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京都芸術大学イラストレーションコース1年目の終わりに思う

もうすぐ京都芸術大学イラストレーションコースの通信に入学してから1年が経とうとしている。自分でもよくやってこれたと感心するが、あまり褒めてくれる人もいないのでこっそり1周年をお祝いしているところだ。専門科目に関してはこないだTWの課題を提出し終わって、TWは全てクリア!そしてWS冬の課題を出し終わって結果を待つのみである。

実は自分は目標を「1年目にコース専門科目の単位を全部とる」としていた。3年編入なので2年で卒業すると決め、それには1年目にコース専門科目に集中し、2年目は学部共通専門教育科目14単位と、ポートフォリオと卒業制作をゆっくりやる。もし卒業できなくても、コース専門科目の単位を全部取れていればそこで良しとして止める、と決めていた。
自分は就職目的ではなく画力を上げる&そのための知識を増やすのが目的だったので、そこが得られれば良かったのである。
それに、2年目の仕事の都合によっては時間がなかなか取れなくなる可能性もある。
そのために、1年目はもう大学生なのにまるで受験生のようにありとあらゆる時間を大学の学習のために費やした。

思えば昨年の4月に「こんなんいきなり描けるわけないだろ」と驚愕し、自分の浅はかさを反省し、うまくいかないことに悶絶し、採点を受けとっては落胆する日々の連続だった。このコース、どう考えても経験者向けだし。

LINEスタンプでヘタウマ絵しか作ったことのない、脳がふやけ始めた妙齢の人間がおいそれと手出しをしてはいけなかった分野に違いない。

初めはほとんどの評価がCだった。その時持てる全ての力で描いたものが61点という、あと2点で落第かよという衝撃と、修正された画像の世界観に納得がいかずに疑義照会してみたこともあったが、理由の説明がなく「自分なりに前向きに昇華しましょう」という前向きになれない回答が来ただけだった。なるほど、芸術とは理屈じゃないんだなと理解した瞬間だった。

ところが、夏から秋にかけて、少しずつB評価が増えていった。芸術は理屈じゃないし点数でもないけれど、やっぱり評価が上がるとうれしいもんである。人間には努力だけでなく「報われる」ってことも生きるのに大事なモチベーションになるんだなこれが。
おかげで俄然前向きになって制作に取り組めた。

そんなかんだでここでイラスト素人の自分が「1年目にコース専門科目の単位を全部とる」ためにどうしたか?を記しておきたい。

まず、前述のように「ありとあらゆる時間」、つまり仕事以外のほとんどの時間をこの大学の学習のために使った。
授業動画は隙間時間に見まくった。化粧台で化粧をしながら、通勤の電車で、ジムのマシン上で、風呂に入って風呂蓋の上で、、、とにかくあらゆる隙間時間を無駄にしないようにした。
重要なところを携帯でスクショし、それを整理してパソコンのフォルダに収めた。本当はノートを取った方がいいに決まっているのだが、働きながらでは時間が惜しい。

動画は課題で何を求められているのかをよく読んでから見た。課題をやる時間を平日の夜、土日の昼夜と時間を決めて、その時も復習的に動画を流しながら取り組んだ。

自分はiPadを使用しているが、Clip Studio Paintを触るのは初めてだったので、特に技法に疎く、わからないところはネットで調べまくった。時には発見に感動したり分からなくてイラッとしたりしながら、、、
Clip Studio には何度も質問メールを送った。不具合が出たときはしつこく原因を究明した。面倒な利用者にとことん根気よく付き合っていただき、ホントに感謝である。

自分を知ってる人が見たら驚くくらい、自分でもこんなに頑張れるとは思っていなかった。なぜなら課題の多くが、「やりたかったことではない」から。
受けてみてわかったのだが、おそらくイラストレーションコースを受ける人のほとんどが、ゲームキャラやアニメキャラの制作に携わりたい人なんだと思う。

自分はただ、LINEスタンプの域を脱して自分が描きたい絵の画力をあげたかっただけで、それは人間や動物を写実的にもデフォルメ的にもうまく描けるようになりたかったということ。背景なら吉田誠治講師に弟子入りしたいと思った。
授業は理論的には素晴らしく勉強になるが「どうやって描くか」の具体的な手法の説明がほとんどない。例えば動物の毛並みや湖の水面、空の雲、瞳の虹彩が「どの筆で、何を使ってどう描くとこういう風に描ける」というのが自分は知りたかった。

色彩や遠近法、光と影などの講義はとてもためになった。だけど実際の課題がゲームキャラやアニメキャラ寄りが多かったので頭を抱えた。ガンダムみたいなロボットの造りを延々と説明される授業ではさすがに笑ってしまった。「あたしには無理よコレ」って感じである。(ただ実際に描いている人は凄い!と感動)
京都の老舗工芸会社と自分のイラストのコラボを企画提案するってのもあった。これ、もろ仕事じゃないか。。

でもこれが大学なんだってことである。自分の好きなことだけをするならそういう専門のカルチャースクール的なところに行けば良いのである。およそ想像もしなかったことをさせられているうちに、なんとなく処し方や心持ちが変わってくるのを感じた。自分なりに楽しめるようになっていった。

描き出したらどこで止めていいのかがわからず、夜中に延々とやることもあった。曼荼羅を作り始めたとき、「ここで止めたら明日はもうできない」と思った。集中力が途切れるから。
そんなかんだで、冬の課題を出し終わった今、もしこれが全部単位を取れたらコース専門科目が終わる?!と思ったのだが、残念なことに秋の課題で1科目だけ、単位を落としてしまっていた。。このリベンジは春でないとできない(こういうところが悔しい!冬にリベンジさせて欲しかった)ので、結果的には1年目にコース専門科目は全部クリアできなかったことになる。

単位を落としたのは「WSイラスト実習II 」 で人物、動物、建築物を設定した世界観で各々描くというもので、「建物は斜めから描く」というところで失敗した。
実は六角形の建物にしたため「正面も斜めもないし」とタカを括っていたのだが、自分でも気づかないうちに(そんなはずはない)階段を中央に付けてしまっていたのでる。階段は正面になる。そこをすかさず突っ込まれた。ちゃんと見られてるんですね。。。

イラストレーションコースはきっと経験者でも難しいと思う。
そしてこの後、学部共通専門教育科目のレポートに取り組むのかと思うだけで気持ちが凹む。
ちなみにちょっと覗いてみただけで、思わずパソコンを閉じてしまったくらい、わけがわからない言葉の羅列が心を陰鬱にした。せっかく描く楽しみ、課題に取り組む前向きな気持ちが出ていたところだったのに。。

あのう、、学部共通専門教育科目12以上14単位まで(総合教育科目2単位入れてもよい)という条件は3年編入の人には要らなくありませんかね?せめてもう少し減らしてコース専門を増やした方がいいんでは?

いまだに画力が上がったとは言い難い状況で、コース専門科目をクリアしたなら大学は1年で止めてデジタル絵を描くことに特化したスクールに行くという選択肢に悩んだが、「入学したなら最後までやり遂げろ」という意識高い系ドラマのようなことを友人に言われ、なんとか気力を奮い立たせ、もう1年、レポートと卒業制作に取り組んで頑張ってみることにした。

今ごろ気づいたのだが、WSの科目は単位を取ってしまうと授業動画はもう見れない。。ああ、もう一度全部おさらいしようと思っていたのに、、ああ。



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