今の中日ドラゴンズで一番マズいのは「二軍の投手」という話

記事の趣旨

リーグ上位の投手力を持つ一方で得点力不足に悩んだ2022年の中日ドラゴンズですが、私は現在チームとして最も深刻な問題を抱えているのは二軍の投手陣だと考えます。中日二軍は10/2に首位阪神と28.5ゲーム差、シーズン34勝64敗の最下位で全日程を終了しましたが、彼らがどのような状態にあるのか、確認してみましょう。

若手投手の不在

二軍投球回数と年齢のグラフ

上図は今シーズンに二軍帯同を主にしていた投手達の二軍投球回数と年齢のグラフです。ご覧の通り、25歳以上の中堅~ベテランの投手が多いです。24歳以下の投手は怪我人が多く、ある程度の回数を投げられたのは福島章太投手と松木平優太投手の2人のみです。
今シーズンから高橋宏斗投手、上田洸太朗投手、清水達也投手、森博人投手らの若手を新しく一軍戦力化できた影響もあるのですが、来年以降に一軍に新戦力を供給するという観点では心もとない陣容です。
今オフのドラフト会議では育成選手の指名も視野に二軍で稼働できる投手の人数を増やすことはマストと言えます。

投手成績の評価の方法について

投手の質の評価にあたってはFIP-を用います。FIPは簡単に言うと野手による守備の要素を除外した防御率のようなものです。特に2軍においては守備が未熟な選手が出場していたり、野手の人数不足により急造ポジションで選手が出場していたりすることもあり、投手成績を評価する際に守備の要素を除外する意義がより強いと思います。
FIP-はリーグ平均FIPに対しての割合です。100が平均で、下回ると平均以上の成績と言えるため直感的にわかりやすいかと思います。
以下のDELTA社のウェブサイトに詳細な説明があるので、詳しく知りたい方はそちらをご覧ください。定数や係数についても下記のサイトのものを採用しています。なお元データはNPB公式のファーム成績です。

二軍投手成績

(今季ニ軍帯同の方が長かった投手に限定しています)

今年二軍帯同の方が長かった選手のなかでウエスタンリーグ平均以上の投手成績を残すことができた投手(つまりFIP-100未満の投手)は岡野祐一郎投手、大嶺祐太投手、竹内龍臣投手、アルバレス投手の4名のみです。共通してBB/9が高水準であることが指摘できます。

上記4投手についての所感


岡野投手は今年4度一軍で先発登板し、一度は神宮ヤクルト打線を相手に5回0封と好投しています。一方で他の3登板では早い回でノックアウトされてしまっており、入団から3年間、一軍レベルで苦しむ投球が続いています。何かをきっかけに飛躍して欲しいところです。

大嶺投手は6月には好投していましたが、怪我をしていたのかおよそ3ヶ月弱ほど二軍で投げていない時期がありました。9月25日に復帰登板をしましたが3.1回4失点と結果は芳しく無く、状態は不透明です。

竹内龍臣投手は現在は育成契約ですが、怪我から復帰後は勝ちパターンのようなポジションでリリーフとして好投を続けており、片岡二軍監督からも好感触のコメントが出ています。来季の支配下登録が期待されます。

アルバレス投手は好投していますが、一軍戦力として考えるとやはり外国人枠が気になってしまいます。攻撃力不足に悩んでいるなかで外国人枠をリリーフに使うことにはデメリットもあります。今オフ契約が切れるジャリエルの去就次第では支配下登録もあるのかもしれません。


今年は先発投手の候補として期待されていた鈴木博志投手、岡田俊哉投手、福谷浩司投手、橋本侑樹投手、笠原祥太郎投手ら中堅~ベテランの投手たちは軒並み二軍でも低調で、若い選手はそもそも怪我がちで投げられていないというかなり危機的な状況であることが数字からも読み取れたかと思います。二軍投手の立て直しは急務です。

おまけ(一軍投手の二軍投手成績)

今年一軍帯同の方が長かった投手の二軍成績は以下の通りです。
チーム全体で一軍レベルの投手と二軍レベルの投手の能力にかなり差が出てしまっている印象です。

一軍帯同の方が長かった選手の二軍成績

一軍投手のうち、松葉貴大投手は残留が基本線と言ってくれているとは言えFA宣言をする見込みです。
一軍の先発ローテーションはシーズン終盤にこそ大野、柳、小笠原の三本柱に加えて松葉、高橋宏斗、上田、勝野と枚数が揃い安定した戦いができるようになりましたが、交流戦の頃は大野、柳、小笠原、松葉、間隔を開ける高橋宏斗の4.5枚以外の先発投手が誰が投げても燃えてしまい、6月のチーム防御率は4.33、借金は8とほとんど投壊しかけた状態にありました。
来シーズンに今年活躍した先発投手達が同じように活躍できるかは未知ですし、来年は今年の6月のように投壊してしまわないためにもなんとか球団には松葉投手を引き止めて欲しいところです。

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