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通学路にあった不思議

これは私が小学校低学年の頃の話。当時は小学校から約4km離れた地域に住んでおり、地区内で班をつくって登校していた。下校は時間帯が異なるので同じ地区であったり、家の方向が近かったりする同級生と下校していた。
それは梅雨に入る前だっただろうか、一見するといつもと同じ通学路に思えた。いや、見た目は変わっていない。通学路の途中で公民館の横を通るのだが、そこに近づくとある匂いがするのだ。バナナの匂いだ。しかし当然、そこにバナナの木など生えてはいない。不思議だ。そんな時期は1ヶ月程続いた。
不思議には思っていたものの、所詮は小学生。学校に着いたり、逆に家に帰ったり。時間が過ぎる中でそんな出来事も忘れてしまう。不思議だと思っていたことも家や学校では忘れ、結局質問出来ないままだった。

そうこうする内に、私は校区内で引越し、その出来事すら忘却してしまった。

そして、ふとそのことを思い出す。今は便利なもので、インターネットで色々なことを調べられる。「バナナの匂いのする木」と検索してみる。すると、カラタネオガタマという植物が検索にヒットした。その植物の外見を調べてみる。―――そうだ、この花が木に咲いていた。その花の画像を見ると、鼻にバナナの匂いが香った気がした。