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弁当と割り箸
私が初めて正社員になったのはもう少しで30歳になる頃だった。せっかく正社員になったのだからと心機一転し、私は弁当を自分で詰めて持っていくようになった。「詰める」という表現をしているのは、私は料理をせず、弁当はご飯や冷凍食品を単に弁当箱へ詰めたものだったからだ。冷凍食品も、常温で自然解凍されるものだ。手間が掛からないのはありがたい。
仕事に弁当を詰めて持っていくのが習慣になった頃、とある出来事があった。当時使っていた弁当箱はその職場用に買ったものだったので、安物だった。だから、その出来事はいずれ起こるものだったのだろう。そう、弁当箱に備え付けの箸が折れたのだ。それも真ん中で、ぽっきりと。
私はその折れた箸で何とか弁当を食べようとするが、長さが不揃いで食べにくい。職場に割り箸が無いか探したが見つからなかった。結局、私は折れた1本の箸がちょうど同じぐらいの長さになっていたので、その1組を箸として使って食べることにした。とても短かったが、長さが極端に違うよりはマシだった。
それから、私は弁当を持っていくときは、弁当箱に付いていたプラスチックの箸以外に、木の割り箸も弁当風呂敷に包んで持っていくことが習慣になったのだった。