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格ゲー初心者が「スト6」で気付いた"上達"の魅力


非格ゲーマーの私が「スト6」を買うまで

今回は「ストリートファイター6」(スト6)の話です。
現在のプレイ時間やランクはこんな感じで73時間ほど遊んでいます。

キャラは特に絞らず本田、JP、ケン、ダルシムなど色々使って遊んでいます
(Xboxコントローラーでモダン操作)

私の格ゲー経験はほぼ素人です。
中学生の頃に学校帰りに軽く友達と遊んでいたくらいでゲーセンで知らない人とやると一切勝てないやつ。
最近の格ゲーはハードルが高く、新作が出ても格ゲー経験者でないと楽しめない印象でしたので、「スト6」に関しても私には関係ないと思っていました。

ところが、「スト6」が発売されてからはTwitter (X) で格ゲーマー以外もしょっちゅう話題にしていたり、配信者がこぞってプレイしたり、様々な面から「スト6」が大きく盛り上がっていると感じていました。
さらに、私の推しの壱百満点原サロメ様もスト6配信を始めたのでついに他人事ではなくなってしまいました。
サロメ様は9時間ずっとコンボトライアルモードをやっていて話題になったりしましたね。

実際、見ていて面白そうだったので他のゲームが落ち着いたころに私もスト6を購入しました。

購入した理由としては他にも、
・モダン操作があるので操作面でのハードルが低そう
・私以外の初心者も多そうなのでオンライン対戦しやすそう
・「ストリートファイター」シリーズのブランド的な魅力がある
といった要素も揃っていたので購入のハードルは低かったです。

「スト6」は私好みのゲームだった

遊んでみると意外にも「スト6」は私好みのゲームで、9月に一番遊んだゲームでした。

私は対戦ゲームはだいたい辞めてしまって今も続いているのはチェスくらいです。
「スト6」はチェスと似て歴史があって、古風だからこそ逆に新鮮で、複雑で、学びがいがあり、ネットで対戦相手を見つけるのに困らず、少しずつ上達するのが楽しい……と私にとって好ましい要素が多数共通しています。

実際に、「スト6」をプレイしている時の感覚もチェスと非常に似ています。
チェスというと盤面の前で静かに考えながら指すゲームというイメージがあるかもしれませんが、ネットでは持ち時間が5分以下での早指し(ブリッツ)が主流です。
チェスの早指しでは1手あたり5秒以下で指す必要があります。

チェスの早指しと「スト6」に共通しているのは論理的思考と動物的直感の融合した体験というところでしょう。
事前の研究や練習は、チェスや「スト6」において論理的思考が重要な役割を果たす部分です。戦術やオープニングの理解、相手の戦略の分析など、計画的にアプローチすることが勝利に繋がります。
一方、試合中にリスクを冒す瞬間や緊張感から生まれる直感的な判断も不可欠です。その場での状況判断や相手の動きを読む能力は勝敗を大きく左右します。また、試合終盤における緊張感は、誤った手を指す原因にもなり得ます。
これらの要素が組み合わさることで、チェスや「スト6」が面白く、挑戦的なゲームになっていると言えますね。
「格ゲーはハイスピードで将棋を指すのに近い」と誰かが言っているのを聞いた記憶がありますが(誰かは忘れました)、実際自分でやっていても非常に通じる部分があります。

指が動くほど思考も働く

「スト6」もチェスも反復練習が大事なところも一緒です。
もっと言うと、数学みたいな論理的思考の塊のようなものも反復練習が大事だったりしますし、総じて人間の思考とは身体性に強く紐づいています。
別の言い方をすれば、思考することと目的に沿って身体を動かす能力は表裏一体で、片方が伸びればもう片方も伸びます(※)

※チェスの場合も初学者においては駒を動かす能力とチェスの能力に相関があるとされています(上達すると抽象化されて見えづらくなる)

