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ガチ日本的な天才商人・金子直吉。#D2

「財界のナポレオン・ボナパルト」といわれた日本人。

戦争特需を完璧に乗りこなし、ピーク時は「三井・三菱よりも上」ともいわれた。

しかし今現在、金子直吉の名が世の中にあまり知られていないのは悲しいことであり、必然のような気がする。

チームプレイを得意とした「人の三井」、瞬時に全範囲を見渡せ、守備力に強さがあった「岩崎弥太郎」に比べ、金子直吉は「超・攻撃型」であり、いまでいうところの「イケイケ」であった。

彼の遺影から人相を読み解くと、頭はトガり、前頭葉が発達、第三の目(サードアイ)がヘコんでいる。

これは明らかに周囲より抜けていた超能力者的な存在だったのだろう。ただ、バランス良い超能力に見られる「耳のトガリがない」ので、他人の話(アドバイス)をあまり聞かなかったのかもしれない。

つまり、金子直吉の「抜けた天才」に周囲がついていけなかったことは想像に難くないというわけである。

組織が大きくなればなるほど優秀な右腕、No.2の存在の大事さを感じる。最近の言葉でいうなら「コーチング」ができる幹部ということになる。

米国や英国では脳科学や心理生理学に裏付けされた「コーチング」ができる学者や専門家に莫大な金を投じ、経営者や有名になりすぎた芸能人などをサポートしている。

中国人のコーチングといえば最強の軍師、諸葛孔明が国民の英雄的な存在である。

しかしながら日本では、コーチングやコンサルタントを「部外者」の扱いにし、あくまで「外注のスタッフ」である。悲しいかな、島国根性、職人肌というやつである。

このDNAは残念ながら、キミにも私にも流れているかもしれない。

小説「お家さん」は、鈴木商店を描いたもので小栗旬と天海祐希が主演でテレビドラマ化された。

金子直吉は、今でいうM&Aを繰り返し、会社を大きくしていったが1918年の米騒動で「金子直吉が米を買い込んでいるんじゃないか?」と噂され、嫉妬され、失速していった。

真実はどうでもいい。

そう思われた「これまでの生き方」「人徳」が全てだ。

ことが起こった時にはチェックメイト。

大変悲しい真実だが土佐人は基本的にトップに立ちにくいのかもしれない。2019年の日本においても、高知県は金銭に関する様々なランキングがワースト3に入っている。

金子直吉から学ぶべきは、トップがいくら天才でも天才すぎて、強力なNo.2がいなかったり、関係ない赤の他人を救っていないと失速しやすいということである。

漫画「キングダム」の壁将軍は「お前、それで将軍かよ!」という育ちがいいだけのボンボンで弱すぎるのでイラっとくるが、人徳があり、男気があり、基本戦術が練り込まれている。

壁将軍のタイプは天才ではないが「素の人柄でリスペクトされる」という、類まれな才能を持っている。

ゆえに、ノンバーバル・コミュニケーションの山族からも「ヘキショウグン!ヘキショウグン!」と声援を受けることができる。

金子直吉はガチすぎて「彼の商才(才能)に乗っかっておけば、とりあえず食いっぱぐれはしないだろう」という社畜しか幹部に集められなかったことが最大の敗因である。

「三井・三菱のように銀行を持たなかったから」は、カッコつけた言い訳である。

ただし、金子直吉の直観力は「個人プレイ」に転用すれば現在でも通じることが多分にあるだろう。大企業の組織人ではなく「個人事業主がとりあえず財を成す方法」を学ぶには良い教材になる。

金子直吉の強みと弱みを形式化し、単位化すると経営マネジメントの本質の一端が見えてくるだろう。


◆金子直吉の書・3選

『幻の総合商社・鈴木商店』―創造的経営者の栄光と挫折

『遙かな海路』―巨大商社・鈴木商店が残したもの

『鈴木商店と台湾』―樟脳・砂糖をめぐる人と事業







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