べに行った後、新刊コーナー、既刊コーナー、そして再び新刊コーナー、棚の下段の引き出し部分、バックヤード、また新刊コーナー…と色々調べてくださった。そして、こう伝えられた。
「すみません、在庫切れのようです。」
私の脳裏には疑念が過ったが、とりあえずお礼を言ってその店舗を後にした。

結局、その次の店舗で目的のマンガは見付かったのだが、二店舗目での出来事を振り返ってみたい。恐らくだが、端末では「在庫あり」となっていたが、本来陳列されているはずの場所のどこにもなく、「在庫情報ではあることになっていますが、どこにあるか分かりませんでした。」とは店員さんの立場上言えないので、きっと「在庫切れだ」と伝えられたのだとは思う。ただ、この場合に適切な接客対応はどういうものなのだろうと考えてしまった。私は大人しく引き下がったが、端末で調べた後の対応から、本当はデータ上だと在庫はあるはずだ、と食い下がるお客も居るだろう。とはいえ、たった一人の客に対して、私では分かりかねますと他の店員さんも呼んで、複数人で対応するのも効率的ではないと思う。

これに近い出来事は一度だけ経験している。その時は、目的のマンガは在庫ありだったものの、その在庫というものが破損ありで売れないというものだった。なんでも、店舗に配送されたときの梱包状況が悪く、届いたときには破損しており、返品して仕入れ直しすることになっているのだとか。その時は発売日当日だったし、珍しいこともあるものだなぁと思ったものだった。

私は接客業の経験はほぼないが、想定していないトラブルというのは起こるものだ。そういうトラブルのとき、どう対応すると角が立たないのか。世の中には色んな人が居るから、万能な正解なんて無い。今回の事例で、私がもし店員さんの立場だったらどう対応しただろう?接客というのは本当に難しい。