私はプレイ時間の半分以上をトレモに費やしていますが、これもスムーズに操作できるようになると試合中にコンマ数秒の思考の余地が増え、プレイ中の視野が広がり、ゲームの楽しさが増すという部分が大きいです。
対人戦をやり始めた9月頭くらいは相手のドライブインパクトに反応できることは皆無でしたが、最近はタイミング次第では割と返せたりします。

ドライブインパクトを返した時の演出とその後のコンボも合わせて爽快感があり楽しいシステム

これも最初は自分の行動をするのに意識を100%割いて指をモタモタ動かして……だったのが、もっと少ない意識で動かして試合状況や相手キャラの動きの確認をする余裕が生まれてきたからでしょう。
自分の試合中の時間分解能が上がっていると言えるのかもしれません。
他にもアシストコンボに頼っていた部分をノーゲージの手動コンボに変えてドライブゲージを温存して次の攻めのラッシュに回すとか、プレイ技術の向上によって試合中に考えられることは増えていきます。
上達するほどゲームの面白さをより深く味わうことができるというのは何でも通じる部分はありますが、「スト6」は達成感(上達した感覚)を味わいやすい設計になっていると感じます。

余談ですが、チェスも上達してくると「理屈抜きにパッと見で指すべき手がわかる」といったものがあります。
これも格ゲーでパッと見でドライブインパクトに反応するのと同種の認知的能力を使っているだろうと考えられます(※)。
格ゲーではダイレクトにパターン認識と身体性が働くので、より面白さも直感的でわかりやすいと言えるかもしれません。

※具体的には条件付き反射とかAutomated Cognitive Processes(日本語だと自動的処理?)とか

初心者帯でのランクマが機能している

「スト6」を始めて驚いたことの一つが、初心者がランクマッチをやるとちょうど良い実力の相手とマッチングするというものです。
初心者同士がマッチングするのは当たり前に見えて全くそうではないのです。

マッチングの問題というのは、「各実力帯に一定の人数がいるか」が最も重要です。
要は初心者が沢山いるゲームでないと初心者同士でのマッチングは組めません。
実は「スト5」もほんの少しだけ遊んだことがあるのですが、ちょうど良い実力の相手とマッチングすることが少なく、続きませんでした。
「スト6」は発売からまだ時間が経っていないという点もありますが、私を含めた初心者が多くプレイしているために初心者同士でマッチングできているわけです。
人口が多いのは単なる偶然ではなく、初心者に配慮されたゲーム設計やプロモーションの成功、パンデミック以降のネットワーク対戦ゲームの需要増加など複合的な要因による結果と言えるでしょう。

「対戦はエンドコンテンツ」という方針が私を含めた初心者のゲーム体験に大きくプラスに作用していることは間違いないでしょう
引用元:https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1503995.html

また、実力の見合った相手が見つかるというのは上達の過程でも非常に重要です。
私が対戦する時はトレモで練習した内容の定着や、新しい課題を見つけるといった目的で行うのですが、その時に自分に見合った実力の相手でなければそういった上達のための手がかりを得るのは難しいです。
明らかに自分より上手い人と戦っても、「何もできずに負けた」とか「全部ガードされて全部攻撃食らった」みたいなことになりがちですので、正直あまり上達には役に立たないことが多かったり。
なので、ピラミッド状に初級者から上級者まで幅広い層のプレイヤーがいるというのは、そのゲームに参加している人たち全員にメリットがあるわけですね。

要するに、実力に見合った相手とすぐに戦えるというのはゲーム体験として非常に重要なポイントで、それを実現するのが初心者を含めたプレイ人口の多さというわけです。

おわりに

初心者なりの視点で思うところを一通り書いてみました。
今のところほとんどストレスなく遊べているので、「スト6」は格ゲーに馴染みの薄い人にも遊びやすいようにデザインされたゲームだと感じています。
よく話題になるモダンなどのシステム的な部分も書こうと思ったのですが、今回はその辺はすべて省いて最も本質的だと思った部分である「上達の楽しさ」を中心に書きました。

他にも書けることは色々ありそうな気がするので、気が向いたらまた書いてみようと思います。

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